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大よそだが自分の身に起こりうる出来事を予想したメロディアは、気を取り直して新しい事を考え始めた。知らず知らずのうちに何かの陰謀に巻き込まれてしまったようだが、それに備えるにしてもまずは当面の寝床の確保が優先事項だ。その為には…。
考えのまとまったメロディアはよし、と声を出した。
「よし。じゃあ城下町に行きましょう」
「クラッシコ王国のですか?」
「ええ。家を直すにしても、当面の寝床を確保するにしてもここじゃどうしようもありませんから」
「…わかりました。ひとまずスコアと魔王様にお会いできるのでしたら、何でもします…」
「ん? 今何でもするっていいましたよね?」
「はい! 言いました! 何でもします!!」
ドロマーはそう言って嬉々として自分を覆っていたシーツを取っ払った。
「何で嬉しそうなんだよ」
「どうぞ、何なりと。何でもしますよ。うへへへ」
涎を垂らしながらヤラシイ要求を期待する彼女を見ていると、幼い頃からの憧れにヒビが入るような思いがしてメロディアは頭が痛くなってきた。
「ああ…憧れてた竜騎士ドロマーはこういうんじゃないのに。僕の中のイメージが崩れて行く…」
「アイドルに夢見ちゃうタイプの人でしたか? でも憧れのお姉さんがサキュバスになって自分を襲いに来るのもある意味男の子の夢でしょう?」
「いや僕の場合、サキュバスって単語は実母がちらつくので大して魅力的じゃないです」
「あーあ、結構な数の男子を敵に回しましたよ」
メロディアはシーツを拾い上げると、再びドロマーに言った。
「で、何でもすると言ったドロマーさん」
「何でしょう?」
「服を着てください」
例の勇魔合わさった笑顔を向けてメロディアは言った。ドロマーはそれを受けて聖女と見紛うばかりの笑顔を返す。
「嫌です」
「なんでだよ!」
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