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「本当はメロディア君を殺すつもりで来たんですよ。妻子を失えば、もう一度私を見てくれるかもしれないでしょう? けど、君にスコアの面影を見てしまいました。やはりあの人の子なのですね…だからメロディア君は私の眷属になってもらいます」
「眷属?」
「はい。性欲に溺れてエッチなこと以外は考えらないようにしてあげます。少し怖いかもしれないですけど大丈夫。私も最初は受け入れがたいものがありましたが、すぐに本能に忠実になる喜びに変わります。お姉さんに全部任せてください」
「…僕を眷属にした後、どうするつもりですか?」
「そうですね。手始めに隣に見えるクラッシコ王国でも二人で乗っ取りましょうか。国民をサキュバス化させて淫らな国に作り替え、それから先は…まあ追々考えますよ」
それを聞いたメロディアは肺いっぱいに息を吸い込んだ。そしてそれを口から細く、長く吐き出した。
たったそれだけの事でメロディアの纏っている雰囲気が一変する。
「あなたの事情はわかりました。父さんを敵視する理由も、まあ理解の範疇ではあります。個人的な復讐で両親や僕を目の敵にするというのでしたらもう少し様子を見ようとは思いました。けど何の関係もないクラッシコ王国の人たちを巻き込もうとした発言は許せない。僕はたった今からあなたを敵と見なします」
「…どうぞ。明日には私の事をご主人さまと見なしていると思いますけど。ではお待ちかねの調教タイムにしましょうか」
メロディアを捉えていた触手が粘液を分泌しながら、袖や裾や襟元から入ってこようとする。しかしその前にメロディアが言い放つ。
『放せ』
途端にメロディアを椅子ごと縛り付けていた触手が命令に従ってパラパラと離れ、影の中に消えて行った。予想外すぎる出来事にドロマーは硬直する。
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