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魔王を倒した勇者の息子に復讐をする悪堕ちヒロイン達  作者: 音喜多子平
閑話 メロディアの仕事3
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8-2

 さてと。と呟きながらメロディアはラーダを見る。しかしソルカナとは違い、見るからにこの服装を変えるのは意に反することのようだった。当然、その理由を尋ねてみる。


「いや~実はこの格好が結構気に入ってるんだよね、アタイ」

「そのサ○ス・アランのコスプレみたいな格好が?」


 メロディアが何の気になしにツッコんだそのセリフに、ラーダはギラリと視線に興奮を込めた。


「え!? 若旦那ってば『メト□イド』知ってるの!?」

「母がレトロゲーオタクでしたから。あと若旦那って何だ。人を呉服問屋の跡取りみたいに呼ぶな」

「旦那の息子なら若旦那ッしょ? というか魔王様の影響かぁ。考えてみればそうか。アタイも魔王様に教えて貰ったから好きになったんだし」


 やっぱりサ○スのつもりだったのか。ツインテールにしてるけど金髪だし、スライムの陰影が版権レベルでそっくりだったからもしかしてと思っていたけど。


 つーか、この人達は魔界で何やってたんだ。父さんと戦ってたんじゃないのかよ。


「そっかそっか。若旦那にも英才教育を施しているとは、流石は魔王様。変わっていないようで安心した」

「いや、それはそうと服は…」

「知っているなら尚更お願い! サ○スにめっちゃ憧れてんだ、アタイ」

「ガワはともかく、中身は正反対じゃねえか。ホントに憧れてんのか?」

「この格好は、スライムに寄生されて絶望してたアタイの数少ない救いなんだよ~」

「けど、わざわざ危険を増やさなくても」

「大丈夫! 隠密は得意だから。バレないようについて行くからさ」

「ラーダは魔界を出てからずっとこの格好でした。けれど人の目についたことは殆どありませんわ。彼女の隠密スキルは私にかけて信用していただいて結構です」


 メロディアはその言葉を疑いはしなかった。先程の公園での一戦でその事は確認済みだったからだ。気配はすれども姿を見せるまで居場所を特定することはできなかった。今更ながら事前に二人組かもしれないという情報がなければもっと辛い戦いになっていたかもしれない。


 それを改めて実感したメロディアの方が折れることにしたのだった。


「…わかりました。そこまで言うなら」

「ありがとう、若旦那! それでは案内はソルカナ様にお願いをしてアタイは影ながらお二人を護衛しまーす!」


 ラーダはそんな言葉を残すとホテルの廊下の奥にあったドアを開けて非常用の階段へと姿を消した。そうしてメロディアはソルカナの案内のもと、八英女の一人である『双刃のシオーナ』のいるという場所に向かったのである。


 ところがその実、ソルカナは自分達が潜伏していた隠れ家に立ち寄ると言い出した。なんでもシオーナと会うために必要なモノが置いてあるそうだ。まずはそれを取りに行くという流れになった。


「うふふ。なんだがRPGみたい」


 ソルカナはウキウキとした笑顔を見せて言った。


 メロディアはソルカナについて歩いているうちに色々な事に思いを巡らせていた。


 まず二人がシオーナの居場所を知りながら何故行動を共にしなかったのかということ。二人が断ったのか、それとも向こうが協力を蹴ったのか。元々メロディアを堕落させる目的だけを共有して競争をしていたと言う話だから、協力関係にならなかったとしてもそれはそれで自然な流れなのかもしれない。


 それよりかは二人の態度の方が気にかかる。素直に従っているので構わないが、シオーナの居場所を聞いたときにあんな渋い顔になったのだろうか。シオーナの潜伏場所、潜伏理由、もしくは心身的な要素に何かあるのか。もしくは二人とあまり仲がよくないとかが考えられるが…。


 何よりも気になるのは彼女が堕ちた結果、どのような姿に変貌してしまったのかということだ。


 今のところ自分の前に現れた六人が六人とも伝承や絵画に記されているものとは大きく変わってしまっている。中には原型をとどめていない人だっている。会いたい気持ちと会いたくはない気持ちは丁度半々くらいだ。


 そんなことを考えているうちに、一先ずは彼女たちの隠れ家へたどり着いた。


 隠れ家というのはメロディア達が先程までいた公園の森の中にあった。


 掘っ立て小屋としか言えないような広さであるが草木を魔法で基礎を作り建築されていた。その上、外観が森の風景と同化していてここまでの至近距離に迫ってようやく家だと認識することができた。


 察するにソルカナが植物を操って形成し、ラーダが上からエルフの技巧でカモフラージュしたのだろう。流石は草木の主たるソルカナとエルフの戦士ラーダといった具合だろうか。


「二人の荷を取ってきますので…お待ち…くだ…」


 するとその時。にわかにソルカナの様子が変わったのだ。一気に顔が青くなり、油汗をながし始めた。次の瞬間にはとうとう自立することもままならなくなり、膝から崩れ落ちてしまった。


 メロディアはいち早くそれを察し、彼女の巨体を支えた。


「どうしたんですか!?」

「あ、ら?」

「ソルカナ様ぁ!?」


 人目がないことも手伝ってかラーダは樹上から落ちるような勢いで飛び出してくる。そして慌てた様子で二人に駆け寄る。


「も、申し訳ありません。な、なんだか体が」

「とにかく一度小屋の中に入りましょう。若旦那、お願い」

「わかりました」

読んで頂きありがとうございます。


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