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魔王を倒した勇者の息子に復讐をする悪堕ちヒロイン達  作者: 音喜多子平
堕ちた錬金術師
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5-3

「なるほど。レイディアントさんだけは逃げ仰せてくれていたと思ったのですが、壮絶な目に遭っていたんですね」

「お前達もそれぞれ大変だったな」

「でも経緯はどうであれ、ボクたちは今の自分達の変化に満足している。それでいいと思います」

「ええ。ファリカの言う通りですね」


 そうして一旦、会話に間が生まれると三人は息を揃えたかのようにお茶を一口飲んだ。そしてファリカは満を持して一番気になっている話題を二人に振った。


「ところで…見たところスコアお兄ちゃんの子供と一緒にいるようですが」

「ああ、その通りだ」

「しかも今度この食堂が開店した暁にはウェイトレスとして雇ってもらう予定です」

「ボク達のラブコールを無下にしたお兄ちゃんとか家族に復讐するって話はどうなったんです?」

「最初はちゃんとやろうとしましたよ? エッチな事しか考えられないサキュバスの眷族にしてしまおうとね…けど返り討ちに遭いました」

「え?」

「我もスコアの息子とは露知らず、ひょんな事から戦闘になったが容易く沈められた。しかも二度もな」

「は?」


 ファリカは何かの冗談かと思った。


 ドロマーはムジカリリカ人にして歴代最強と謳われた騎士であるし、レイディアントもキャント国の司祭としては最高位の役職を与えられている修道兵だ。しかも魔道を受け入れた事で二人の実力はかつてのパーティにいた時よりも格段に強くなっているはず。それはファリカ自身にも言えることだし、二人の強化は肌で感じ取ってもいる。そんな二人が口を揃えて敵わないと断言する人間がこの世にいる訳がないし、いてほしいとも思えなかった。


 恐らくは魔物や魔道に対してのプロテクションのような能力をもっているのだろうと勝手に思い込んだ。勇者スコアの息子であればそのような素養を有していたとしても不思議はない。


 ドロマーは策略を練ること自体は好きだが、世間知らずで知識が乏しいジャンルが多い。レイディアントにしても愚直と言って差し支えがない程に猛進するきらいがある。ひょっとするとそう言った魔物や魔族の天敵とも言える能力の対処法や、最悪の場合はそのような能力が存在する事すら知らないのではないかと邪推をした。


 ともすれば、二人を容易く退けたスコアの息子に勝つことができれば自分の評価はうなぎ登りに高まるのではないか。ファリカは本気でそんな事を考えていた。


「にわかには信じられませんね。さっきボクと入れ違いに出ていったピンク髪の少年がそうなのですよね?」

「ええ。あの子がスコアの子供でメロディア君です」

「ちなみにどちらに?」

「城下の外の森に自宅があってな。そこに荷物を取りに行った」

「…ではそこに案内してもらえないでしょうか?」

「構いませんけど…まさか戦うつもりですか?」

「ええ。勝算があるんです」


 ファリカの言葉は嘘ではない。彼女には錬金術の研究で培った多種多様な毒の知識があるのだ。魔法や魔族に対しての耐性を持っていようとも毒には無力であるし、万が一にも毒にすら耐性を持っていたとしても毒耐性に反応する毒素まで持ち合わせている。


 彼女の妙なやる気と自信の正体は分からなかったが、ドロマーは断る理由を見つけることもできなかったので仕方なく受諾した。


「そう言うことでしたらご案内しますね」


 ◇


三人は差し当たり準備するようなものもなく、すぐに店を出て森にあるメロディアの自宅へと向かった。

 

 ところで、ドロマーはメロディアがスコアの息子であると同時に魔王ソルディダの息子でもあると言うことを、敢えてファリカには伏せ、レイディアントもそれを暴露しないように上手く会話を誘導させていた。


 理由は一つ。


 真実を知ったファリカの反応を楽しみたいからだ。


 三人は門をくぐり、森の中を進む。道中の街道や森の中でごろつきや魔獣とかち合うことが二度ほどあったが、三人が一睨みするとすごすごと退散していった。


ドロマーとレイディアントは、メロディアと一緒にいたせいで萎縮していた自信のようなものが少しだけ快復した。


 そうしてメロディアの家の影が見えはじめた頃、三人は妙な気配を感じ取った。微かな料理の匂いに交じって、並々ならぬ闘気と殺気とが一帯に溢れてきているのだ。もしかしなくても戦いが起きている。


 場所から判断してメロディアがいるのは予想がついた。ならば相手は…?


 三人は誰が言うでなく気配を殺すと、慣れた動きで駆け出した。そうして都合のいい木陰を見つけるとこっそりと様子を伺う。


そして、メロディアが戦っているその相手を見て三者三様に驚きを表現する。


 特に魔王に能力を覚醒された現在のミリーの姿を知らぬレイディアントは目を見開いて驚いていた。 


読んで頂きありがとうございます。


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