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魔王を倒した勇者の息子に復讐をする悪堕ちヒロイン達  作者: 音喜多子平
堕ちた竜騎士
10/163

1‐10


 一体、何が起こったのかと事態の飲み込めないメロディアに向かって更に追い打ちがかけられる。混乱は加速する一方だった。


「あははははっ!!」


 甘く、それでいて身震いするほど冷たい笑い声がこだました。それが英雄である竜騎士ドロマーの口から発せられる笑い声とは認めたくなかった。


 ドロマーは高笑いと共に身体から魔力を放射した。途端に家の半分が魔力の衝撃に耐えきれず吹き飛んでしまった。夜の冷たい風がメロディアの首筋を掠める。しかし家がどうとかそんな事を気にしている場合ではなかった。メロディアはじっと豹変したドロマーを見た。


 魔力により浮遊したドロマーは淫靡にメロディアを見下すと、やはり淫靡に舌なめずりをして見せた。ローブもいつの間にか吹き飛んでしまい、初めて彼女の全貌が明らかになっている。


 過度に露出度の高い服。一応鎧の体を装ってはいるものの最早、申し訳程度に局部を隠すだけのその服装は、彼女の美貌と相まって余計に淫らな煽情さを演出する。その上淫猥を強調するのが、腰から生えた悪魔の翼と下腹部に刻まれた紋章だ。


「い、淫紋? まさか…『サキュバス化』しているのか?」


 目の前で起こっている事実から最も単純に導いた推論を口にした。するとドロマーはニヤリと笑って


「その通りですよ」


 と言った。


 全くもって予想だにしていない展開にメロディアはどうしていいのか分からなくなってしまう。するとゆっくりと目の前に舞い降りたドロマーが彼の耳を指でなぞりながら、甘い吐息と共に囁いてきた。


「大丈夫ですよ。約束通り、魔界で何があったのかはキチンとお話しますから」


 そう言ってドロマーは長い髪の毛を後ろで一本にくくり始めた。しかもわざと艶めかしく身体を動かし、メロディアを煽るようにしながら。

読んで頂きありがとうございます。


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