7話
目を開けてみたらそこは別世界でした。なんて言葉があるけど…いや、「これ、死ぬぅぅぅう‼︎‼︎」目を開けたら地平線の彼方まで見える上にすごい速さで落下してる!
まずいまずいまずいまずいこの前落ちたらミンチとかひき肉どころか地面のシミになる!
「大きめの!【ウォーターパペット!】」これは特殊魔法の水人形である。目の届かない場所だと簡単な指示しかできないが、目の届く範囲ならとても役に立つ優れものである。
さらに魔力量によって大きさの変更も可能である。これを使って大きなパペットを地面に出す。「受け止めろ!!」なんとかなりそうだ。と思ったのに落下が早すぎてパペットの手の水をすり抜けて落ちる…ちょっとスピードが落ちただけだった。
「やばっ!【ウォーターウォール】」高さと厚さを作ってそこに落ちる。危なかった。地面に足がつくくらいになってから。パペットとウォールを解除する。
解除されて制御を失った水が津波のように…おちて…「しまったぁぁあ」止めないと、周りが水浸しに…
「【コンプレション】からの上に向かって打つ!【リベレイション】!」なんとか…なった…もうダメつかれた。めちゃくちゃあめがふってるけどもうむり…動けない…
少し待ったら雨は止んだ。まあ元々雨雲が原因ってわけでもないから。風魔法と火魔法を組み合わせてドライヤーみたいにして服と体を乾かす。便利。一体どうしてこんなことになったんだろう。まず今の持ち物は短剣、杖、お金の入った袋…これぐらいだ。この世界のお金は賎貨慶貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、龍金貨の順で価値が上がる。それぞれ元いた世界で言う1円、10円、100円、1000円、1万円、10万円、100万円といったところらしい。で、今僕の袋には金貨が5枚ほどとそれ以下のお金が多めに入っている。我ながらよく咄嗟に持って来れたと思う。まあまあ重い。
今更ながら【ステータス】のことを思い出した。
転生仕立ての頃に使おうとしたけれど言えなかったから使えなかった魔法だ。確か6歳で習うんだっけ?んー、まあ今はいいや。どうせそこまでステータスが上がってないからがっかりするだろうし…
それよりもここどこだろ。あたりに何もな…くないな……あの端っこに壁っぽいのが見える。というかここでなら魔法の練習ができるんじゃない!?まずは火魔法の中級からだな「【ファイヤウォール】」この世界の炎は一般的に赤い炎だが、僕は元の世界のガスコンロなどと同じように青い炎をイメージしている。その方が温度が高いからだ。ただ、他の人はそんなことは知らないため、炎は赤いものだと思っている。まあ仕方のないことだ。酸素なんてなくて『こういうもの』という考え方で済んでしまうから…それはそうとして魔法だが、中級は簡単にできた。問題は上級。
この辺りはさっきの雨で相当濡れているため、水蒸気で火傷するかもしれない。なので、一旦保留にしておこう。
さて、そろそろ街に行ってみよう。と思ったけど向こうから誰か来るな。あ、指差してる。来た。
「君はこんなところで何をしているのかな?あと、この辺りで青い炎の魔法を見なかったかい?」先頭にいた兵士っぽい人が問いかけてくる。あのパペットのことかな?それなら大きかったけど…炎?あ、ファイヤウォールか、
「みましたよ?」
「そうか!それをやった人がどこに行ったかわかるかな?」「僕ですけど…」
「いやいやいや、おじさんたちは真剣に探しているんだよ?それでも教えてくれないかな?」
「いや僕って言って…もういいや見せます【ファイヤウォール】これでいいですか?」見ると口を魚みたいにパクパクさせながらこちらをみていた。
「中級魔法を詠唱破棄とは…詠唱はしないのか…」してもいいがしなくてもいいした方が多少威力は上がるが、イメージがしっかりしていれば問題がないのだ。詠唱した方がよかったかな…まあ覚えてないけど。「そんなことはどうでもいいんですけど、」
「「「「そんなこと⁉︎」」」」
「あ、はい。ここはどこですか?夜だからだと思っていたがそれにしても暗すぎるので…黒大陸かとは思ったんですけど…」
「そ、そうです。ここは黒大陸の辺境、クラリスという街の近くです。」やはりそうか…つまり一瞬で飛ばされたってことか…「あの〜」どうやって帰ろうか。
んー「あの〜」そのまま帰るにはお金が足りないだろうからなんとか稼ぐ手段が必要だな…「すみませんー!聞こえてますかー!」「はい!聞いてました!」やっべ、聞いてなかったどんな話だったかな。「いえ、まだ何も話してませんが、とりあえずクラリスの街へ行きませんか?」
「あぁー、今身分などを証明できるものがありませんが大丈夫ですか?」この世界では大体身分を証明するカードが必要なのだ。
「銀貨5枚が必要になりますが大丈夫でしょうか。」
「わかりました。」
「では行きましょう。馬に乗ることはできますか?できなければ私の後ろにどうぞ。」馬なんて乗るどころかさっき初めて見たのに…
「あなたの後ろでお願いします。」
「わかりました。では行きましょう。」と、いうことで僕は辺境の街、クラリスに行くことになった。