3 冴えないフォロワーの増やし方
「ぷぷぷっ笑」
その後もericaにからかわれ倒されていた。
「だくぷりさん、外食行くとしたらマックかサイゼなんですか〜?笑 へ〜マックかサイゼか〜笑」
はぁ、最近はマックやサイゼに肯定的であることにより好感度を上げることに成功しているラブコメのヒロインが続出しているというのにこの女はほんまに〜。
「でさ、そんな話はどうでもいいから本題に入ろうよ本題! 友達の作り方教えてくれるんでしょ!?」
僕の言葉を聞いて、ericaは一瞬俯いた。
そして再びこちらを見て、
「教えますよ? でもその前にTwitterのフォロワーの増やし方、教えて下さい!」
……?
「え?」
「まず最初にTwitterのフォロワーの増やし方を教えて下さい! そのあとに友達の作り方を教えます!」
「……。あのさ、これ第一回友達作ろう大作戦の会議じゃなかったの?」
サッ
僕がそう言うや否や、僕の目の前にericaはスマホの画面をかざした。
そこには……
「これ、Twitterにアップしてもいいんですか?」
例の世界で一番情けないご尊顔が映し出されていた。
* * * * *
「じゃあまず君のTwitterのアカウントを見せて」
ここからは僕の得意分野であるTwitterの話題だ。
ここまでericaに散々バカにされたけど、ここから盛り返してやる!
「ほい」
ericaからTwitterのプロフィール画面が映し出されたスマホを受け取る。
自己紹介欄は……
「だーくねすぷりんすさんに憧れてこのアカウント作りました」
か〜〜。 これも結構微妙なんだけどな〜……。
問題はどんなツイートをしているかだ。ここまでフォロワーを増やそうと必死なのだから、そこそこ良質なツイートを連投しているのであろう。
しかし、ericaのツイート欄を見て僕は目を疑った。
「はー疲れた〜」「おはようございますです!」「クラスの友達10人と遊んで来ま〜っす」「Twitterぽちぽちしてるだけでお金儲けて暮らしていきたいな〜」「なんか知らないうちに寝て起きたらフォロワー1万人になってないかな〜」「明日隕石が落ちてきて学校休みにならないかな〜」「誰かかまって〜」
……。
なんだこのクソツイート連投botは……
「あの〜これふざけてやってます?」
「え?」
「こんなの……」
「こんなの?」
「こんなの伸びるわけないだろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「急に元気になった!?」
想像以上のクソアカウントっぷりにどこから説明していいのやら分からなくなっていた……。
「さっき私かわいいからフォロワー1万人とか余裕みたいなこと言ってたけど、顔出してないんだからかわいいとか関係ないじゃん! バカなの?」
「いや、ネットで顔出す方がバカですよ!? 何おっしゃってるんですか!?」
まあそうなんだけどさ。
「そうか、君は顔がいいからリアルでは人気者なんだね。でもネットでは顔出しNG、つまりそのクソみたいな中身が問題……」
サッ
例の写真がかざされる。
「なんか言いましたか〜?(ニコッ」
「そういうとこなの!!!」
ericaは相変わらず僕をからかってぷぷぷと笑っている。
そのニヤニヤ顔をよそに、ひとつの疑問が浮かんだ。
「というか、こんなクソツイート連投botが何でフォロワー400人以上もいるの?」
フォロー数が100人ちょっとにも関わらずである。
「それはですね〜。魚釣りをしてるからですよ〜」
その疑問、待ってましたと言わんばかりにericaは余裕の笑みを浮かべている。
「魚釣り!? あ〜釣り仲間がフォローしてくれてるとか?」
「違いますよ〜! ホントの魚釣りなんてそんなおじさんくさいことしません!」
色々と敵に回そうとするなこの子……。
「じゃあどういうことなの……」
「これですよ〜。ほらっ、Twitterで『#いいねした人全員フォローする』で検索して、引っかかったツイートを片っ端からいいねしていくんですよ〜。すると不思議なことに、引っかかったお魚たちが私のTwitterアカウントをフォローしてくれるわけです! ericaちゃん頭いい〜! ノーベル賞!!! あとこれを9千6百回ほど繰り返せばフォロワー1万人なのですが、指が痛くて……。だくぷりさん、ぽちぽちするの手伝ってくれませんか?」
だめだこりゃ。