24 ほぐしの回
「友達3人できたよ!!!」
めぐみんと別れ、えりかの家へ来た。
そしてえりかの部屋へ。
ベッドに2人並んで座って話す。
意外にもピンクシーツ……。
「思ったより早かったですね。健太郎さんの戦闘力から考えると、1か月くらいはかかると思ってました」
「友達作りは奥が深い……独立した友達を1人づつ作って、足し算で増えていくんじゃない。1人友達を作ると、その友達の影響でさらに友達が増え、その増えた友達の影響でさらに友達が増える……こうやって複利のように増えていくんだよ」
「3人でそれ実感するのは早いですよ……」
「あれ……なんかめちゃくちゃ友達できた気分になってたわ……」
さてと、
「条件は満たした! さあ! お前の過去を聞かせてくれ!」
…………。
「はあ……」
数秒の沈黙のあと、えりかはため息をついた。
「なに?」
「あの~、健太郎さんって、前戯をしないでいきなり挿入するタイプの童貞ですか? 今から私いやな話をするんですよ。もっと色々お話して、和やかな雰囲気で話したいんですけど。ほぐしてください」
「あ、うん……あ、『あ、うん』っていうのは『前戯をしないでいきなり挿入するの童貞ですか?』に対しての『あ、うん』じゃなくて、『ほぐしてください』に対しての『あ、うん』であって、えっと……え~~っと……」
「分かりました。健太郎さんが、初夜に緊張してたたないタイプの童貞っていうことは分かりました」
「僕が童貞っていう前提で話進めるのやめて!?」
「そうですよね。今日で童貞じゃなくなりますもんね……」
「!?」
「ぷぷぷっ、冗談ですよ。そうだ、3人の友達のこと聞きたいです! 聞かせてくださいよ!」
それから、めぐみん、桂香さん、竜次くんについて話した。
「めぐみんがギャルですか~」
「そうか、えりえりはめぐみんがギャル化していたのを知らなかったのか。将棋オタクで友達ができない自分を変えたくて、大学デビューをしようとしたらしい」
「他人に気に入らないと思われたら、自分を偽らないと排除される世界ですもんね。それを変われたと言うのか、逃げたというのか」
「でも結局、めぐみんはギャルをやめたんだ。素の自分でいられるって、なんて素晴らしいんだろうってさ。僕も素のめぐみんの方が開放的で好きだな」
「好き!?」
「いや、likeだから……」
えりかはほっぺを膨らませてこちらを睨んでいる。
あいかわらず嫉妬深い。
両手でほっぺの風船を割り、つぶやく。
「素の自分ですか~……」
なにやら考え込んでいるようだ。
そして、
「健太郎さんは、友達いっぱいで人気者の私が、偽りの私だと知ったら、それでも私のこと好きでいてくれますか?」




