16 辛辣な後輩ギャルに勝てる気がしません
現在5月
だくぷり大学2年
めぐみん大学1年
erica高校3年
突如現れた僕をだーくねすぷりんすと知る大学の後輩ギャルめぐみんこと橘恵美。
「あ、はい、めぐみん? 高校時代の1つ下の後輩ってことは、ほんの2ヶ月前までえりかと同じ高校だったのね」
「そー、最近えりかちゃんに会えてないんだよねー。えりかちゃん元気?」
「元気すぎて元気すぎて困ってるくらい」
タイムリーにericaの友達にエンカウントしてしまったけど、全校生徒&全教員と友達ってマジっぽいじゃん……。心配して損したよ。
「LINEでめっちゃ君のエピソード送ってくるんよね。スタバでえりかちゃんのストロー咥えようとしてる写真も見たよ」
それなかったことになってると思ってた。後でお仕置きしとかないとあかん。
「でも転校して君と出会って楽しそうで良かった。あんなえりかちゃんもう見たくないもん」
え??
「あんなって?」
「ううん、何でもない。知らないほうがいいこともあるんだよ。今が幸せならなおさら。えりかちゃんを大事にしてやりなよ」
そう言って彼女は去っていった。
……。
って待てーーーーい!!!
「あのー、言いたいことだけ言ってどっか行くの辞めてもらっていいですか?」
「しつこい男は嫌われるよ? 君モテないっしょ?」
「あのー、君っていうの失礼ってめぐみんさんご自身でおっしゃってたよね? 僕のことは特別にけんちゃんって呼んでいいよ?」
「きっしょ、えりかちゃんに言っとこ」
しんらつ〜。
「1つだけ聞いていい? えりかって何で転校したの?」
「えりかちゃんに直接聞けば?」
「なんか聞けない雰囲気あるんだよ。そういう話しようとしたら話そらされるし」
「彼氏ならなんとかしてやんなよ、直接向き合いなよ、抱きしめて安心させてやんなよ。友達にコソコソ聞き込みしてないでさ」
いいこと言うじゃんこのギャル。
確かに話そらされるって自分で言い訳してた気がする。えりかに安心してほんとのこと、何があったのかを話してもらえないのは僕がそれまでの男だったってだけ。まあ彼氏のつもりはないんだけど、なにか困ってるのなら解決してやりたい気持ちはある。なんやかんや、あやつとは一緒にいて楽しいとこあるしね。
「何ニヤニヤしてんの? きしょいんですけど〜」
「めぐみんって名前ならもっとその名前にあった可愛いキャラを演じてください」
「名前で可愛さ押し付けてくるのがオタクの幻想って感じだよなあ。君もだーくねすぷりんすの名前にあったカッコイイ闇の王子を演じてくれない?」
もうこの人と関わるの辞めよ。口喧嘩で勝てる気がしない。ギャル怖い。
「色々ありがとうね、えりかにちゃんと聞いてみるよ」
「おう、頑張りなよ。けんちゃん」
僕の拳と、後輩ギャルの拳が合わさった。
 




