11 次の試練は...
「で、さっきのあれは何だったの〜だくぷりさん〜?笑」
ブルーバードさんが僕の恥ずかしいセリフを掘り返す。
「い、いやあごめん。もともとオフ会で友達を作ろう大作戦ってericaが言い出したところからこのオフ会が決まったんだよねえ」
もちろん、『どうやったらネットで人気者になれるか聞き出そう大作戦』の部分は端折って伝えた。
あの後なんやらかんやらわちゃわちゃ雑談をしている様子を撮影したのだが、ericaのおかげで思い切れて、それからはみんなと楽しく話すことができた。自分でも相当なコミュ障を自覚しているが、慣れればちゃんと話すことができた。
「へ〜ericaちゃん彼氏思いなんだね〜えらい子えらい子〜」
ブルーバードさんがericaの頭を優しく撫でる。お姉さんみたいだ。
ericaはきるりあさんの動画撮影の挨拶でやはりというべきか「どうも! だくぷりさんの彼女です!」などとアピールし出したが、僕に友達を作れるようサポートしてくれたという絶大な恩があるため、まあ今回はそうゆうことにしておこうということにした。
「うへへ〜」
ericaが撫でられて喜んでいる。
いやぁ〜あれはほんとにナイスな助け舟だったよ。erica! ありがとう!
「あなたたち二人をモデルにして恋愛小説を書いてみたいな〜」
ブルーバードさんがそんなことを言い出した。
絶対誰も読まないだろ……そんな小説。僕がからかわれてるだけじゃん。
「どうぞどうぞ! この子をモデルにしました!って私のTwitterアカウントのIDを貼り付けてくださいね!!! そうしてもらえると私のフォロワー数もうなぎのぼりです!!!!!! 勢い余って天まで届いちゃいますよ!!!!!」
ブルーバードさんはあははと笑っている。
ericaは誰に対しても相変わらずだな……。
そういえばericaがリアルの友達と一緒にいるところを見たことがないな。リアルの友達に対してはどんな感じで接してるのだろうか……。やっぱり相変わらずこんな感じなのかな?
「いろいろ話せたし、そろそろ場所変えてみんなでカラオケでも行かへん?」
そう提案するのはジュエルさん。きるりあさんと肩を組んでおり、相当仲が良くなったみたいだ。
カラオケ……まじかよ。みんなの前で歌うとか嫌だよ……。
「カラオケの様子も動画に取らせてもらうよーー!」
きるりあさん、それは……まずい。動画はまずい。
あ、動画といえば……
この瞬間、次の流れが予想できてしまった。
「いきましょーーーーーー!!!」
はい、やっぱりお前かい。
ericaが僕の耳元でささやく。
「健太郎さん! これはチャンスですよチャンス!!! 私の美しい歌声を登録者数19万人の巨大チャンネルに轟かせるのです!!! 最高に歌声が綺麗な超絶美少女JK! しかもだくぷりさんの彼女!! これはフォローせずにいられません!!!! これで私もネットで超絶人気アイドルですよ!!!!!」
いや、何を目指してるんだよ。
あとちゃっかり僕の彼女って入れるな。
てかそれはフォロワー増やすのにむしろマイナス効果だろ!
じゃなくて……
カラオケはまずい。アニソンしか歌えないよ〜〜。




