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第094話(御礼制作?!)

「お前がこの料理を開発したんだってな!」

「おかげで狩りにも気合が入りまくってよー!」

「さっさと依頼終わらせて、かえってキューってやるっていうのが楽しみでなぁ!」

 色々な冒険者さんが僕のところに来ては、嬉しそうな顔をしながら話して去っていく。どう見てもベテランばかりの冒険者さん達に褒められて、僕は戸惑ってしまう。みんないい人そうだ。顔つきはどう見ても一般人じゃないけど。

 そんな人達は、僕の足元にいるファングや肩に止まっているビークにも腸詰めなどの肉の切れ端を差し出してくれて、二匹も売れすそうに啄んでいる。


「ちみっこい女の子も冒険者かっ!」

「ポメはちみっこくないのです!」

「がはははは、そう言っているうちはちみっこいままだな」

 酔っ払ってわけわからなくなりながらポメを弄る冒険者とか、料理がうまくて号泣している冒険者とか、何故か殴り合いをし始める冒険者とか、酒場は混沌(カオス)としか言えない惨状になっていた。


 そんな楽しい酒宴も日を跨ぐ頃には終息し、僕達はクーフェさんとキリクさんと一緒に家に帰るのだった。


「いつから依頼始めるの?」

「明日からすぐにでも。ザックさんに依頼された件もあるので」

「相変わらず、真面目だね。お姉ちゃんも鼻高々だよ」

「あ……」

「ん?どうしたの、シン君?」

「え、いや。な、何でもないです」

「ふーん。おかしなシン君」

 溢れそうな笑顔を浮かべるクーフェさんに、僕は独り立ちする事を言い出せなかった。


「それじゃ、おやすみなさい」

「おやすみ、シン」

 家に着き、軽く水場で汗を拭き取り、雑談をした後に、就寝の挨拶をして、それぞれの部屋に戻る。


「……言い出せなかったなぁ」

御主人様(マスター)はヘタレなのです!」

「い、いやぁ、あんな表情されたら言い出せないよ」

「じゃぁ、ここの家の子になるつもりなんです?」

「い、いや、それはないんだけど……」

「だったら早いか遅いかの違いしかないのです!まぁポメはどっちでも構わないのですが、おっ○いオバケからは距離を取るのが賢明だと思うのです!」

「また、そんな事言って……兎に角、明日の朝にきちんと話そう」

 ポメに野次られながらも、そう決心する僕。いつまでもクーフェさん達に甘えさせてもらうわけには行かないし、僕はこの町で一生を過ごすつもりもない。

 この樹海の町ウルスで一通りの知識やスキル、一般常識を身に着けたら、世界を回ってみるんだ。特に目的も目標もないけど、せっかく手に入れたもう一つの人生なんだから、今度は自分のやりたいように生きていきたい。


「そうと決まったら、お世話になった二人になにか贈り物がしたいな……ポメ、アーグ大樹海で倒した魔物の素材は出せる?」

「素材を何に使うのです?」

「ちょっと加工した物を贈り物にしようかと」

「ふーん。まぁうっかり青銀鉱(ミスリル)ゴーレム作るような御主人様(マスター)ですからね・・・あっ!!」

「ん?何?!」

 突然ポメが僕の後ろを指差したので、僕はビックリして後ろを振り向く。


「いや、何にもなかったのです!」

「なんだ。ビックリさせないでよ。ってえぇ?!」

僕が視線を戻すと、床びっしりにアーグ大樹海で倒した魔物の素材が所狭しと並べられていた。


「い、いつの間に……?」

「乙女の秘密なのです!」

「あ、そう……」

 僕は唖然としながらも、床に並べられた素材を目で追って確認していく。そして素材を見ながら二人に合いそうな物は何かと思考を巡らせる。


「キリクさんは町の門番で……クーフェさんは冒険者ギルドの受付……だけど魔法も使えて……よし、こんなのにしよう!」

 僕は素材に目星をつけると、幾つかの素材を手にとり、加工しようと机に向かう。


「程々にするのです」

「あぁ、程々にするよ」

 後ろで見えないけど、ジト目をしているに違いないポメを想像しながら僕は作業に入る。


 そして気がついた時には、既に日が昇る時間だった。


「結局徹夜しちゃったか。今日は狩りもあるのになぁ」

「だから程々にと言ったのです」

 後ろでじっと僕を見ながら待機していたポメが、いつもどおりの冷めた声で突っ込んでくる。僕が作業している間もずっと起きてて監視していたらしい。


「まぁ思ったより普通のものだったのです」

 僕が作り上げたものを一瞥すると、そう言い放つ。僕の目の前には、緑や青を基調とした玉石と羽をあしらった腕飾りと、赤と橙を基調とした玉石と牙をあしらった腕飾りの2つが完成していた。


「喜んでもらえるかなぁ?」

御主人様(マスター)お手製の魔導具を喜ばない愚か者はいないのです」

 参考にならないポメの意見をもらいながら、僕は大きく背伸びをすると、言い出しにくい話とプレゼントを贈るために、部屋を出るのだった。


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