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第092話(愚者圧倒?!)

 一方その頃……


「全くお話にならないのです。まだ走り蜥蜴の方が骨があるのです!」

 ポメが身の丈に全く合っていない両手剣(グレートソード)をズルズルと引き摺ったまま、引率の冒険者さんをビシッと指差す。

 引率の冒険者さんは、肩でハァハァと息をつきながら、全く訳のわかっていない呆けた顔で、ポメを見ている。対するポメは全く披露した様子は見せずに、ビシッとポーズをとっている。


 ちなみに、ケインくんは隅っこの方で引っくり返っており、その傍らでエリーさん、ココットさんが驚愕の表情でポメを見ている。


「何なんだ、キミは……」

 引率の冒険者さんはそう言って立ち上がると、再び剣を構える。片手幅広剣(ブロードソード)小円盾(バックラー)といった標準的な装備の冒険者さん。


「これはまぐれに違いない。こんな冒険者にもなっていないちびっこに遅れを取るはずが……」

「ブツブツ言っていないでかかってくるといいのです!痴呆なのです?」

「なめるなよ、ひよっこがっ!」

 冒険者さんがそう言いながら、剣を振り上げながら大きく踏み込むと、ポメの頭上に片手幅広剣(ブロードソード)を落とす。

 ポメは慌てずに、無造作に手を振ると、まるで重さがないかのごとく、両手剣(グレートソード)が跳ね上がる。


 ガキィッ!!


 金属がぶつかる甲高い音がして、踏み込みきれていない冒険者さんが弾き飛ばされる。


「こ、これも、まぐれだっ」

「まぐれで両手剣(グレートソード)を使いこなせるわけがないのです。自分の価値観でしか物が見れない童貞は、おとなしく部屋の隅っこでシコシコしてればよいのです!」

 吹き飛ばされた反動を利用して、間を詰めた冒険者さんが、ポメに連撃を浴びせてくるが、ポメは先程と同じように手を左右にブンブンと振るたびに、両手剣(グレートソード)が跳ね上がり、すべての斬撃を跳ね返す。


瞬斬撃(スラッシュ)!」

 堪えられなくなってきた冒険者さんが武技(スキル)を発動する。魔素を利用して瞬発力を高めた強力な一撃だが、初心者講習で使うべき技ではない。


「あ、危ないっ!」

 魔素を使った時に発言する独特の効果光(エフェクト)にエリーさんとココットさんが悲鳴に近い警告を上げてしまう。


「大人げないのです。やっぱり童シコ野郎なのです!」

 ポメは片手で振り回していた両手剣(グレートソード)を両手で握ると、真っ向から瞬斬撃(スラッシュ)にぶつける。


 ギャギィィィッッンッ!!


 耳に不快な金属を削り合うような音と共に、真っ白い閃光が走る。急激に威力を減衰され行き場のなくなった魔素が発光したからだ。


「これで終わりなのです!」

 瞬斬撃(スラッシュ)を完全に弾き、のけぞって無防備になった冒険者さんの下腹部に向けて、くるりとその場で一回転させたポメの両手剣(グレートソード)の腹が叩き込まれる。


 ドゴォォォォッッ!!!


 とてつもない鈍い音がして、宙を舞う冒険者さん。強烈すぎる一撃で既に気を失っており、そのまま受け身も取れず地面に叩きつけられ、壁にぶつかってゴロゴロと転がっていく。


「こんなところなのです。ブィなのです!」

 ポメが明後日の方向を向いてVサインを掲げる。


「こんな皮被りの冒険者に教わることなんて、何一つないのです」

 ケイン君の傍らで心配そうにしているエリーさんとココットさんに向けて、ポメがぶっきらぼうに言い放つ。


「お疲れ様でーす……あ、あれ?」

 そんな状況の部屋に、クーフェさんとオリバー君と僕が入っていく。


「だ、大丈夫ですかっ?」

「なんで冒険者さんが伸びてるの?」

 壁に顔をめり込ませて尻を突き出している冒険者さんにクーフェさんが走り寄っていく。そして訓練場の真ん中で佇んでいるポメに質問をする僕。


御主人様(マスター)よりケロッグな冒険者に、大海を知らしめてやっただけです」

「それを言うならフロッグだっと思うんだ、僕。じゃなくて」

「先輩風を吹かせてそこのヘッポコ小僧に偉そうにボコっていたんで、強者とはどういうものかを身体に叩き込んであげたのです」

 ポメが全く悪びれなく答えてくるので、救いを求めるようにエリーさんとココットさんに視線を向けるが、ポメを肯定するように頷きが帰ってくる。


「まじかー」

 確かにケイン君の身体には数多くの打撃痕が残っているように見える。


「こ、こっちが優しく教えてやっていたところを、あ、あいつが一方的に!!」

 僕がどうしようかと頭を悩ませていると、尻を突き出していた冒険者さんが、大声でポメを指差しながら抗議の声を上げるのが聞こえる。


「あ゛ぁ?」

 ポメが視線だけで人が殺せそうな怒気を孕んだジト目で、冒険者を射抜く。


「え、あ、そ、その。アイツが、アイツが悪いんだっ!」

 そんな視線を受け、冷や汗をダラダラ流した冒険者が、ポメに責任を押し付けようと言葉を続ける。


「黙れ……なのです!この包茎童貞シコシコ野郎がっ!!」

 ポメが手に持った両手剣(グレートソード)投擲槍(ジャベリン)の如く投げつける。


ズガァァァァンッッッ!!


 レーザービームのように一直線に放たれた金属の塊が、冒険者の前髪をかすめて、壁に突き刺さる。


「あ、あわわわわ……」

 死以外の何物でもない衝撃に、冒険者は白目をむき泡を吹いて倒れてしまった。


 その後、意識を取り戻したケイン君とエリーさん、ココットさんの証言で、ポメが言っている事(下品な罵詈雑言(スラング)ばかりで何を言っているかよくわからなかった)が事実だという事がわかり、冒険者はウルスを追放、ポメはお咎め無しとなった。


 苦言はたくさん言われたけどね……



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