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第091話(極鉱防壁?!)

 貴重な魔封鉄鉱(アンティニウム)の鎧と訓練場を破壊し、オリバー君とクーフェさんを吹き飛ばして気絶させてしまった僕は、どうしたもんだろうと頭を抱える。


「と、とりあえず壁をなんとかしないと!」

 僕は慌てながら魔法を発動させようとする。


「えっとえっと、魔法の訓練場だから、魔法を打ち消せるように魔封鉄鉱(アンティニウム)と、物理的な衝撃を緩和するために青藍極鉱(アダマンタイト)とかいるかなっ?!」


 魔素を引き出し、樹金属製の魔導回路(サーキット)に流し込む。そして持続時間を永久に拡張した大地の防壁(アース・ウォール)の魔法を実行する。


 ゴガガガガガガガッ!!


 崩れていた壁の下から岩の壁が盛り上がり吹き飛ばしてしまった壁を埋めていく。イメージ通りきれいに磨かれた濃い青色の壁が出来ている。これで、壁を吹き飛ばしてしまった埋め合わせは出来ただろう。


「いたたたた……」

 なんとか作れた壁を目の前に、ホッとしていると、僕の魔法の衝撃波で吹き飛ばされて転がっていたクーフェさんが目を覚ます。


「な、何が起こったの?……確かシン君が魔法を使って、その衝撃で標的と壁が破壊されて……その余波で私が吹き飛ばされて……」

 中空を見ながら、焦点の合わない目でブツブツ言うクーフェさん。


「それで壁が……壁、壁……壁ぇぇぇぇぇぇっっっっっ?!」

 ブツブツ言うクーフェさんが僕の修復した壁を見た瞬間に絶叫を上げる。


「な・な・な・な、何これ?!」

 そしてフラフラと立ち上がり、ヨロヨロと壁に向かっていく。そして壁に手を当てて、拳作った手の甲で壁を何度か叩く。


「こ、この鮮やかで綺麗な光沢を放つ、こ・これ全部青藍極鉱(アダマンタイト)じゃない?!」

『はい、表面を青藍極鉱(アダマンタイト)、その裏に魔封鉄鉱(アンティニウム)、更にその裏に青藍極鉱(アダマンタイト)を使った3重構造になってます』

 驚くクーフェさんに心の中で返事を返す。声に出したらヤバそうだから。


「な、何でこんなことに?!」

 呆然としていたクーフェさんがグルリと僕に視線を向ける。


「シー・ンー・くー・ん~?」

 語尾を伸ばしながら、ジトッとした目で僕を睨みつけてくるクーフェさん。僕はその気迫に押されて、タジタジと後ずさっていく。


「な、何でしょう?」

「確か君が魔法を使ったのよねぇ?この直前」

「え、えぇ……石礫弾(ストーンバレット)を。思いっきりやっていいとのことでしたので」

「だよねぇ?まさか初級魔法の石礫弾(ストーンバレット)で、あんな威力が出るなんて聞いたこともなないわよぉ?」

「あ、あははははは。な、何かの手違い……かな、なんて?」

「で、あれだけの魔法を放っておいて、魔力(マナ・)枯渇(ディプレーション)にもなっていないみたいだし……本当にEランクなの?」

「え?!あ、いやぁ……?」

 中腰になって僕を指差しながら迫ってくるクーフェさん。そんなポーズすると豊満な胸がプルンプルンって……


「な、何ですか?ぼ、僕は壁を壊したり、作ったりなんてしていないですよ!」

「語るに落ちたとはこの事ね。私は壁がどうしたなんて一言も言っていないわよ」

「あっ……」

 慌てて言い繕った僕の言葉の端を捉えたクーフェさんがジト目をしながら僕に顔を近づけてくる。


「い、いや、その……はい……」

 僕は観念してクーフェさんに、石礫弾(ストーンバレット)で標的と壁もろとも破壊した事、そして破壊した壁を元に戻すために大地の防壁(アース・ウォール)を使った事を説明する。壁一面青藍極鉱(アダマンタイト)なのは、ここいらの地下に鉱脈があったのでは>と適当なことを言って濁しておく。まぁ元に地下に青藍極鉱(アダマンタイト)が多少は含まれていないこともなかったから。


「……やっぱりシン君は規格外ねぇ。このまま冒険者になるの、お姉ちゃん、ちょっと心配だわぁ」

 唇に人差し指を当てて斜め上を見ながらクーフェさんが呟く。その仕草がなんだかちょっと色っぽい。


「……まぁわかったわ。でも何を言ったって信じてもらえなそうだわ」

 一通りの説明を聞いてクーフェさんは納得してくれたようだ。


「で!も!シン君、色々気をつけなきゃ駄目よ。世の中にはその力を悪用するような悪い人がいーっぱいいるんだからっ!」

「は、はい。気をつけます」

 やはり良いと言われても、力いっぱい魔法を使うのは色々ヤバそうだ。ポメからも言われていたけど、この世界において僕の力は相当規格外らしい。初級魔法を使うだけでも、こんなに神経使うとなると、魔法の普段使いは難しいなぁ。せめて人の見ていないところじゃないと危なくて使えないよ。


 ポメという抑止力のないままで僕が魔法を使うとこうなるという事を、改めて実感するのだった。

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