第089話(魔封鉄鉱?!)
「まずは適性別に分けるか。今回は珍しく魔導士の適性を持っている奴がいるから、そいつらはクーフェさんに指導してもらえ。で、物理型はこっちだ」
引率の冒険者さんがグループが2つに分かれるように指示をする。ケイン君、エリーさん、ココットさんとポメが冒険者さんの方へ、オリバー君はクーフェさんの方へ集まる。
「ん?ポメ??」
当たり前のような顔で物理型の方に並んでいるポメを見て、僕は素っ頓狂な声を上げてしまう。確かポメは魔法も使えたはずなんだけど……
「ポメはどちらかというと物理型なのです」
ポメがやれやれといった感じで、肩を竦ませながら首を振る。確かにポメとの戦闘を思い返してみると、身長の何倍もある鈍器でぶん殴っている印象しかない。でも時折魔法を使っていた気がするんだけど。
「シン君はこっちよ」
僕がそんなポメに驚いていると、クーフェさんが声をかけてくれる。
「は、はぁ……」
「なっ?!」
僕が気のない返事を返すと同時に、ケイン君の口から驚愕の声が漏れる。
「シ、シン。お前魔導士なのかよ?!」
「ま、まぁ、一応……」
凄い剣幕で言い寄ってくるので、僕はタジタジと後ずさりながら答える。ケイン君達の前では一切魔法なんか使わなかったからなぁ。
「シ、シンの癖に生意気だぞっ!!」
ケイン君がビシッと指を突きつけながら、僕のことをディスってくる。いや、癖にとか言われても困るんだけど。僕だって好きでこんな状況になっているわけじゃないんだし。いやまぁ、突出した才能が欲しいとは言ったけどさ。
なんか悔しそうに腕で目元を吹きながら走っていくケイン君の後ろ姿を見ながら溜息をつく僕。
「な、なんか、ごめん」
「だ、大丈夫。何かちょっと疲れただけだから、色々あって」
そんな僕に謝罪してくるオリバー君。うん、オリバー君は全く悪くないから、僕は疲れた顔をしながら愛想笑いを浮かべる。
「じゃぁ行きましょうか」
クーフェさんが冒険者さんと別れて違う部屋に向かうようで、僕達の前を先導してくれる。僕は冒険者さんの方へ嬉々としてついていくポメに一抹の不安を覚えながらも、クーフェさんについていく。
僕の心配事を知ってか、足元にいるファングと肩に留まっているビークも心配そうな鳴き声を上げる。
「うん、ちょっと心配だよね。ポメは……特にあの嬉しそうにスキップしているところを見ると、トラブる事しか予想できないよ」
でも心配してても仕方ないので、僕とオリバー君はクーフェさんに連れられて、別室に入っていく。
別室はそこそこ広い部屋で、その奥には魔法の標的にする為なのか、薄灰色をした鎧をつけた案山子が何体か設置されていた。
「ここは魔法の練習場よ。ここで魔法の使い方を説明するわ。あの鎧は魔法を無効化する金属である魔封鉄鉱で製造されているので、気軽に魔法を当てて訓練することができるの」
魔封鉄鉱……初めて聞いた金属だ。そんな性質の金属があったら、魔導士なんて封殺されたも同意だと思うんだけど。
「魔封鉄鉱なんて初めて知りました。でもこんな金属あったら魔導士なんて……」
僕が疑問に思ったことをオリバー君が口にする。
「えぇ、当然の質問ね。まず魔封鉄鉱は、まだあまり知られていない希少な金属で、その金属を使った武具は古代の遺跡からしか入手の記録しかないの。そしてどうやって加工するか、何処にそんな金属が存在するのかが、まだ判明してないわ。更に魔封鉄鉱は鉄より数倍重く、鉄並みの防御力しかない上に、装着者は一切の魔素を扱うことが出来なくなるの。魔法を無効化する金属だから、当然装着者の魔法も無効化しちゃうってわけ。だから、重さを軽減することも出来ないので、こんな鎧を好んで装着する人はいなくて、必然的に世に広まりにくいし、魔導士の対抗策には成り得てないのよ」
「魔法に強くなっても、物理攻撃に弱くなってしまっては元も子もない、割合別に見ても魔導士より物理攻撃を行う事のほうが多いからって事?」
「そうね、その通りよ。なので、こういった訓練場で有効活用するくらいしか使い道がないってわけ」
クーフェさんが詳しく説明をしてくれて、僕の質問に頷く。
……この金属、なんとか加工して砲丸とかにしたら、魔法で防げない高威力の遠距離物理攻撃手段に成り得ないか?遺跡で見つけたら検討してみよう。
「じゃぁ、まずは魔法の使い方から説明するわね」
そうしてクーフェさんが魔法発動の仕組みを説明し始めるのだった。




