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第088話(魔導回路?!)

 Cランクの魔素量を持つと知ったケイン君が、しおらしい反応は何処へやら、大きな声で咆哮を上げる。周りでケイン君の落ち込みぶりを心配していたエリーさんや、ココットさん、オリバー君も、咆哮を上げるケイン君をホッとした眼差しで見ている。


「見たか!シン!俺はCランクだぞ!!」

 僕を指差しながら高らかに言い放つ。まぁ僕はポメに魔素をチューチューと吸い取られてから判定したからEランクだったけど。


「急に元気になったのです。危ない薬でも飲んだのか?です」

「いやいや。昨日の1件で夢見ていた冒険者がやれるかどうか不安に感じていたけど、魔素量がCランクだということで、再び冒険者やれると知って自信が戻ってきたんじゃないの?」

「Cランク程度、ただのカスでゴミなのです」

「いやいや、この世界では凄いらしいよ?」

 ウザいくらいに復活しているケイン君に、ポメが辛辣な言葉を投げかける。


「ちなみにシンはいくつだったんだ?」

「Eランクだよ」

「あーはっはっは!やはり俺とお前の差は歴然だな!昨日は……そう!初めてで慣れていなかっただけなんだ!」

「あぁ、そうですね」

 鼻高々なケイン君に付き合うのは面倒なので、適当に応対する僕。


「あー、はいはい。冒険者として必要な資質は魔素量だけじゃない。まぁ魔素量が多いに越したことはないんだがな」

 調子に乗るケインくんに引率をしてくれた冒険者が釘を刺す。クーフェさんもそうねと頷きながら水晶でできた棒を取り出す。


「次はこれで魔導回路のチェックをするわ」

「魔導回路のチェック?この間の登録の時にはやらなかった気がしますけど」

「えぇ、冒険者登録には必要ないわ。これは魔法適性を計る為にやっていて、普通は魔法学校に入る時に調べるわ。初心者講習に出る若年層のために、まだ自分に何の職業が向いているのかわからない初心者に向けて実施しているの」

「へぇ……」

「ふぅむ……」

 クーフェさんの回答に納得する僕と、水晶の棒をしげしげと眺めるポメ。


「魔素を魔導回路に通すと、属性が付加されるわ。それの波長を捉えるのがこの魔道具よ。例えば……」

 クーフェさんがそう言って目を閉じて集中すると、水晶の棒が水色に柔らかく光る。


「私は運良く水氷属性の魔導回路を持っていたので、こうやって水色に光るの。でも基本の魔素量がFランクなので、少ししか魔法を使うことが出来なかったから冒険者としては大成しなかったわ。でもオリバー君やケイン君くらい魔素量があれば、魔導士(スペルキャスター)になれるかも知れないわね」

 クーフェさんの説明を受けて顔を紅潮させながら興奮する二人。エリーさんとココットさんは少し不満そうだ。


「じゃぁ、オリバー君。これを握って」

 オリバー君はクーフェさんから水晶の棒を受け取る。


「眩しい光や燃える火をイメージしながら、魔素をその水晶の棒に注ぎ込んでみて」

 オリバー君は目を閉じて、クーフェさんの言うとおりにやってみる。眉間にシワを作りながら集中するが、水晶の棒は反応しない。


「次は流れる水や固く冷たい氷ね」

 同様に眉間にシワを作るが何も反応しない。


「では、風そよぐ大樹や地に眠る鉱石をイメージしてみて」

 ちょっと諦めの気配を感じながらもオリバー君が集中すると、握っていた水晶の棒が緑色に光る。


「おぉぉぉぉぉ?!」

「うわぁぁぁぁ!」

「……光ってる」

 他の三人が驚嘆の声を上げて、その反応を見ている。その声に反応したオリバー君が薄く目を開け、水晶の棒を確認すると、目を見開く。


「こ、これって?!」

「えぇ、おめでとう。オリバー君には樹鉱属性の魔導士(スペルキャスター)の素養があるわ」

「……や、やったぁぁぁぁっ!!!」

 両手を上げて大喜びするオリバー君。


魔導士(スペルキャスター)って凄いんですか?」

「シン君。魔導士(スペルキャスター)は、まず魔素量がDランク以上。それは50人に一人いるかいないかの割合よ。そして先天的に生まれ持つ可能性がある魔導回路を持っていて初めて魔導士(スペルキャスター)となる入り口に立てるの。その魔導回路を先天的に持つ人も50人に一人くらいと言われているわ。だから魔導士(スペルキャスター)というのは2500人に一人くらいの割合でしかなれないのよ!」

「……なるほど」

 クーフェさんが興奮気味に僕に解説してくれる。それを聞きながら、僕は自分の適性がバレたらとんでもない事になるんじゃないかと冷や汗を流す。

 適性判定の時にポメが配慮してくれていなければ、今頃こんなにノホホンと初心者講習を受けていられなかったかも知れない。


 なにせ僕の魔法適性は尋常じゃない。規格外の魔導器を持ち、全属性の魔導回路があり、またそれらを非常に効率的に運用できる。そう、普通の魔法の威力が10,000倍になってしまうくらいに。


「次はケイン君ね」

 そう言ってクーフェさんは水晶の棒をケイン君に渡す。


「じゃぁ、眩しい光や燃える火をイメージしてみて」

「よし!」

 ケイン君が力を込めるが水晶の棒は反応しない。


「じゃぁ次は流れる水や固く冷たい氷を」

「よ、よし!」

「次は風そよぐ大樹や地に眠る鉱石で」

「次こそは!」

「荒れ狂う突風と空を切り裂く雷を」

「今後こそ!」

「汚れを浄化する聖なる光で」

「こ、今度こそ!」

「全てを呑み込む暗き闇で」

「……」


「ま、まぁ良くあることだから。気を落とさないでね」

「冒険者になるやつはたいていそんな所だ。魔導回路を持っているやつなんて稀だからな」

 どうやらケイン君は魔素量を蓄えておける魔導器はそこそこ大きかったようだが、魔法を使うための魔導回路を持っていないらしい。


「だがな……」

 冒険者さんが気合を入れると、身体から魔素が吹き出す。そして、そのまま教壇を掴んで軽々と持ち上げる。


「魔素をそれなりに扱えればこういう風に肉体能力を高めることができるんだ」

「す、すげぇぇぇぇ!!」

 かなりガッカリしていたケイン君だったが、冒険者さんのパフォーマンスを見て興奮する。


「魔物と同じなのです」

「ポ、ポメ。いいから黙ってようね」

 すかさずボソッとツッコミを入れるポメを慌てて静止する。どうやらポメの呟きは聞こえていなかったようなので、僕はホッと胸を撫で下ろす。ケイン君に聞かれても別に構わないが、冒険者さんに聞かれたら問題だからね。

 でもポメの言うことは最もで、魔物は自らの身に蓄えた魔素を使って能力を増加(ブースト)させ、尋常ならざる力や速度を持つので、魔素を直接能力に増加(ブースト)させている冒険者さんの能力は、まさに魔物と一緒の使い方に他ならない。


「じゃぁ、色々わかったから実践に移るとするか」

 エリーさん、ココットさんの魔導回路を調べて、残念ながら二人とも適性がないことがわかると、引率をしてくれていた冒険者さんと一緒に訓練場へ移動するのだった。


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