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第085話(失明危機?!)

「あの灌木の先が怪しいぜっ!」

「ちょっ!ケイン!待って!!」

 エリーさんの静止の声も聞かずに、一目散に灌木に向けて突撃していくケイン君。百舌鳥(シュライク)は地上から高さ1~2mあり、地上の生物には襲われにくい高さに巣を作る。大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)もその例に漏れず、高めの灌木の上に巣を作り、普段人間のような大型の生き物には警戒して襲ってこないのだが、巣を攻撃するかに見えた標的に関しては、急降下の一撃を食らわしてくる、決して油断して良い生き物ではない。


 そしてケインくんの向かった先は、1mちょっとある灌木……それに無造作に近づいた途端。


ピィィィィィッッッッ!!


 けたたましい鳴き声と共に80cmはある中型の猛禽類がケイン君めがけて急降下してくる。


「え?」

 無防備で何も気にしていなかったケイン君の目に向けての鋭い一撃。大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)は大型の生物の急所である目を多く狙ってくる。潰せれば致命傷を与えられるし、傷を負わせれば距離感が狂い、自分たちが有利になることを本能的に知っているからだ。


「うわぁっ!」

 とっさに右腕で目をかばうケイン君。その右腕に大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)の鋭い嘴が突き刺さり、肉を抉る。そして、大きく羽ばたき素早く上空に身を翻す。


「いてぇっ」

 ケイン君は抉られた右腕を左手で押さえており、その指の隙間から血が滴り落ちている。


 そして無防備になった頭目掛けて、再び大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)が襲いかかる。


「やぁぁぁっ!!」

 急降下する大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)に向けて、エリーさんが短剣を振るう。碌な訓練も受けていないので、素早い大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)を捉えることはできなかったが、ケイン君の目に向けた攻撃は中断させることができ、大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)は再び上空へと戻っていく。


「ここは危険よ!離れるわよっ!」

 エリーさんがケイン君の無事な左腕を掴み、痛がるケインくんを引っ張っていく。


 巣から離れていても、まだ脅威とみなしているのか大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)はケイン君の上空を旋回しながら好きを伺っているように見える。


 そこにオリバー君、ココットさん、クーフェさん、そして引率の冒険者が追いつく。


「大丈夫か坊主?災難だったな。ちょうど産卵期の頃合いだから大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)は気が立ってんだよ。お前みたいな無鉄砲で考えなしが冒険者として最も早く死ぬっていうのが、少しは実感できたか?」

 引率冒険者の厳しい言葉と、受けた傷の痛さで顔を真っ青にしたケイン君がコクコク頷く。


 引率の冒険者は旋回している大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)に向け、幅広の剣(ブロードソード)を抜き、小型の盾(バックラー)を構える。

 次に急降下してきた時には、確実に殺るという殺気を込めて大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)に視線を送る。


 大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)は隙を伺うように旋回していたが、引率の冒険者の殺気に諦め、ケイン君の頭上から離れていった。


「ふぅ……行ってくれたか」

 そう言いながら幅広の剣(ブロードソード)を納刀した引率の冒険者がケイン君の腕を見る。


「まぁ大した怪我じゃねぇな。傷薬を塗っておけば数日で治る怪我だ。目をやられてたら一生モンだったんだぞ。これに懲りたら、少しは人の話をきちんと聞くんだな」

 軽く傷口を見た引率の冒険者がそう言うと、ココットさんが傷薬を取り出してケイン君の傷口に塗りつける。


「いてぇ!もっと優しくやってくれ!」

「バカケインにはこれくらいで良い……キチンと反省する」

 痛がるケインに対し素っ気ない対応のココットさん。


「こっちはこれまでね。負傷者が出てしまったし、町の外の危険性も少しは身に沁みたでしょう」

 クーフェさんは腕を組みながら難しい顔でそう言う。


「……大事には至らなかったようだね」

 万が一の為に魔法を展開していた僕は、魔法をキャンセルする。全探索(フルサーチ)で状況を把握していた僕は、魔力隠蔽、不可視、射程延長、精度向上、加速、自動追尾の風の矢で確実にバレずに大型の百舌鳥(ラージ・シュライク)を撃墜しようとしていたが、徒労に終わったようだ。バレないとは思うが、万が一ということもあるので徒労に終わって幸いだ。


「あぁいうバカは、一度目を抉られて失明してから後悔すると良いのです」

「まぁまぁ、失明したら後悔どころの話じゃないし、これに懲りてしばらくは大人しくなるんじゃないかな」

「さぁ?バカは死んでもバカだから無理だと思うのです」

 冷たいポメの言葉だが、ポメとしてもいざという時の為に、高級回復薬(ハイ・ポーション)などの準備をし始めていたを知っているので、僕は笑みを浮かべながらポメに応対する。

 更にビークもいつでも飛び立てるように、僕の肩口に乗って警戒していたから、命まで取られる事はないように準備ができていた。


 まぁ、変な絡み方してくるけど、同世代の知り合いだから、何かあったら目覚めが悪いもんね。


 そして僕達はきちっとヘアル草を採取して、クーフェさんに合流し、町に戻るのだった。落胆したケイン君を頑張って励ます孤児院の仲間を見ながら。


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