第065話(意味不明?!)
「さて作ってしまったものは仕方がないので有効に活用しよう」
僕はそう開き直ると、目の前にある青銀鉱インゴット15本に目を向ける。これだけあれば目的の物を作れるだろう。
ただ肝心の目ぼしい核が無いので複雑な命令は組み込めそうにないし、半永久機関も実装できないだろう。今回は稼働時間は短いし大した命令を組み込む必要はないから問題はないんだけど。
僕は両手を青銀鉱インゴットに向けてイメージを明確に描いていく。騎士の兜のような頭に、頭と同じ大きさ位の胸鎧、スカートアーマーに鎧を纏った四肢、それぞれの関節は球型に。そうイメージは騎士ガ○ダムのようなデザインだ。
「よし、こんな感じに!魔導人形創造!!」
僕は魔力を引き出し樹金属性の魔導回路に流し込み、樹金属性を帯びた魔力を青銀鉱インゴットに照射する。
茶色と金色に明滅した光が青銀鉱インゴットに照射され、粘土細工をしているように、その形を変えていく。グニュクニュと蠢くように畝るように悶えながら青銀鉱インゴットは、僕のイメージした通りの形に変貌していく。
「うん。イメージ通りだ」
僕が魔法を終えると、15本の青銀鉱インゴットは1体の青銀鉱ゴーレムへと変貌していた。青銀鉱の青い金属は、スベスベとしていて鏡面仕上げのごとく磨き上げられている。
「次はと……ポメ、魔晶石をお願い」
アーグ大樹海で倒した魔獣から採取した二指くらいの大きさの魔晶石を出してもらう。経験珠になる前に魔獣を解体すると、身体の中から水晶のような形をした魔晶石が採れる。おそらくこれが魔力を蓄えていると思われるんだけど、人間の中からは発見できないんだよね。なので人間は何処に魔力を貯めて使っているかは永遠の謎らしい。魔力を行使する時は鳩尾辺りを意識するんだけど、そこに何があるわけでもないから不思議だ。
ポメから魔晶石を受け取ると、僕は右手で二指くらいの大きさの魔晶石を握りしめると、再び魔力を高めていく。そして処理フローと蓄電池をイメージしながら、魔力を練り魔晶石にイメージを焼き付ける。
僕の魔力を受けた魔晶石が強烈な光を発すると、透き通った魔晶石の中に複雑な魔法陣が刻み込まれているのと、淡く発光しているのを確認する。魔法陣が刻み込まれているのは処理フローが焼き付けられた証拠で、淡く発光しているのは魔力が貯蓄されている証拠になる。
そして、ゴーレムの胸を開くと、底に開いている穴に魔晶石を埋め込むと、バイザーの奥に二対の光が灯る。
「よし、成功だ」
「本当に初めてにもかかわらず、何気なく当たり前のように作る御主人様は本当に変態的なのです」
「いや、だってもう疲れたと言っているのに、ポメが強制的に『簡単に作れるゴーレム入門』とか詰め込みビデオ学習させられたから」
「御主人様はアホなんですか?あんなビデオを見ただけでゴーレムを作れるんだったら、世界はゴーレムに支配されているのです!」
「じゃぁ、何で見せたんだよ……」
「嫌がら……ゴホンゴホン、御主人様を慮った教育なのです」
「今、嫌がらせって言おうとしたよね?!」
「ホー○イ小僧はうるさいのです!細かいことを気にする男の子は、チ○コが皮被りなのです」
「何その暴論?!根拠はあるの?!」
相変わらず無茶苦茶なポメに翻弄されながらも、作られたゴーレムを鍋の横に置く。
「……何しているんですか?」
「ん?もう寝るでしょ?」
「はい、夜も遅いですし、今日の昼間は相当に動いたから寝るのが適切な判断だと思うのです」
「だから後はゴーレムに任せて寝ようかなと」
「???何をゴーレムに任せるのか意味不明なのです」
「この鍋、一晩中煮続けなきゃいけないんだよね」
「はい。ガラで出汁を取る場合は長時間煮込む必要があるのです」
「で、煮てると灰汁が出るじゃない」
「そりゃ、ガラを煮ているんだから出るのです。何を当たり前のことを。ついに頭がおかしくなったですか?」
「寝ちゃうと灰汁が取れない。だからゴーレムに灰汁を取ってもらおうかと」
「……」
「灰汁取りゴーレム。その名もアクト・リンゴレム!」
「……」
どどーんっ!と後ろに爆発の効果を散らすような感じで、握りこぶしを作りながらゴーレム名を高らかに宣言する僕。そしてそんな僕を物凄く冷めた目で見つめるポメ。
「な、何か不味かった?」
「……どこの世界に灰汁取らせる為だけに青銀鉱ゴーレムを作るド阿呆がいるというのですか!!!技術の無駄遣い!魔力の無駄遣い!時間の無駄遣い!意味不明です!意味不明ですっ!!意味不明ですっっ!!!」
目を釣り上げたポメに、超罵られた。まぁ言っていることがわからなくもないので、言うに任せているけど。
「じゃ、アクト・リンゴレム!作業開始!」
僕が命令を出すと、ミスリルゴーレムが鍋の中を覗き込み、手に持たせたお玉で灰汁を掬い、流しに捨てる。そして鍋の中を覗き込み……待機。
待っていると灰汁が浮いてくるので、手に持たせたお玉で掬い、流しに捨てる。
「大丈夫そうだね」
「……」
しばらく様子を見たが、きちんと動いていそうなので、ポメに笑いかけるが、ポメは憮然とした顔で聞き流している。
「じゃぁ僕らも休もうか」
「……わかったのです」
僕は不満そうなポメと一緒に部屋に戻り、布団に潜り込むと、今日は色々あったのでやっぱり疲れていたようで、直ぐに意識が夢の中に落ちるのだった。




