第056話(依頼受注?!)
依頼について説明してくれたクーフェさんが掲示板から剥がした依頼票を持って、そのままカウンターの受付側に回り込み、手続きを始める。
「えっと、シン君、ポメちゃんギルドカードを出して頂戴」
僕達はクーフェさんの言う通りギルドカードを差し出す。
「シン君の冒険者番号は3632064、ポメちゃんの番号は3632065ね」
ギルドカードに書かれた数字を確認するクーフェさん。
「えっと依頼番号は……363206022、これね。で受注者は3632064、3632065っと。はい、これで正式に受注できたわよ」
そしてギルドの帳簿みたいな冊子に載っている依頼番号を探して、その隣に僕達の番号を書き込んでいく。この帳簿で依頼を管理しているようだ。
「えっと、依頼ランクFの仕事だと、依頼を受注する際の手数料はギルドが負担するので掛からないけど、ランクE以上になると手数料が発生するわ。手数料はクエストを取り消ししても失敗しても返金されないから気をつけてね」
帳簿に書き込んで説明しながら僕達のギルドカードを返してくれる。
「依頼ランク?」
「あぁ、そこら辺の説明がまだだったわね。依頼ランクは基本的にA~Fまであるわ。上は国家規模の作戦だったり、世界危機レベルの依頼になるとS~SSSまであるけど、まぁまずお目にかかることはないわ。そして冒険者は冒険者ランクの一つ上以下、パーティの場合、パーティランクの二つ上以下までの依頼を受ける事が出来るの。シン君たちは冒険者ランクがFだからランクEとFの仕事。パーティを組むんだったらランクDとEとFの依頼が受けられるわ」
「なるほど、ではパーティはどうやって組むんですか?」
「パーティは3人~6人の冒険者が集まって作れて、パーティランクはパーティを結成したときの平均冒険者ランクで登録されるわ」
「ふむふむ。では冒険者ランクはどうやって上げるんですか?」
「依頼を成功させると、その成功度によって1~20ポイントが加点されるの。普通に達成すると10ポイント、倍の成果を出すと+2ポイント加点されるといった感じにボーナスが付くけど、依頼が不完全達成の場合は減点対象になるわ。そしてランクFは100ポイント、ランクEは200ポイント、ランクDは400ポイント、ランクCは800ポイント、ランクBは1600ポイント、ランクAは3200ポイントを消費すれば上のランクに上がることが出来るの。そして一つ上のランクで依頼を達成した場合は、2倍のポイントが入り、二つ上の依頼を達成すると3倍のポイントが入るわ。ちなみにランクSの冒険者なんてこの国でも2組しかいないから、中々なれるものじゃないと考えたほうが良いわよ」
「なるほど、となるとパーティを組めば、一回の依頼で最大60ポイントが入るんですね。ちなみにその2組のランクSの冒険者って?」
「聖光の剣と女神の雫ね」
「すごく痛々しい名前なのです!」
「ちゅ、厨二病っぽい……」
「え?格好良いと思うけど……特に聖光の剣は勇者様のパーティなのよね。憧れちゃうわ」
ちょっと遠い目になるクーフェさん。この世界にも勇者っているんだなぁと思うけど、僕とは全く関係のない事だろうと意識の外に捨ててしまう。
とりあえずEランクの依頼を5つこなせば、ランクアップできるのか。確か掲示板を見た時に、Eランクで幾つかの討伐依頼と素材納品があったから、素材採取のついでに狩ることが出来れば、一気にランクアップできるかもしれない。
「ありがとうございます。色々参考になりました」
「外に出るときはくれぐれも気をつけるのよ」
色々教えてくれたクーフェさんに頭を下げると、僕達は冒険者ギルドを後にする。初めての冒険に胸がドキドキする。アーグ大樹海と比べて、ここらへんの敵はそんなに強くなさそうなので、アーグ大樹海を踏破してきた僕達には簡単な仕事になるとは思うけど、油断は禁物だ。
外に出れる事を理解しているのかファングとビークもご機嫌だ。
「お、シン君か。外に出るのか?」
「おや、昨日の少年じゃないか。外は危険だよ」
門の前まで来ると、キリクさんと門番のオジサンが声をかけてくる。
「冒険者ギルドの依頼を受けたんです」
「君のような小さい子が冒険者ギルドの依頼?あぁ、その子達がいるからか」
門番のオジサンが一瞬怪訝な顔をしたが、ファングとビークを見て納得する。
「その二匹がいるなら、ここいらの草原は問題なく行動できるだろう。だけど、あの奥の森の中に入ったらいかん。あそこは凶悪な魔獣がはびこる魔の森だからな」
オジサンは遠くの方に見えるアーグ大樹海を指差して僕達に警告する。
「はい。今日はあっちの方に行く予定はありません」
「ここら辺でも凶暴な動物はいるからくれぐれも気をつけるんだよ」
「姉さんが悲しむから、怪我なんてしないでくれよ」
親切に声をかけてくれるオジサンとキリクさんに見送られて、僕達は門を出る。
門をくぐって草原に出ると、広い空、広大な草原が広がっていて、なんか開放されたような気分になる。町中の安心感はあるけど、外の開放感も捨てがたい。安全な場所ではないのだけれども、草原を走る澄んだ空気を肺いっぱいに吸い込むと、とても気分が良くなった。
それは僕だけでなく、ファングとビークも同様で、ファングは開放されたかのように草原を元気よく駆け回り、ビークは空に昇っていく。
そうして気持ちの良い草原に飛び出した僕達は依頼を達成すべく駆け出すのだった。




