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第053話(昼食選択?!)

 ケイン達と別れた僕達は、再び市場のある通りにやってきていた。


「お腹空いたね。何処にしようか?」

「選ぶほど店が多くないと思うのです」

「あーうん、そうだとしても大きな声で言うのは止めようね。またトラブルに巻き込まれちゃうから」

「ポメは間違ったことを言ってはいないのです」

「間違っているかどうかは問題じゃないから」

 何度言っても聞き入れてくれないポメに頭を抱えながら、ポメの言う通り何軒かしかない食事処を選ぶ。


「ここにしようか」

 市場の中ほどにあった小さな店を選ぶ。選んだ理由はランチの料金が銀貨1枚でやや高めだけど無理のない金額だったからだ。折角なので、ちゃんとした料理を出すところで食事を確かめてみたかったし、かといって高いところは財布の事情的に難しい。


「はい、いらっしゃい」

 ドアを開けて中に入ると、恰幅の良いオバサンが出迎えてくれる。


「あの、2人と一頭と一羽なんですが」

「おや、調教師(テイマー)とは珍しい。んー、他のお客さんもいるから店内はあまり良くないね。どうだい、2階のベランダ席でも良いかい?」

 僕の姿とファングとビークに目を向けたオバサンがそう提案してくる。今日はいい天気だし、気温も丁度いい。外で食べても問題はなさそうだ。


「はい、大丈夫です。お願いします」

「あいよ、ついてきな」

 僕が答えると、オバサンが2階のベランダ席へ案内してくれる。2階は道路側の半分が屋外で、反対側の半分が屋内の客席になっているみたいだ。ベランダ席と言っても横の壁がないだけで、屋根はついていたので、横殴りの強い雨でなければ、雨の日でもベランダ席を使えそうだ。


「こちらがメニューね。今日の肉ランチは走り蜥蜴(リザード)のリコピル煮、魚ランチはミキスのピリの葉包み焼きだよ」

 一番道路側の席に案内されてオバサンにメニューを手渡される。先程の食料品店で教えてもらったリコピル料理とクーフェさんに教えてもらったピリの葉料理。両方気になるけどどうしようか……?


「あははは、ゆっくり選んでおくれよ。しばらくしたらまた来るから、それまでに選んどいておくれよ」

 そう言って店員のオバサンが去ると、居心地が良さそうにファングは僕の足元、ビークはベランダ席の手すりに止まって落ち着く。


「市場が遠くまで見えて、とても都合が良いのです」

 ポメは椅子の上に乗ると、手すりから体を乗り出して、手でひさしを作りながら市場のある通りの奥の方を眺める。バランスを崩したら下に落ちてしまいそうで、危なっかしいが、崖から落ちて傷一つ付かない頑丈な身体だから、落ちてしまったとしても大丈夫だろう。


「どっちも気になるなぁ。メニューに載っている料理も気になるけど、まずはお手頃価格のランチにしたい所だなぁ」

「だったら肉と魚のランチを頼んで、ポメとハンブンコにすればいいのです」

 ポメが手すりの上にお腹を載せて、足をブラブラさせてバランスを取りながら提案する。


「え?いいの?」

「良いのです。ポメも知識だけじゃない色々なホンモノの味を確かめてみたいのです」

 ポメが素晴らしい提案をしてくれたので、僕は言葉に甘えることにする。ファングとビークが食べられるものもあるかな?

 そう思いながらメニューをパラパラ捲っていると、店員のオバサンが2階に上がってくる。


「決まったかい?」

「えぇ、肉ランチと魚ランチを一つずつ。あと、この子達に食べさせられそうな物ってあります?」

 オバサンに僕とポメの分を注文し、ファングとビークが食べられそうなものを聞いてみる。オバサンは目を細めてファングとビークを見ながら、顎に手を当てて思案する。


「しかし、大人しくていい子達じゃぁないか。そうだねぇ、ランチの主菜の走り蜥蜴(リザード)とミキスを素焼きしただけのものを持ってくるかね。2つで銀貨1枚、銅貨5枚になるけど良いかい?」

「あ、はい。それでお願いします」

「わかったよ。肉ランチと魚ランチ。それに走り蜥蜴(リザード)とミキスの素焼きね。ちょっと待っとくれよ」

 注文を取るとオバサンは、ファングとビークを見てニヤリと笑うと、階段を降りていった。


「ファングとビーク、良かったね。一緒に食べられそうだね」

ガウッガガウッ!

ピピピピピィッ!


 僕がそう声をかけると、二匹は嬉しそうに吠え/鳴き声を上げる。町中で生活するときには2匹の食事や寝床をどうするかが課題だよなぁと今更ながらに頭を悩ませる。

 二匹は僕の言うことをしっかり聞いてくれて、大人しくしてくれているんだけど、魔獣は魔獣なので、場所によっては入れなかったりしそうだ。


「おぉ!あそこは面白そうなのです。いやいや、こっちにも行ってみたいのです」

 ポメは相変わらず、手足でバランスを取りながら、手すりの上にお腹を載せて市場を観察しているようだ。


「はい、おまちどーさま」

 しばらく待っていると、店員のオバチャンが美味しそうな匂いを漂わせる料理を持って料理とパン籠をもって2階に上がってくるのだった。


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