第044話(不遇職業?!)
「きゃぁっ!」
「うぉっ!」
「まっ、眩しい!」
強烈な光を発した水晶球をみんな直視していたせいで、目に鋭い痛みが走り、目の前が真っ白になった。だが、そんな中ポメが平気そうに僕のそばに寄ってきて耳元で囁く。
「このままだと大変なことになってしまうのです。とりあえず魔素を魔力に変換して、ポメの中に取り込むのです!」
そうポメが囁き、僕の臍の下に手を触れる。ポメの手が触れると、すごい勢いで僕の魔導器から魔素が抽出され魔力に変換されていく。そしてポメの手のひらからどんどん吸い出されていく。僕は急激な魔力の低下で頭がクラクラして、体が凄くだるくなっていく。ポメは一体どんだけ吸ったんだ?
「うぅ……やっと目が慣れてきたよ」
「凄かったなぁ」
目眩み状態から回復してきたクーフェさんとキリクさんの声がする。僕はまだ目の前が真っ白だが、二人は既に回復し始めているらしい。
「シン君。凄かったよ!今までこんなの見たことなかったよ!」
「これはSSSランクって事か?!」
「えぇ?!こんな小さな子がSSSランク?!」
「少なくても色を2周はしていたからな……」
「すごーいっ!ねぇねぇ、もう一回やってみていい?今度はお姉ちゃん、しっかり見てるからさ☆」
「は、はい……」
すごい勢いで詰め寄ってくるクーフェさんに、ようやく視力が回復した僕はコクコクと頷く。
そして、再度水晶球に手を触れる。
「あれ?」
「んあ?」
クーフェさんとキリクさんが呆けたような声を出す。それもそのはず、先程急激に色変化をし、強力な光を発したはずの水晶球が、やや緑がかった水色の少し強い光を発していたからだ。
「ん?おかしいな??ちょっとキー君も触ってみて」
「あ、あぁ」
全く色が変わらない水晶球におかしさを感じたのか、クーフェさんがキリクさんに水晶球を触れるようにお願いをし、キリクさんもそれに応えて水晶球に触れる。
水晶球は内部に少し強い光を灯しながら、水色から緑色へと光の色が変化する。
「普通……だよね?」
「あぁ、普通だな。じゃぁさっきのは何だったんだ?」
二人は首を捻りながらさっきの状況と見比べているらしい。
お願いされて再度僕は水晶球に触れたが、やはり、やや緑がかった水色の少し強い光が灯っているだけだった。
「Eランクよね?」
「Eランクだな」
水晶球と冊子を見ながら再確認するクーフェさんとキリクさん。そして、今一納得していないような、納得したような顔で書類にペンを走らせる。
「後は二人が記入してくれるかな?」
一通りペンを走らせた後の紙をクーフェさんが僕に手渡す。手渡された紙には名前や年齢、職業などを記載する欄が設けられていた。
「名前は……シン・アラガミ。年齢……5歳?かなぁ。職業?すみません職業って?」
「剣が得意な人は剣士、魔法が使える人は魔法使いとかって書くわね」
「えーっと、自己申告制なんですか?」
「ジコシンコクセイ?なーに、それ?」
「あー。では、自分で勝手に名乗って書いていいんですか?」
「そうね。でもそれが冒険者ギルド所属である証のギルドカードに記載されてしまうから、魔法使えないのに魔法使いとかって書くと、後々大変な目にあってしまうから、虚偽の職業は書かないほうがいいわよ」
「なるほど、じゃぁ僕は……」
僕はちらりとファングとビークを見る。この二匹を問題なく連れて大丈夫な職業はこれ以外無いな。僕はその職業を職業欄に記載して、クーフェさんに渡す。
「はいはい……えーっと、これ考え直さない……かな?身分証明書の代わりだから何でも良いって言っちゃえばそれまでなんだけど」
僕達の差し出した紙をみたクーフェさんが眉をひそめながら僕達に伝えてくる。
「何かまずかったですか?」
「んーとね。シン君が書いた調教師なんだけど、これは不遇職って言われているの。基本的に調教師の人は自分より弱い魔物しか使役することができないから、必然的に自分のランクが中々上がらないし、パーティにも誘われなくなってしまうわ」
「なるほど、そんな欠点があるんですね。でもパーティを組む事もないでしょうし構いません」
「わかったわ。じゃぁシン君はEランクの調教師という事で登録するわね。で、ポメさんは職業メイドって??」
「ポメは御主人様一筋のメイドなのです!メイドはメイドに始まりメイドに終わるものなのです!メイドはメイド以外になったら真のメイドになれなくなるのです!」
呆れた顔を向けてくるクーフェさんに胸を張って答えるポメ。そして更にクーフェさんの顔がもっと呆れる。
「ま、まぁいいわ。ポメさんはSランクメイドと……何だか凄そうな名前ね」
「ふふん。ポメはSランクメイドなのです!」
頭に乗ったドヤ顔で全く無い胸を精一杯に張りながら僕にPRするポメ。僕だってポメが魔素を吸わなきゃSSSランクだったのに……
「よしっと、これで終わり。じゃぁギルドカードを発行してくるわね☆」
そうクーフェさんが言い残すと、手続きをするために書類を持って部屋から出ていくのだった。




