第034話(巨大生物?!)
巨大な影からの巨石の投擲、飛翔踏みつけの後の、巨槌の振り下ろしに対し、僕は四霊魔盾で防ごうと試みたが、あっさりと四霊魔盾を砕かれてしまい、その巨槌が僕の脳天を叩き割ろうとしていた。
死ぬときはこんなあっさりなんだ。2回目の生はあっという間だったなぁ……と、迫りくる巨槌をやけに冷静な目で見ながら考えていた。死の直前に人間の意識が拡張するってこういう事か。
「やらせないのです!」
ガキィィィィィッッッ!!
まさに巨槌が僕の頭をかち割ろうとしてた瞬間、弾丸のように飛んできたポメが、ボロ布に包まれた2m強もある巨大で無骨な棒状の物体を、巨槌に叩きつける。
僕より小さいポメが、四霊魔盾でも防げなかった巨槌の一撃を弾き飛ばし、僕はなんとか九死に一生を得られたようだ。
「あ、ありがとう!」
「礼はいいですから早く戦闘態勢を取るのです!!」
グォォォォォォッッッ!!
僕を殺りそこなった巨大な影は、怒りの籠もった咆哮を上げると、2つの巨槌を交互に叩きつけるようにポメに振り下ろす。
ポメは自分の身長の倍もある棒状の物体を振るって、それらの攻撃を弾き飛ばしている。
僕は胸に抱えていたビークを開放し、立ち上がると、その巨大な影を注視する。その影の体長は7mくらいで、やけに発達した二本の巨大で長い手、そして発達しすぎていて筋肉の塊のような上半身。それに比べれば、発達していない下半身と脚を持つ2足歩行タイプの獣。
「うん、でかいヤバイ猿だな、こいつは」
そしてその発達した二本の腕と、急所である頭と胸には幾つもの岩塊に覆われていて、たやすく急所を攻撃できないし、その岩に覆われた二本の腕は、それだけで強力な武器になるだろう。巨槌のように見えたのは、岩で覆われた二本の腕だったようだ。
「巨大猿と岩猿の両方の特徴を持った敵のようなのです!」
「言うならば巨大岩猿と言った所か」
巨槌のような二本の腕による一撃受ければ粉々になりそうな乱打を、正確に弾き返しながらポメが敵の分析をする。
「狙うのは、当初の予定通り発達しきれていない脚だね。敵は見るからに樹金属性。だったら!」
僕は切れた頬を手の甲で拭うと、魔素を引き出し、魔力に変換し魔力回路に流し込む。
「炎の尖塔!」
地面から高温度の炎を吹き上がらせる魔法を発動させる。攻撃偏重になっている巨大岩猿の不意をつき、高温度の炎がその身を覆い焼いていく。
ゴァァァァァッッ!!
一瞬怯んだだけで、巨大岩猿は巨大な腕を広げてコマのように激しく回転すると、身体を覆っていた炎を吹き飛ばす。
その遠心力の着いた回転攻撃は弾けないと、ポメは咄嗟に後ろに飛び、距離を開けている。
不意打ちを食らった巨大岩猿は怒りの籠もった目で僕をにらみつけると、巨大な両手で地面を掻きながら、猛烈な勢いで僕に接近してくる。
そして僕を間合いに捉えると、その巨槌のような腕を僕に振るう。
「不意打ちじゃなければ!耐衝撃魔盾!」
物理的な衝撃に特化した魔盾を展開する。内側の強力な風の膜で衝撃を緩和する層を魔力を圧縮させた強力な盾の層でサンドイッチした3層の耐衝撃用の魔法だ。
巨大岩猿の攻撃によ衝撃は中間の風の膜の層で拡散され、僕の元には届かない。
怒り狂っている巨大岩猿は何度も何度も、巨槌の拳を叩きつけるが、全て徒労に終わっている。
ワォォォォォンッ!!
その巨大岩猿の足元に風を纏ったファングが吶喊する。
ピィィィィィッッッ!!
上空からビークが炎の矢を降らせる。それぞれの攻撃は、巨大岩猿に大したダメージは与えられていないが、鬱陶しい事この上ない攻撃で、意識が僕だけではなくファングやビークに拡散する。
「注意力散漫なのです!」
そこにポメが大跳躍しながら、棒状の物体を巨大岩猿の頭に叩きつける。
ガギィィィィィンッッッ!!
金属に金属をぶつけたような甲高い音が響き、その衝撃でポメは弾き飛ばされ、巨大岩猿の岩で覆われた頭部の岩が砕かれる。
「なんていう石頭なのです!」
ポメが弾き飛ばされながら、空中で数回転して勢いを殺して姿勢を正すと、地面に降り立つ。
グキィィィィッッッ!!
巨大岩猿は額を押さえながら、悲鳴を上げる。あの巨体に、あの硬さでは、今まで額をかち割られた経験がないのだろう。
グギギッ!グギギギギッ!!
悔しそうにギリギリと歯ぎしりをしながら怨嗟の視線を僕達に向けると、空に向かって遠吠えを上げる。
グォォォォォォォンッッッ!!グォォォォォォォンッッッ!!
「御主人様!やばいのです!周辺の魔物が一斉にこちらに向かってきているのです!」
自分単体では敵わないと思ったのか、巨大岩猿は数に任せた戦いを挑もうとしてくるのであった。




