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第032話(強行突破?!)

「ここら辺から急激に魔粒子の量が増えているのです!此処から先は危険ですので気をつけるのです!」

 ポメがそう宣言したのは、今まで通ってきた森と何ら変わった所が、見受けられない地点だった。


ピピィィィッッ!!

ガガゥッッ!!


 感じられないのは僕だけだったようで、ファングとビークもきちんと気がついたようで、警戒の声を上げる。


「やはり御主人様(マスター)は鈍感な役立たずなのです!こんなに濃い魔粒子に気が付かないなんて」

「そんな事言われてもなぁ」

 魔導器が余っていれば回復量かなんかで、わかる事もあるかもしれないが、現状最大値なので、全く把握できない。


「じゃぁ、魔法で調べてみますかね。探索(サーチ)

 僕は何気なく探索(サーチ)の魔法を起動する。


「な、なんだここ!!」

 その恐るべき結果に、僕は叫び声を上げてしまう。


「辺り一帯、強力な敵対生物だらけじゃないか!」

 探索(サーチ)の魔法がキャッチしたのは数百個の赤い(ポイント)。それぞれ(ポイント)の大きさは中以上。つまりランクC~D以上の敵対生物が、この一帯にひしめき合っているのだ。


「しかも、なんだこれ……?!」

 その赤い(ポイント)が減っては増えてを繰り返して明滅している。


「食物連鎖なのです!魔物を喰った魔物が成長し、別の魔物を喰い、喰われ、常に強さが変動しているのです!そしてその食物連鎖の輪から外れ、喰われる事のない強さを身に着けた頂点に立つ魔物が数体。それがココの領域主(エリアボス)として君臨しているのです!」

「こんな所を抜けるのか……」

「頂点の魔物は全て魔穴(まけつ)スポットの近くにいて、今この時も魔粒子を貯め続けているのです!」

「放っておけば置くほど強くなっているってことか」

「そうなのです!それ故、ここの領域主(エリアボス)のランクはS相当になっている可能性もあるのです」

「と、兎に角、それでも敵の少ない所を抜けよう」

 僕は探索(サーチ)の結果から、最も赤い(ポイント)の少ないルートを導き出す。


「こりゃ、ポメが言っていた通り、丸一日走ることになりそうだ……」

知覚(インプルーブ・)向上(パーセプション)空気抵抗(インバリッド・)無効(エアレジスト)敏捷(ダブリング・)倍増(アジリティ)!」

 以前ファングを助けた時に使った、移動補助魔法を自分自身に起動する。こんなヤバイ場所は一刻も早く走り抜けるに限る。


「行くよファング!早いかもしれないけど着いてきてね」

 そう言って僕はビークを胸に抱くと、最短コースに向かって飛び出していく。


 周りの木々を鋭敏な近くで察知し、回避し、空気抵抗を無効化して弾丸のような速度で、森の中を駆けていく。幸い全力を出さなければファングもポメも問題なく着いてこれるようだ。


 周りの敵対生物は、僕達を知覚すると攻撃を仕掛けてくるが、尋常ではない速度で駆け抜ける僕には当たらない。


 そう走っている内に、探索(サーチ)の示す赤い点の大きさが大きくなっていき、やがてすり抜ける隙間がないくらい、目の前のルートが真っ赤な点で覆われる。


「これ以上、走り抜けるのは無理だね」

「道を切り開く必要があるのです!」

「じゃぁ、手加減無しで行くか。火は森を燃やしてしまうからダメだとして風でいくか。風爆(バースト)刃嵐(ストームエッジ)!!」

 風雷系中級魔法で強力な風の渦と共に風の刃を前方に射出する魔法だ。初級の風の刃(ウィンド・カッター)は刃を飛ばすだけだが、風爆(バースト)刃嵐(ストームエッジ)は風を堪えているところに不可視の刃が襲いかかるし、風に巻き込まれれば、巻き上げられながら風の刃でズタズタに切り裂かれるエグい魔法だ。


 僕の過剰魔力で無差別に放たれた風爆(バースト)刃嵐(ストームエッジ)は直径20mの物騒な風の渦が全ての木々を吹き飛ばし切り刻みながら直線状にいるありとあらゆる物を吹き飛ばし切り刻んだ。


「相変わらずの物騒な魔法なのです!森林も生態系も無秩序に破壊するとは、さすが平穏の壊し手なのです!」

 横で並走するポメが全く息切れもさせずに毒を吐いてくる。平穏の壊し手って……どこぞの魔王みたいな二つ名だなぁ。

 そう言われても仕方ないくらい、僕の目の前には、身体を半分に断たれた魔獣や魔蟲が蠢き、僕を恨むような目で見ていた。でもこの魔物達も、好きあらば僕達を餌にしようとしていたことは間違いない敵対生物だから、仕方ないと思う。


 風爆(バースト)刃嵐(ストームエッジ)により、ほぼ更地になり障害が無くなった道を僕達は、再び駆け始める。


グォォォォォォッッッ!!


 その道の先に轟くような咆哮が鳴り響くと、途轍もないプレッシャーが僕達を襲う。その方向とプレッシャーは、この道の先に、相当に強力な魔物が待ち構えているのを予感させるのであった。


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