第028話(仲間増員?!)
火燕を守るために、風爆隼を撃退した僕は、手の中で震えている火燕を覗き見る。
火燕からしてみれば、かなりの大きさになる僕の手の平に囚われていて、翼が折れて逃げ出せもしないから、かなりの恐怖を感じて身体を強張らせているみたいだ。
「また助けるつもりです?」
「このまま見捨てるのも、後味が悪いんだよね」
「御主人様は考えなしすぎます!ポメは自然は自然のままにするべきだと思うのです!」
「と言ってもねぇ」
「そんな目につくもの全て助けてたら、いつまで立っても先に進めないし、面倒事が際限なく増えるのです!」
「うーん。取り敢えず、コレで最後にするからどうにかならない?」
「そんな信用できない事を……まぁ仕方ないのです。……チチチチチ、ピッピィッ」
ピピィ?
「チチチ、ピピィッ!」
ピッピッ、ピピィッ!
「……取り敢えず害さないことは伝えて、わかってもらえたようです」
「鳥とも会話できるんだ……ポメ凄いね」
「だから、超高性能万能メイドだと何度言えばわかるのです?」
手の中の火燕に着目してみると、体の震えが止まていいて、僕の顔を不思議そうに見上げている。
ピピィ?
何?という風に首を傾げているのがとても可愛い。
「下級肉体損傷回復!」
僕は肉体損傷を回復する魔法を起動する。柔らかい光が火燕を包みゆらゆら揺れる。
しばらくして光が収まると、火燕が不思議そうな顔で折れた翼に視線を送る。少し首を傾げると、意を決っして翼に力を入れる。
パサッ、パサパサッ
軽く翼を羽ばたかせてみて、痛みや動きに問題ない事を確認すると、さらに翼を少し強く振り、そして力強く飛び立つ。
「あぁ、無事に治ったみたいだね。よかったよ」
嬉しそうに僕達の頭上を旋回する火燕を、みんなで眺めながら僕は呟く。あの骨折じゃ二度と飛べないと思っていた所、再び飛べるようになったので嬉しいのだろう。
「じゃぁ、先に進もうか」
火燕が元気そうに飛ぶ姿をしばらく眺めていた僕は、ポメとファングに声をかける。
ポメはやっとかという表情で、ファングは元気の良い鳴き声で応えるのを聞いて、僕はもう一度火燕を見上げる。
「元気にやるんだよ!今度は助けられないからしっかりね!」
夢中になって飛んでいるので、僕の声が届いているかどうかわからないけど、伝われば良いな。そうして僕達は、再び獣道に入り、鬱蒼とした森の中に入ろうとする。
ピピィィィィィッッッ!!
気持ちよさそうに空を飛んでいた火燕が、何を思ったのか物凄い勢いで、森に入ろうとした僕に突っ込んでくる。
僕は咄嗟に腕を顔面で交差させて、衝撃から身を守ろうとする。
ピピィ♪
そんな僕の耳元で勝ち誇ったような鳴き声がする。そして肩口に微妙な重さも感じる。恐る恐る腕の交差を解いて、肩口に目を向けると、予想通り火燕が僕の肩口に止まり、僕の方を見ながら首を傾げている。
「どうやらついてくるようなのです」
「そっかー」
助けた恩を感じたのか、この森を一匹で生きていくのは辛いと思ったのか、何にせよ同行者が一人増えたようだ。
「よろしく……えーっと」
そういえば名前がないな。この火燕に聞いても名前なんて無いと思うし。
「えーっと、一緒に来るなら、ビークって呼ばせて貰うけど良いかな?」
ピピィ♪
僕の提案に嬉しそうに応える火燕。これからはビークと呼ぶことにする。
ビークも名前をつけてもらったのが嬉しいのか、頭を僕の頬に擦り付けてくる。
僕達のパーティは同行者が1匹増え、メイドのポメ、風狼のファング、火燕のビークと2人+2匹のパーティとなった。
そして森を掻き分けて進む僕は、かなりの距離を歩いてきた経験が蓄積し、獣道などに慣れ始めてきていて、周りに生えている草木の種類や、そういうものにどのように毒虫が隠れているかなど、色々な知識が身についてきた。その為、自然に危険な場所と危険ではない場所がわかり、結果進む速度も早くなってきた。
また毒虫とはいえ、小さい虫はビークの主食になるらしく、僕達がある草木に潜んでいる毒虫などは、大体ビークが啄んでしまっているので、安全度は増している。
そうして僕達は、途中に立ちはだかる敵対生物を倒しながら、森の外に出るべく歩みをすすめるのだった。




