第011話(現状説明?!)
濃紫色のメイド服を着て、ふりふりのついたカチューシャを付けた2.5頭身の敵対生物殲滅メイドという、何か設定マシマシで物騒なメイドのポメが従者になったので、俺はこの世界の事を聞いてみる。
この世界は地球と同じように、海や大陸、森や川、砂漠に凍土などがある惑星らしい。ポメはかなり昔の旧文明時代に繁栄していた人類が作った魔導人形だそうだ。旧文明は何らかの原因で滅んでおり、このような施設が遺跡のように各地に点在しているそうだ。ポメは滅亡の理由を知っていそうな素振りだったが。
現在の人類は、旧文明時代に比べ相当衰退しているが、この星で最も繁栄している生物らしい。ただ魔獣と呼ばれる獣達に生活圏を脅かされているらしいが。そして業の深いことに幾つもの国を立ち上げて、人間同士で覇を競い合っているらしい。
「どこまで行っても人間は繁栄して、殺しあっているんだなぁ」
「滅亡を危惧するほどの外敵がいなければ、知的生命体としては当然の帰結なのです」
「確かにそうなんだろうけど、何とも業が深い生き物だよな」
「全てがポメみたいな敵対生物殲滅メイドなら、そんな事にはならないのです!」
「いや、全部がポメだったら殲滅戦が始まって、完膚なきまで惑星が破壊されるだろ……」
ぴぴゅー♪
俺の突っ込みに下手くそな口笛で誤魔化すポメ。コイツ何かヤバイもの隠してるなと、俺は思うが、怖すぎるのでスルーすることにした。
そして、なんで旧文明時代に作られて、先程まで起動していなかった癖にポメがそんな事を知っているかというと、叡智の眼という情報収集と分析をし続けている人工衛星のシステムにアクセスして、情報を得たようだ。
「魔導人形で叡智の眼にアクセスできるのは、本当に一握りだけなのです!ポメは素晴らしく高性能で選ばれた魔導人形メイドなのです!そんじょそこらの量産品とはスペックが違うです。チン◯スな御主人様にはもったいない程の高性能機なのです!」
ポメは誇らしげに胸を張って自慢する。2.5頭身キャラが胸を張っても、全く威厳がないのだが、まぁ確かにポメの言う通り高性能なのは間違いない事には同意できる。
そして謎の種族:星を識る者とは旧文明時代に星を識り、効率的に星の力を使えるように最適化された種族らしい。
俺はどうやら冷凍睡眠していた旧文明時代の種族の子供に転生したらしい。そしてポメが他の生体反応を探索した所、残念ながら、ここの施設で生き残っている旧文明時代の人はいないらしい。俺が唯一の生き残りだそうだ。
しかし、さっきから所有者を扱き下ろすような暴言の数々を受けていると、実は封印されてしまったポンコツメイドなのではないだろうか?と俺は訝しげにポメを見る。
「なにか文句があるのです?小さい小さい御主人様?」
「うーん。まぁいいや。こんなのでも、いないよりマシだし」
「まっ!こんな高性能で可愛らしいポメに何たる暴言!そんな御主人様はタンスの角に小指をぶつけて、のたうち回りながら後悔のダンスでも踊るがいいのです!」
「よくもまぁそれだけポンポンと暴言が出てくるねぇ……」
俺は呆れ顔でポメをジト目で見る。一方ポメも納得いかないらしく俺をジト目で見る。
「何か納得いかない気がしますが、とりあえず施設の案内がてら食事にでもするです。さぁその短い足で頑張ってついてくるのです」
ポメはそう言うと、『Caretaker Preparation Room』を出ていく。俺も肩を竦めて大きくため息をつくと、ポメについていく。
「この階層は、旧文明時代の緊急避難用のシェルターだったです。なので現在位置は、かなーり地下深くの階層になるです」
「どうりで窓が一つもないし、外の物音も全く聞こえないわけだな」
「あ!ありましたです。昇降機です」
俺はキョロキョロと施設の壁を見比べながらついていくと、ポメが昇降機を見つける。
馴染みのある▲ボタンが付いている。ここが最下層なのか▼ボタンは無いようだ。ポメが背伸びして、プルプル震えながら、▲ボタンを押す。
このなんとかポメが押せるか押せないかギリギリの高さにボタンがあるって事は、おそらくポメが押すことを想定されていないんだろう。という事は、やっぱりポメはこの施設に最適化された魔導人形ではないだろう。となると、やはり問題があって封印されていたのではないかと俺は勘ぐってしまう。
とはいえ、転生したこの世界の事を全く知らないわけだから、それでもポメを頼らざるを得ないんだけどな。
ポメが▲ボタンを押して、しばらくすると、目の前の扉が開く。ポメがスタスタと入っていくので、俺も追いかけて昇降機に乗り込む。
そして、またプルプルと背伸びをしながら、B3と書かれたボタンを押す。ちなみにこの階はB73らしい。ポメの言っていた通り、相当深い階層らしい。でもB73の上の階はB5となっているので、途中に施設はなく、一気に68階層分地下に潜っているらしい。
70階層分を一気に上に昇るので、相当な速度が出ていて、俺の身体は床に押し付けられるように引っ張られる。
加速する際だけ引っ張られたが、すぐに解放されてしばらくすると、今度はからだが浮くような減速が起こり、ポーンという軽い音がすると、昇降機が止まる。
開いたドアの先は先程と同じような通路が伸びていた。昇降機のドアが開くと、手前から奥に向かって、ライトが次々に灯っていく。
ポメは悩むことなく、昇降機を降り、テクテクと歩いていくと、大きながガラス扉があるところで立ち止まる。
「ここの中に行けば、燃費の悪い御主人様でも、少しは食べられるものが残っているはずなのです」
ポメが相変わらずの説明をしていると、大きなガラス扉が開いていき、ポメと俺はその中に入っていくのだった。




