表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

少女の花占い


 少年と少女達が、遊具で遊んでいますね。

まだ小さな子供達の足元には、何度踏まれても、何度でも芽吹く小さな黄色い蒲公英が咲いています。

 子供達の元気に負けない生命力の持つ蒲公英と少女の恋心、そんな物語。


「ねぇ待ってよ!!!」


男の子についていくのに必死な女の子は、少しずつその距離が開いて行き、追いつく事ができなくなります。


「もぉ!!!!」


地団駄を踏みながら、女の子は感情を表します。

すると、1人の男の子が、少女に駆け寄ってきました。


「遅いんだよっ、早く来い」


そう言いながら、手を伸ばしてきます。

小さくも、その優しさは少女の心に大きく作用します。

しかし、少女はまだ子供、負けん気の方が勝ってしまうのです。


「ふんっ、知らない!ほっといて!」


ついつい意地を張ってしまうのです。

困った男の子は、頭をかきながら


「こないのか?置いていくぞ?」


少し、寂しげな表情を浮かべながらもそう言います。


「好きにしてっ!」


「はぁ、じゃあもういい先行くからな!後で泣いても知らないぞ!」


そう言いながら、男の子は他の男の子の元へと去って行きます。


「もぉ!もぉ!もぉ!」


本当は、一緒に行きたかったのにと少女はへそを曲げて座り込んでしまいました。

頬を膨らましながら、瞳は少しずつ視界を滲ませて、今にも溢れそうになります。

すると目の前に、小さな花が咲いています。

溜まった涙を袖で拭い、花を引っこ抜いた少女は


「好き、嫌い、好き、嫌い....」


花びらを一枚づつ、ちぎりながら、さっきの男の子を思い浮かべて数えていくのです。


「好き...嫌い...」


「嫌い」


花びらは無くなってしまいました。

少女は、また頬を膨らまして辺りを見回します。

すると、少し離れたところにまた同じ花が咲いています。

再び手に取り


「好き...嫌い」


と、数を数えていきます。

大人になれば、パッと見るだけで分かってしまうほどの花びらの数を必死に数えながら、男の子を思い浮かべ


「嫌い...好き....嫌い」


また「嫌い」で終わってしまいます。

少女は何度でも繰り返します。

自分が納得するまで、その言葉で終わるまで、何度でも花をちぎって想いを乗せていきます。


「好き...嫌い...」


「おいっ!何やってるんだよ」


すると、男の子はやはり少女が心配なのか再び戻って来てしまいました。


「あっ、なんでもないっ!!」


少女は慌てて、その花を捨て、男の子の方を見ます。


「ほら、行くぞ!手出せよ!」


男の子は、また手を伸ばして少女を連れて行こうとします。

少女も、気持ちが落ち着き、手を伸ばしその手をギュッと握り立ち上がりました。

それを引っ張る様に、男の子は力を入れて 

みんなの元にと連れて行く。


「何してたんだよ、花ちぎりながら」


「なんでもないっ!知らない!」


少女は、頬を膨らませるも、その頬は赤く染まり、握った手は繋いだまま駆けていく

捨てられた、たんぽぽの花には、一枚の花びらを残してーーーー

やがて、たんぽぽは綿毛になり、それが芽となり、冬を越え、またこの季節に黄色い花を沢山咲かせるように、少女の小さな恋心は、小さな男の子に運ばれ、その心に芽吹き、いつかその恋が花咲く時までゆっくり季節を超えてゆくーーーー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ