ループ1 固定点の消失
昔から出来は良かった。周囲から神童などと呼ばれることさえあった。
それを羨み見上げる一人の影がある。少々歪ではあったが本人達は確かな絆を持ち、平和な日々を共に過ごしていた、なのにどうしてこうなった。
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時刻は昼、ちょうどサラリーマン達が昼飯を食べるために大急ぎで駆ける位の時間帯
オーガ:「ちくしょ、いくら楽しみだったからって哲学書読みを徹夜は駄目だな。まだ頭いてぇわ」
こんな時間に登校しているのは先日本屋で買った本を読むために徹夜した結果寝過ごしたからであった。
オーガ:「はぁ…まぁ休んでもいいんだがなぁ。」
そのまま休んでしまおうかと考えたが、藤嶺に大切な話があるから来いとわざわざ電話で催促されたので思い直した。
オーガ:「こういうときは九分九厘くだらないことなのだが、行かなかったらそれはそれでめんどくさいことになるしな。」
まぁ、いいかと。学校へと行くことにした。
オーガ:「……?昼休みくらいなはずだが妙に静かだな?」
それどころかまだ一度も人を見ていない。しかもいくつかの教室を覗くと床が抜け落ちてしまっていたり、植物が生い茂っていたり、荒れ果てて灰になっていたりした。
これは一体…まさか藤嶺の言っていた大切な話とはこの事についてなのだろうか。この時安全面から言えばすぐに引き返すべきだったが好奇心が勝ってしまった。
そうこうしているうちに自分のクラスまでたどり着く。
オーガ:「おい、バカイ!これはどういう状況だ。一体この学校で何…が?」
???:「これでおしまい。暴れても苦しむだけとちゃんと忠告したよね。」
カイ:「!!さっくん…!にげっ…」
深々と帽子を被った人物は藤嶺を掴んだまま捻り息の根を止めた。
現実確認の為に周囲を見渡すとクラスメイトと教員らしき物体が床に横たわっていた。その事実を認識しやっと脳が追い付いてきたのか強烈な死臭に悶える。
オーガ:「げほっ!おえ!お前…なんなんだ、なにが…目的だ。」
???:「友達からの忠告はちゃんと聞きなよ、それにもうその質問は飽きるほど聞いたよ、でも昼過ぎまで学校に来ない生徒なんて聞いてないよ、陰で計画にズレがでちゃった。ヤバいなぁみんなのためにも失敗するわけにはいかないんだよ、正直まずいかもしれないなぁ」
何を言っているんだ、ワケが分からんが大方狂った殺人鬼かカルト化した信奉者といったところだろう。
幸い今奴は自分の世界に入り込んでいる。つまり逃げ時だ。そうして扉にゆっくりと手をかけるが
???:「逃がすわけないでしょ」
投げられたナイフのようなものが手に突き刺さる。
オーガ:「あああああああああああ!痛い!痛い!いたい!」
???:「ああもう、うるさいなぁ。戦争を知らないガキってのは五月蝿すぎて困る。まあ、もう喋れなくなるんだけどね。」
ジリジリと近づいてくる殺人鬼(仮)、こっちはもう腰が抜けて動けない。こうしてよく見るとなんだか悲しげな顔にも見える。
???:「これで……終わりだっ!」
ナイフで突き刺され絶命するかに思われたその刹那、恐怖のあまり瞑っていた目を開くと、目の前の殺人鬼(仮)の腹がライトセイバー(みたいなもの)で貫かれていた。
???:「ぐぼぁ!はは、やっぱ時間足んなかったかぁ運が無いなぁ、誰に似たんだろうね。でも最低限やるべきことはやった精々苦しみ挫折するがいいさ。」
そうして、いつの間にか背後にいたフードの初老の男に両断される。どうやら、殺人鬼は女だったようだ。
オーガ:「…………。は、ふはは、教室テーマパーク化、猟奇的殺人の次は近未来型暗殺者ってか?もういいよ充分だ、お腹いっぱいなんだよ、もう好きにしろよ。」
???:「どうした、いつもの中二病は。らしくないではないか。」
オーガ:「…は?うるせぇな!あんなのただのポーズなんだよ!そもそもこんなこと言い出したのもなあ!……あれ?なんでだっけ?ああ…駄目だ、頭もう回んねぇよ…」
???:「私は貴様を助けに来た。確定した現実を改変しろ、どのような手段を用いてもな。それが貴様が今唯一なすべきことだ」
オーガ:「…は?」
この時から俺の人生は狂いだした。
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