09
お待たせしました。
明日か、明後日にはもう一本、投稿したいです。
よろしくお願いします。
「そういえば、どうして、アクシア様のスキルはカード化したのでしょうか?」
「それが……私も色々と調べたのですが、他でスキルがカード化したという、話も聞いていないですし、私が持つスキルも出来るか試してみましたが……どうすればいいのかもわからず」
ウィリアムは腕を組み、机に置かれたカードを見て唸る。
「うっ?」
「何だ?」
置かれたカードの1枚が輝き、エルヴィスと、ウィリアムは目に手を添え、光から目を背ける。
『『その理由は簡単』』
『私達が、アクシアのスキルと私達を』
『来るカード使いが世に産まれ、カード使いの力になる為』
『『私達が、カード化にした』』
突然聞こえた二種類の声。
光が収まり、目の眩みもマシになり、声の方を見て驚く。
ウィリアムは、いつの間にか机の横に浮き立つ、容姿のよく似た双子の天使を見て。
エルヴィスは、3枚のカードの1枚に描かれていた双天使の絵が実物化している事に。
また、カードの双天使の絵は消え、真っ白くなっている。
『『私達、五大神の一柱、命の輪廻を司る女神シェラーの使い』』
『生の天使、エル』
『同じく、死の天使、アル』
『『ここに、見参!』』
そう言って、左右対象のポーズを決める、双子の天使。
生の天使エルは、腰まである長い淡い金色の髪を、先端の部分で金具の髪止めでまとめている。
真っ白い肌の天使。
死の天使アルは、腰まである長い銀色の髪を、同じように、先端を金具の髪止めでまとめた、褐色の天使。
2体とも、白いゆったりした光沢のある布で、足首まであり、スリットが入ったワンピースを腰元で同じく布の帯で絞めている……様な服着ている。
澄んだ水色の目も、双子ならではのよく似た美しい顔立ち、スラッとした体型、フルートの音の様な声、背中の肩甲骨辺りからのびる白い翼、誰もが見とれてしまいそうだ。
……ただ、身体のサイズが1メートルもなく、見た目が、よく出来た美しい人形だった……が、机の横、空中を浮いている。
「「……」」
『『……あれ?
お~い、どうしたの~』』
エルヴィスと、ウィリアムが驚きで固まり、反応がないので、双子の天使は首を傾げ、別々に2人の目の前を手を振る。
「はっ?」
『おっ?』
反応を取り戻した、ウィリアムはソファーから飛び降り、膝をつき、祈りのポーズをとる。
「……天使?」
『そうだよ、エルヴィス。
やっと、会えたね?』
手を振っていた死の天使アルが、驚きで動けないエルヴィスの顔を、両手ではさみ微笑む。
『許します、ウィリアム。
ソファーに座りなさい』
生の天使エルが、ウィリアムの肩に手を添え、座る事を進める。
「……はい、では、失礼をして」
恐る恐る、失礼のない様に座るウィリアム。
『ふふ、ウィリアム、面白い。
アクシアだって、そこまで私達におそれを取らなかった』
『エル、ウィリアムは信心深いのです。
からかっては駄目です』
『そうね、アル。
ごめんなさい……ウィリアム』
「いえ……いえ、滅相もございません。
まさか、こうして、神の使いである、天使様を尊顔出来るとは……神官長として、嬉しく思います」
ウィリアムは、感動のあまり涙を流す。
『『ウィリアムに、神々の祝福を……』』
ウィリアムを見て、双子の天使は、顔を見合せ、微笑み、頷き、ウィリアムに祝福を与えた。
「おお……ありがとうございます」
ウィリアムは、その場で祈りを捧げた。
『『さて、これ以上は時間がもったいない。
んんっ!
エルヴィス……貴方も色々と質問もあるでしょうが、とりあえずは聞きなさい』』
「はい」
『よろしい、エルヴィス。
貴方は、ウィリアム達にも言われた通り、神々に授けられたスキル、カードを使いこなしなさい』
『私達のカードに触れ、能力の解放がなされたはずです。
その能力は、強力です。
ある意味、神々の力に近づく程に』
『神々は慎重に選びました。
それほど、カードの能力は特別。
貴方は、神々の特別……切り札。
気をつけなさい。
自分の信念を貫き、ウィリアムの教えを裏切らない様に』
『……どの様な人物であろうと、神々はスキルを授けます。
そして、悪行に使う物達が現れます。
また、そういう人物は、世界に漂う邪気を取り込みやすくなり、魔族となってしまいます。
ウィリアムは、魔族の王を倒す事が、貴方の使命と言いましたが、それだけではありません』
『この国のから、更に、海を南下した場所に島があります。
その島の中央、火山の中、邪気の塊ともいえる存在が眠っています』
『その存在は、眠りながらも火山が噴火する度に、邪気が世界に吹き渡り、世界を支配しようとしています。
魔族は、その存在の駒という訳です。
エルヴィスは、仲間を集め、その存在を消滅させる……それが、貴方に課せられた使命です。
とても、とても重いです』
『その為、強力な能力を授けた者達を、神々は選びました。
まだまだ、その様な者達も増えていくでしょう。
たが、それは、神々にとっても紙一重の選択。
神々の、世界に降りられません。
だから、私達、天使を世界に向かわせました。
だが、神々は、これ以上の手出しが出来ません。
故に』
『『エルヴィス……カードの能力の力を使いこなしなさい。
技術を完全に身につけなさい。
能力の意味を熟知しなさい。
私達、天使は、まだ存在します。
見つけなさい、出会いなさい、認められなさい。
……まずは、私達ら条件を授けます。
強くなり、レベルを上げ、アクシアのスキルを使える様になりなさい。
それが、条件です』』
「はい、頑張ります」
『『よろしい……次に、ウィリアム』』
「はっ!」
『……貴方は、エルヴィス拠り所として、エルヴィスを守りなさい。
エルヴィスを、導きなさい。
エルヴィスが、道を間違わない様に』
「はい」
『……そして、私達が、今、話した内容は、他の大神官長、ならびに神殿への報告はしてはなりません』
「……なぜ、でしょう?」
『これも、人の心が……神官であっても、神殿の者、全てが一枚岩ではないからです。
貴方の様に心の強い者もいれば、心が弱い者もいる。
エルヴィスが、それにより、道を外さないとは限りません』
「……わかりました。
このウィリアム、神命承りました」
『『さて、そろそろ時間ですね。
エルヴィスは、いつか、いつでも話せる時が来るでしょう。
ウィリアムは、これで最後となります。
2人とも、精進しなさい』』
「はっ、わかりました」
「頑張ります」
『『では、さらばです』』
双子の天使は、出てきた時と同じ様に、輝き姿を消した。
カードに、再び双子の天使が描かれていた。
「はあ、さすがに驚く内容でした。
エルヴィス……まだまだ、話したい事がありますが、そろそろ、お昼になりますね?」
「あっ、アーノルドさん達との約束!」
「ええ、また、貴方が戻ってきて、時間がら取れたら話し合いましょう。
……アーノルド殿にも、魔族云々、貴方の使命等は話さない方がよいでしょう」
「わかりました。
では、行ってきます」
「気をつけなさい」
「はい」
エルヴィスは、頭を下げ、部屋を出ていった。
「しかし……エルヴィスもですが、私もとんでもなく重いですね」
ウィリアムは、ソファーに深く座り込み、頭を縁に置き、深く息をはいた。
「私に、彼達を導く事が出来るのでしょうか?
アクシア様……アクシア様なら、うまく導かせれたのでしょうが……自信ありませんね。
せめて、話せる仲間が欲しい」
嘆くだけ、嘆いて不満を言葉にし、ウィリアムは、口角をあげ、心に気合いを入れた。
「まあ、そう言ってられないですね。
やる事はやらなければ。
しかし、本当……人生、何があるかわかりませんね」
双子の天使に聞いた話をまとめ、他の運命の子や、世界の情報を集める事にし、自分に出来る行動を起こした。
ブクマ登録、ありがとうございました。
前回とよく似た内容ですが、より主人公にかかる運命をもう少し詳しくな話です。