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特殊能力:カード  作者: マス シゲナ
3/24

03

 ウィリアムに挨拶して、神殿を出たエルヴィスだったが、冒険者ギルドに向かわず、町のはずれにある高台に来ていた。


 高台から見える町の風景をぼんやりと座り眺めながら、ウィリアムに言われた事を考えていた。


 ウィリアムから返してもらった、お金はしばらくの生活どころか、安い家を買うくらいの十分な金額だった。

 どうりで孤児院の生活が結構な豊かさをもっていたはずだ。

 決して贅沢ではなったが、それでも食事や衣服などしっかりと行き渡り、神殿や孤児院はちゃんとした建物で、孤児の身のまわりも清潔感を保っていた訳だった。


 僕だけでなく、他の孤児達も同じ様に、お金とともに預けられていたなら、ひもじい思いしないし、また簡単な仕事を神殿が受け賃金が入り、神殿からお小遣いとして貰えていたはずた。

 受け取ったお金の中にその一部も入っているらしい。


 まあ、そのお陰でお金の心配はなくなったから、それはいいとして、スキルだ。


 カード……いったい、どのような能力なんだろう?


 やっぱり、剣の能力が欲しかったな。



「よう!

 エルヴィスじゃないか……どした、こんな所で?」

 ぼー、としていたら、後ろから声がかけられた。


 後ろをみれば、見慣れた人物だった。

 髪の毛を全て剃りあげた頭に厚めの布帽子を被り、はち切れんばかりの筋肉に服が引っ張られ、その上に胸と胴体を金属で守った鎧を着ている。

 横でとめているベルトも、いつか切れそうだ。

 腰には長く重そうなロングソードが鞘に入り、ぶら下がっている。

 全身が筋肉の塊の様な男、冒険者Bランクのアーノルド・ロイドだった。


 彼も、エルヴィスが頼み込んで剣を教えてくれた冒険者の1人だ。


「アーノルドさん」


「おう、何だ?

 しけた顔しやがって、何か悩みでもあんのか?

 ん、話してみろよ」

 目線を合わせる様にしゃがみ、聞いてきた。


 ……アーノルドさんの事知らなかったら、単にいちゃもんをつけられてるみたいだ。


「えっと」

 僕は、スキル授与の儀式で授かったスキルの事、これからの生活の事等、ウィリアム様に言われた事を話した。


「ふーん?

 なるほどなー、まあ、生活に関しては、お前がしっかり考えて無茶さえしなければ何とかなるさ。

 大神官長様だって、そう思っているから金を渡したんだろ?

 後、スキルだがな?

 カードだっけ?

 確かに剣の能力に関係ないわな。

 でもな、お前、勘違いしてないか?

 剣や槍、そういった武器の能力とか、魔法とか貰えなかったら冒険者になれないと思ってるだろ?」

 アーノルドは、そう言ってステータスと唱える。


「……」


「エルヴィス……俺の授かったスキルなんだと思う?」


「え?

 えー、と身体強化とか、筋肉増幅とか?」


「ばっか!

 違ぇよ……俺のスキルは、ほれ、オープン」

 アーノルドはステータスをエルヴィスに開示した。


  名前:アーノルド・ロイド

  職業:冒険者

  レベル:27

  体力:54/60

  魔力:23/23

  筋力:51

  速力:36

  知力:15

  器用:26

  運力:2


  能力:料理・レベル10

  身体強化・レベル5

  剣術・レベル4

  瞬間速度・レベル3


「どうだ?」


「すごい……レベル」

 アーノルドは、エルヴィスの感心のしどころの間違いに、膝の上に置いていた腕がずり落ちた。


「だから、違ぇよ!

 基本能力の下、スキル1つ目だよ。

 何て出ている」


「……料理?」


「そう、料理だ。

 これが俺が神々から授かった、最初のスキルだ」


「え?」


「誰しもが、12歳になって祈りを捧げたら、基本能力の下、最初にスキルが載る。

 例外なくな……その後のスキルは、俺が努力して身につけたスキルだ。

 剣術にしろ、身体強化にしろ、冒険者で剣を振り続け、身体を鍛え、魔物を倒しまくれば、いつか覚えていたぞ」


「本当ですか?」


「嘘言って、どうする。

 そりゃ~よ?

 最初から、神様にそんなスキル貰えりゃー、楽、だよな?

 でも、あれだ?

 自分で剣振って、身体鍛えて、ある日、スキルが身につけたなら、努力したかいあるよな?

 ちなみに、俺のスキル、料理だがよ?

 やっぱり料理しなきゃ、宝の持ち腐れだしな……いろんな料理、作ったぜ。

 結構、楽しかったのもあるが……レベルが上がるのも、面白かったしな。

 ……ああ、でも、お前の場合、大神官長の言った通り、お前のスキル、カードの研究はしっかりとやれよ?

 もしかしたら、戦いに必要な事、覚えられるかもしんめぇ?

 何が出来るか……てのも、考えれば楽しみだろ?」


「そう……かも、しれない」


「だろ?」

 2人は、ニヤリと笑いあう。


「ところでよ?

 お前、ギルドに行かねぇのか?」


「あー、行くつもりだったんですけど、考え事したかったんで」


「ここに来た、と?」


「……はい」


「そっか……んじゃ、行くか?

 ギルドに……みんな、待ってるからよ」


「えっ?

 何でですか?」


「そりゃ……あー、もう、面倒くせー!

 さっさと行くぞ、おら!」

 アーノルドは立ち上がり、エルヴィスの服のえりを掴み持ち上げ、引きずって歩き出す。


「ちょっ、待ってください。

 ちゃんと歩きますから、手を離してくださいって」


「チッ……さっさとしろ、おらっ」

 アーノルドは、エルヴィスを解放し、町に向かって再び歩き出す。


「待ってくださいよ、アーノルドさん」

 自由になったエルヴィスも、アーノルドの後を追いかけた。



 町に戻り、ギルドに向かう途中、黒い衣装を着た辻の占い師が、道端で椅子に座り、テーブルに両肘をついて構えていた。


「ふむ……おい、エルヴィス」

 アーノルドは立ち止まり、占い師を見た。


「何ですか?」


「ちょっと、占ってもらうか?

 金は出してやるよ」


「えっ、でも?」


「まあ、良いじゃねぇか?

 お前の人生、見てもらえよっ、な?

 まあ、誕生日のプレゼントみたいなもんだ」


「……良いんですか?」


「おう……占い師さんよ?

 ちょっと、コイツ見てやってくれねぇか?」


「ええ、良いわよ。

 坊や、そこに座ってくれるかしら?」

 占い師はフードで顔が見えなかったが、声からして若い女性の様に思えた。


 エルヴィスはおずおずと、占い師と対面の椅子に座った。


「じゃあ、何を占おうかしら?」


「おう、コイツ、今日12歳の儀式で、スキル授かったんだよ。

 んで、どうしたらいいか、わからないらしくてな。

 道しるべ的な事、占ってやってくれよ」


「ふーん、そうなんだ?

 じゃあ、そうね……これを使おうかしら?」

 占い師は、何十枚と重なった占いのカードを取り出した。


「まずは、この占いのカードを、自分が思う様にシャッフルしてくれるかしら?」

 エルヴィスは言われた通り、占いのカード束を掴み、シャッフルしようとした。


 その時。


 ポーン。

 習得条件が揃いましたので、スキル『占い』を覚えました。

 また、それに伴い、占いカードを好きな時、魔法で作り出せます。


 エルヴィスの頭の中で声が聞こえた。



今回は、ここまでとなります。

次回は、別の作品、1作目の続き1話を書き終えた後、書く予定ですのでしばらく日にちが開きます。


1作目も最終章に入ってます。

気になる方は、作者名をクリックしてみてください。

今後とも、よろしくお願いします。

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