02
「「カード?」」
エルヴィスとウィリアムは2人して首を傾げた。
「ウィリアム様?
このカードって何ですか?」
エルヴィスが尋ねると、ウィリアムはステータスを見て、ぶつぶつと呟いている。
「ウィリアム様!」
「えっ?
あ……エルヴィス、申し訳ありません。
実は、特殊能力というのが、神々より授かりしスキルなのです。
なのですが……本来、ここは能力と出ます。
特殊能力というのは、本当に特殊で、どういった能力なのかはわからないのです。
……いえ、特殊とはいえ、同じ能力を得た者はいます。
その場合、記録にあるので説明出来るのですが……カードという能力は、歴史上、残された記録にはありません。
本当に、オンリーワンな能力です。
ただ、言える事は……残念ながら、エルヴィスが望んだ剣に関する能力ではないと思われます」
「……そんな?」
「エルヴィス、儀式の前に言いましたよね?
望んだスキルが必ずしも授かる訳ではないと」
「……はい」
「では、改めて言います。
カードという能力は今までなかった能力です。
エルヴィスは、カードという能力を研究し、知っていかなくてはいけません。
……まあ、エルヴィスが知らなくてもいいというなら、それはそれでかまわないですが」
「ウィリアム様……僕はどうすれば?」
「エルヴィス……少し厳しい事を言います。
貴方の人生は、貴方のモノです。
人に言われて、生きるというのは怠惰です。
考える事の放棄です。
誰しも、どんな生き方をしても後悔をするでしょう。
考えて、悩んで、少しでも後悔の少ない人生をしなさい。
エルヴィス……今日から1週間は孤児院にいても良いです。
その間に、新たな住まい、仕事……冒険者になるも、ならないも貴方次第ですが、仕事を見つけなさい。
ああ……そうだ、エルヴィス。
少しここで待っていなさい、直ぐに戻ります」
ウィリアムは立ち上がり、祈りの部屋を出ていった。
「神様……どうして、僕に剣のスキルを授けてくれなかったのですか?
ウィリアム様はおっしゃいました。
授かったスキル……カード。
これの能力を知りなさいと。
このスキルの能力を知れば、僕は強くなれるのでしょうか?」
エルヴィスは、その場でもう一度、神々に祈りを捧げた。
「エルヴィス、お待たせ致しました。
……泣いているのですか?」
部屋に戻ってきたウィリアムが見た、エルヴィスは涙を流しながら、祈りを捧げていた。
「……ウィリアム様?
いえ、すみません、もしかしたらと……未練がましいですよね」
エルヴィスは祈りをやめ、涙を乱暴に拭きながら椅子に戻った。
「エルヴィス、これを貴方に」
ウィリアムは何かが入った袋を机の上に置いた。
ーガチャ
どうやら中身は金属……お金みたいだ。
「これは?」
「エルヴィスが、この孤児院に来た時、貴方を助けた冒険者達が置いていったお金です」
ウィリアムは、当事の事、規則に乗っ取ったやり取り、お金の意味を話し、もう1つ袋を取り出した。
「これは、貴方のご両親がしていた夫婦の証、つまりご両親の形見です。
お金とともに、預かっていました。
今、貴方にお返しします」
銀の鎖に青い小さな宝石がついたネックレスだった。
「これからは貴方が大切にもっていなさい」
「はい、ありがとうございます。
ウィリアム様」
エルヴィスにとって、両親の顔もほとんど覚えていないが、両親の首もとで揺れていた、このネックレスは……青い宝石は覚えていた。
「ウィリアム様……ありがとうございます。
これから、冒険者ギルドに登録に行ってきます」
エルヴィスは頭を下げ、部屋を出ていった。
「エルヴィスの人生に幸あれ」
出ていったエルヴィスに、ウィリアムはエルヴィスの幸せを祈った。
補足:1話目のエルヴィスを救った冒険者の中に、狩人の冒険者がいて、逃げる盗賊に支援魔法・追跡をかけ、盗賊のアジトまで追いかけた事により、盗賊を殲滅する事が出来た。
補足2:ウィリアムは、エルヴィスにステータスで出来る事や、後にスキルが発生する事など、話していない事が沢山あります。
これは、自分で気づいたり、他者から学んだりして、知って欲しかった為です。
後、ウィリアムは、結構うっかり者でもあり、他者から「仕方ないなー」と思われ、よく助けてもらってます。
次は、22時に投稿になります。
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