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読んで頂いている方、お待たせしました。
今年最後の投稿です。
よろしくお願いします。
世界に大きなギルドは三つある。
一つ目は、冒険者ギルド、二つ目は、商業ギルド、三つ目は、鍛冶師や、薬師のギルドを含めた弱小ギルドが集まった生産ギルドがある。
冒険者ギルドは、生産を営む者が必要な素材を集めて欲しい場合、生産ギルドを通して冒険者ギルドに依頼が入ったり、各地で現れ発生した魔物の討伐を、国や町、村にて冒険者ギルドに依頼して、冒険者が受ける場所である。
前者は、その依頼通りの素材を生産ギルドに持って行き、依頼書と素材を渡し確認された後、達成のサインされた依頼書を持って冒険者ギルドに持って行けば依頼達成と認められる。
また、討伐依頼は、魔物を倒して取り出した魔石と依頼書を持って行けば依頼達成となる。
これとは別に、討伐した魔物の素材があれば生産ギルドで買い取りしてもらえる。
最後に、商業ギルドの輸送時に護衛として依頼が出る事もある。
もっぱら世界中を移動し、旅を続ける冒険者が受けていた。
生産ギルドは、薬草や鉱石、魔物の素材を買い取り、武器や、防具、薬、道具を生産者が作り、売り出しているが、冒険者が各自で欲しい物を、依頼してで作ってもらう場合、材料を集めて出せば、材料費を省いた加工料と手間賃のみで済む。
勿論、材料を全てギルドから出してもらい作ってもらえば、とんでもない金額になるのは当たり前だ。
商業ギルドは、世界中で、商品や物品の流通を主にしており、また、何かしらの商売を始める時も、土地の売買や、商売の相談、金額の統一等をギルドに登録する事によって、代わりに国へ報告してもらえる。
また、遠い場所からの生産ギルドの依頼を、その地の冒険者ギルドで素材が集め、商業ギルドが運ぶというシステムもある。
こうして三つのギルドは、持ちつ持たれつの関係をもたらしていた。
今回のエルヴィス達は、黒狼の討伐し、素材や薬草等を生産ギルドに売りる予定だ。
エルヴィス達は黒狼の群れがいるとされている森に向かっている。
町を出たあたりから、アーノルドは、エルヴィスに草原や、森、岩陰に生えている薬草を、種類や、効果、取り方等を教えながら歩いていた。
エルヴィスは6歳の頃から、時間があればギルドに顔を出し、アーノルド達や、他の者に色々な事を教えられていたが、薬草の取り方に関しては、誰もエルヴィスに教えてなかった。
薬草一つ取り方にしても様々で、口で教えるには簡単ではなく、今のエルヴィスの様に、皆、先輩冒険者に直で教えられた。
そうしている途中、はぐれのゴブリンを3体見つけた。
エルヴィス達は、それぞれ草むらに隠れ、様子をうかがう。
「エルヴィス、ちょっと聞きたい事があるんだが……昨日、アローが見せた手品、エルヴィスのスキルで〈占い〉みたいに、覚えたんじゃないか?」
アーノルドは小声で、エルヴィスに尋ねた。
「え……あー、確認忘れてました。
ちょっと確認してみます」
ステータスと唱え、エルヴィスは確認する。
名前:エルヴィス・カラード
職業:冒険者Eランク
レベル:3
体力:15/16
魔力:11/11
筋力:14
速力:8
知力:10
器用:15
運力:3
特殊能力:カード
特殊能力:死者カード
特殊召喚:双天使エル・アル
能力:占い
能力:記録
能力:手品
「あっ、あります〈手品〉」
「やっぱり、そうか……じゃあ、あれはどうだ?
アローの奴がやってたカード投げ。
あれ出来るか?
というか、ステータス見せろよ」
じれたアーノルドは、エルヴィスの肩を揺らす。
「馬鹿!
アーノルド、人のステータスを見るのはご法度よ!
わかってる?」
エルヴィスの肩に置かれた手を払い、エリスはアーノルドを叱る。
「だってよ……もう、一度は見てんだ。
それにエルヴィスの場合、特殊能力だから見なきゃわかんねぇんだよ」
エリスの剣幕に、アーノルドは縮こまりながら言い訳する。
「あの……エリスさん。
僕は、別に気にしてないから……」
エルヴィスは見かねて、エリスを押さえ、アーノルドを庇う。
「……なによ、もう~、何か、私が悪いみたいじゃない?
いいわ……あとで二人とも説教だから」
「……ごめんなさい」
拗ねたエリスに、おろおろとエルヴィスがあやまりながら顔を覗く。
「ふ~んだ」
なんとか顔を合わせようと、いろんな角度から覗くエルヴィスに対して、エリスはけっして顔を合わせない。
「あー、エルヴィス。
もういいから、ほっとけ……それよりも、ステータスを」
「……はい、オープン」
出していたステータスを見える様にし、アーノルドが覗き込む。
「何か、色々増えているな。
まあ、とりあえずは……手品をっと」
ステータスの手品の文字に指でつつく。
能力:手品
※常時発現:手品用ゲームカード(魔力2P消費)
スキル〈手品〉より、カードのみの手品を見て技術を覚え出来る。
現在出来る技術:マジック、カードショット
更に、アーノルドは『カードショット』をつつく。
カードショット:カードに魔力を込め、投げて目標に刺す技術。
魔力を込め続ければ威力、硬度が上がる。
追加付与:鋭利、燃火
「やっぱり、か……エルヴィス?」
アーノルドは、自分の予想通りとわかり頷く。
「はい?」
「このカードショットだが、アローが丸太に向けて投げてたヤツだ。
エルヴィス、直ぐに出来るか?」
エルヴィスは目を瞑り、アローがやっていたカードショットを思いうかべ、自分が出来るか考えた。
「……出来ます」
目を開いたエルヴィスは頷く。
「よし、じゃあ、カードを取り出し、魔力を込め、あそこにいる3体のゴブリンに投げてみろ。
あ、この鋭利って付与?
これもつけてな……出来るか?」
「はい……でも?
どうやら、一度に投げれるの5枚が限度みたいです」
ゲームカードを取り出し、感覚でわかった事を告げ、5枚のカードを引抜き、魔力と鋭利の付与を込め、エルヴィスはゴブリン達に目掛け放つ。
カードは各自角度を変え、回転しながら目標のゴブリンに向かっていく。
一番近くにいたゴブリンは、カードに気づき手にした棍棒で1枚弾き、1枚避け、こちらに気づいた。
二番目のゴブリンは、一番近いゴブリンが目隠しとなり、カードは首もとに深く刺さり悲鳴をあげた。
三番目は、カードに気づくが、二番目の悲鳴に驚き反応が遅れ、防御が間に合わず肩と右手首に刺さり、右手に持っていた棍棒を落とした。
二番目のゴブリンが、刺さったカードを引抜き、首から青紫の血が吹き出した。
「エルヴィス、向こうもこちらに気づいた。
黒狼の群れの前哨戦だ。
1人で対応しろ……なに、1体は倒れ、1体は手負いだ。
慎重にいけば大丈夫だ、行け!」
「はい!」
エルヴィスは、剣を腰元から抜き、草むらから飛び出していった。
「……うーん、やっぱり便利だな」
笑顔で見送ったアーノルドは、腕を組んでエルヴィスの能力を鑑みる。
「……ねぇ?」
一連の出来事を見ていたエリスも、エルヴィスの能力が何なのかわからず、戸惑いながらもアーノルドに声をかけた。
「ん?」
「さっきの……エルヴィスのやったのって、アローの宴会芸……だよね?
エルヴィスの能力も……もしかして手品、なの?」
気まずそうな顔で話すエリスに、アーノルドは少し笑ってしまった。
「……なによ?」
「いや、さっき、あんなに人のステータスを見るのはご法度だーって、言ってたくせによ」
「……だって」
「なんて、な……嘘だ。
別に、エルヴィスは気にしてねぇって。
それに、アイツの能力は、俺達みたいに能力に詳しい奴らがいなかったら、難しくて導けないと思うぞ?
実際に、エルヴィスは、そう思ってるはずだ」
「そう、かな?」
「そうさ……と、終わったみたいだな」
残りのゴブリンを倒し、心臓の位置にある魔石を抜き、こちらに向かってきた。
今年も色々と有り過ぎました。
来年はハッピーになりたい……なあ
(´;ω;`)
よいお年を。
来年、初投稿は続きを書く予定です。
元旦初日か、2日には投稿します。
よろしくお願いします。
なるべく早く書ける様になりたいなぁ




