アサリの酒蒸し
ほんの気まぐれに。美味しいお酒か肴を食べたときに、思い付いたお話を綴る。
トクトクトク、と耳心地酔い音が静寂の中に響き渡る。ごく短い時間で一度途切れ、ゴトン、という若干鈍い音。そして再びの、トクトクトク。小さな器の中に、澄んだ液体が満たされる。
瓶を置き、机の上を見渡す。あまりお金をかけることは出来ないけど、それでもそこそこ満足の品々。スルメにサラミにチーズに……といった、学生の宅飲みと考えれば十分な品々。若干おっさんらしい品揃えな気もするけど、そこは気にしてはいけない。
「よっしよっし、準備できた感じ?」
「ついさっき一緒に買ってきたんだし、これ以上何かあるわけ無いでしょ」
「いやいや、実は秘蔵のお酒がサプライズでご登場!みたいな」
「そんなものは無い……というか、合っても俺の趣味の日本酒かウヰスキーだよ、それ」
「うわっちゃー、それはダメだなぁ。日本酒の方はともかく、ウヰスキーは無理だ」
残念無念、と言った顔を一瞬だけして。今にもよだれを垂らしそうな顔で目の前の器……お猪口を見る、眼前の少女。そんな様子に苦笑を漏らしながら、自分の前にある猪口へ手を伸ばす。持ち上げて、中身をちょっと眺めてから、口に当てて傾ける。口内に広がる香りと味わい、不快感のない刺激を味わってから、コクリ、と飲み下した。
「ん~……やっぱり日本酒は美味しいなぁ!」
「うん……色々と飲むけど、やっぱりこれが好きだね」
もう何度目かも分からない感動を覚えつつ、再び二人の猪口を日本酒で満たす。日本酒ではあるが、その種類は違う。
「じゃ、改めて」
こちらが瓶を置く前に、もう掴んで差し出している。早く飲みたいのだろう。若干のほほえましさを覚えつつ、こちらも猪口を手に取った。
「かんぱーい!」」
「乾杯」
まるで違うテンポの言葉で、全く同時に猪口を鳴らして。揃って二人、口内を幸せで満たした。
「あ~……ホント、幸せ……。日本酒美味しい……」
「何だってまた、そんな噛みしめるように」
「ほら、アタシここ最近何回かツレとの飲み会があったじゃん?」
「あったな、そんなことも」
休肝日は大切だ。そんなお互いの共通認識から、週1~2回の宅飲みはどちらかに飲み会があったりすると中止となる。そんな事情から、週1、2回は行っている恒例行事の宅飲みが、若干久しぶりなわけで。
「流石に、女子だけで『楽しー!』って飲み会してる時に日本酒、ってわけにもいかなくてさー」
「そんなものなのか?」
「どこでもそう、ってわけじゃないけどね。アタシのキャラ的に、所属してるグループはそんな感じ。カクテル系とか炭酸系とかフルーツ系とか」
記憶が正しければ、どれも比較的彼女が苦手とする酒ではないだろうか。
「まあそんな事情でさ。楽しいは楽しいし満足なんだけど、それはそれとして日本酒が飲めないことは辛いわけですよ」
「なるほど……ならまあ、満足いくまで飲んでくれ」
「モチモチ♪ありがたくご相伴にあずからせていただきます」
そう言って再び猪口を干したので、瓶を差し出す。猪口が差し出されたので、そちらへ注いだ。
「あ、そだそだ。今日は補充の日本酒も持ってきたから、あとで入れといて」
「了解。何本?」
「720二本。ほら、前はそっちで買ってもらっちゃったから、アタシとアンタの好みを一本ずつね」
「それはまた、ありがとうございます」
「うむうむ、ちゃんと試飲して選んできたから、期待してくれていいよ?」
彼女が「試飲してきた」日本酒がハズレだったことはまずない。今すぐにでものみたい衝動に駆られるが、まだ飲みさしのものがあるのだ。せっかくの美味しい日本酒、衝動に任せて失敗するのは避けたい。
「しっかし、んー……」
「ん?どしたん?」
「いや、入るだろうか、と……」
心配になったので、一度席を立ち冷蔵庫に向かう。一人暮らしの大学生なのに4人家族とかで使うようなサイズのそれを開け、確認。
……酒瓶は減らせないが、この辺りを処理してしまえば入るか。処理時間としてもちょうどいいし、量が多かったから二人いるのも都合がいい。
「うん?何それ?」
「お隣さんからもらったアサリ。昨日から砂抜き始めたし、もう全部吐いてるだろ」
「ほほう、となるとアサリの酒蒸しかな?」
「正解。手軽で時間がかからず、何より日本酒に合う。こんなに都合のいい物もない」
アサリを置き、半分以上のスペースを酒瓶が占めている野菜室を開ける。ネギがあったので、これも一緒に蒸してしまおう。
そして、後考えないといけないのは酒蒸しに使う酒の方だけど……うーむ、どれを使うべきか。
「酒蒸しにするなら」
と、酒瓶を前に悩んでいたら。にゅっと背後から伸びる、細い腕。
「これか、これがいいと思うよ。料理に使っても変な主張もしてこないタイプ」
「ほうほう、分かるので?」
「これでも一応、料理もする女子大生ですから」
「花の女子大生がアサリの酒蒸しに精通してるってのも、どうなんだろうなぁ」
なにおうと背中を小突かれつつ、先ほど指さされた二本から栓が開いている方を選ぶ。量も十分、美味しく仕上がるだろう。
「まな板と包丁借りるよー」
「おー、ソイツは助かる」
なんて返事をする前から、ネギを切る音。大して時間のかかることではないとは言え、とても助かる。
「いやー、それにしてもさ」
「うん?」
と、アサリについて最後の処理をしていると彼女から声をかけられた。
「こうして今アタシ、しれっと台所に立って包丁とまな板取り出したわけじゃん?」
「なんだ、恋人っぽいとでも?」
「オイオイ、先に言うなよ」
大変予想しやすかったので、勘弁してもらいたい。
「まぁなんにせよ、ですよ。恋人っぽいなーと思いつつ、ホントにこれくらいの気楽さが恋人同士って物ならいいのになぁ、と」
「なんだ、また断ったのか?」
「また断ったのですよ。ついでに合コンのお誘いも保留中」
まあこの見た目だ、色々と誘われもするだろう。
「この本性を晒すわけにも行かないし、かといって彼氏作る気も無いのに参加し続けるのもなぁ、と」
「だから何でまたそんなに晒すまいとするのか」
「や、そっちについては晒さないこと以上にその場の雰囲気的な問題」
言われて納得する。確かにその方向に関しては難しそうだ。大学生で日本酒をメインとするのは難易度が高い。
「ならいっそ彼氏がいる、ってことにしてしまえばいいんじゃないか?」
「そうするには証拠写真の類が必須だからなぁ……納得して貰えないと、肩身が狭くて狭くて」
そう言って肩をすくめられては、俺には何も言えない。定期的にこの場を提供するのが精一杯だ。
……こんど、ちょっといいつまみか日本酒でも準備するか。
「はい。……そう言えば、さ」
「うん?」
受け取ったネギを鍋に入れつつ、返事をする。
「そっちはどうなのさ?彼女とかそういうの、ないの?」
「これまでいた試しもないし、周りから聞かれることも無し。枯れ木のような悲しく虚しい大学生活でございます」
「なにそれ。でも、気楽でいいね」
「彼女が欲しい身としては、気楽とも言い切れないんだよなぁ」
がっつり求めてはいないけど、可能なら欲しいとは思う。そんな、複雑な心境。自分から動こうとしないのに欲しいというのは、果たしていかがなものなのだろうか。
「とまぁ、そんな感じ。彼女がいる生活にあこがれはあるけど、明確にどうなのかは分かってない、みたいな」
「あー、まあ分からないではない。『これが恋人という関係です!』みたいな基準も存在しないし、何とも言いがたいところだよねぇ」
「何とも言いがたい関係ですなぁ」
などとテキトーな雑談をしている内にアサリが口を開いたので、火を止める。
自分一人だったらこのままテーブルに持って行くのだけど……まぁ、お客人もいることだし。ちょっと大きめのお皿を取り出して、汁ごと中身を移す。ネギとアサリだけの、超シンプルな酒蒸し。こんなもの美味しくないわけがない。漂う香りに喉を鳴らし、テーブルへ向かう。彼女はいつの間にか席に戻って手酌で再開していた。いつの間に。
「おー、美味しそうに仕上がってる!」
「むっちゃ単純な料理だからなぁ。そのくせ無茶苦茶美味いときた」
「そして当然日本酒にも合う、と」
彼女は躊躇いなく、素手で1つとって汁ごとすするように食べる。勿論行儀は悪いが、ここは外ではなく、何より酒の席である。お互い気にしない以上、美味しい食べ方をするのが正義だ。
「んー、美味い!なんでまたこう、単純な調理手順なのにここまで美味しく仕上がるのか」
「お隣さん、結構いいアサリをお裾分けしてくれたらしいからなぁ。それに、」
と、自分も1つ手に取り、貝殻を満たす汁、身に乗るネギごと啜り込む。うん、美味い。
「お酒のチョイスもいい。俺がテキトーに選んでたらこうはならなかった」
「へっへっへ、これが女子力というものですよ」
「日本酒のチョイスを女子力と呼ぶのか」
「料理の能力ですから」
自信満々に胸を張られては、そうなのかも知れないと考えてしまう。そんな魅力が、彼女にはある。
「んー……あー……」
「どうしました、おっさん」
「誰がおっさんか」
こちとらピチピチの女子大生じゃい、などとどこからどう見てもおっさんな返しをされてしまったため、酒瓶を差し出す。差し出された猪口へ、トクトクと。彼女も酒瓶を尽きだしてきたので、残っていたものを飲み下していただく。ペースを知ってくれている相手からの酌なら、いくらでも受け取る。
そして。彼女が瓶を置くのに合わせて、小さく乾杯。口内を幸せで満たす。
「いやねぇ。やっぱりこの時間、幸せだなぁ、って」
「しみじみとしすぎじゃない?」
「好きなものを、隠すことなく、理解ある人の前で、ゆったり楽しむ。これが幸せじゃなくてなんなのか」
お酒が回ってきたのだろう。若干、口調が変わる。作っていない素の彼女という感じがして、こちらの方が好きだ。
でも、それはそれとして。
「何、酔ってるの?」
「酔ってませんー。と言うか、これくらいで酔わないのは知ってるでしょ?」
「知ってます。知ってるけど、それはそれとして」
「えー。なーんーなーのーさー」
こちらのノリにノってきたのだろう。左右にゆらゆらと揺れながら、そう言ってくる。
「そう言えば、だけど」
「うん?」
「女子の飲み会って、酔ったフリとかするの?」
「え、しないけど」
女子だけの場で酔う人とかいないけど。そんなどうしようもない残酷な現実が、むしろ面白くなってきた。
「そりゃコミュニティとか場とかにもよるんだけど、腹の探り合いって面も少なからずあるからねー。楽しいんだけど純粋に楽しむことは出来ない、みたいなところがあるかなぁ」
「……マジで大変なんだなぁ」
「大変ですよー。それこそ、さっきの話にも引っかかるわけだし」
さっきの話。それはあれか、恋人とか彼氏がどうこうって言う。
「実際のところどうなの、その辺り?」
「とは?」
「ほら、気になる人はいないのか、とかそんな感じの。それだけでもいれば若干丸く収まりそうじゃん?」
「んー……なんとなく、いたらいたで荒れそうな気もするけど」
「荒れるのか」
「この間お断りした人が、ちょっとねぇ」
大学生にもなってそんな危険なヤツがいるのか。天然記念物か何かですか?
「まあそれはそれとして。女子グループの方も若干はマシになりそうだけど、別方向に張り切り出されると困るなぁ、と」
「別方向……成就させるぞー、みたいな?」
「そんな感じ。まあこれだけ男作ってこなかったアタシが気になる相手いる、なんて言い出したら楽しいおもちゃを見つけたとばかりに盛り上がるんじゃないかな?」
何度でも言おう。女子というのも大変なものだ。
「となると、いもしない気になる男子を作り出すのも無理、と」
「無理だろうねー。それならいっそ、いもしない彼氏を作った方がマシ」
「だがしかし、そのいもしない彼氏は物的証拠がないから意味がない、と」
「物的証拠つきでいもしない彼氏をつくりたーい」
いもしない彼氏に物的証拠がある、と言うのも不思議すぎる気がするのだが。存在しないんじゃないのか、それは。
「んー、アサリ美味しー!」
「テンションの乱高下が激しすぎない?」
「いーの、そんなもんで。あの話も酒のつまみにはなるけど、アサリの方が酒のつまみとしては優秀だもの」
判断基準が完全に酒である。実はこの会話、脳みそ介してないんじゃなかろうか。
「まぁ、だからさ。ほら」
と、何故か箸でつままれ差し出されるアサリとネギ。
「なんです、これ?」
「愚痴に付き合ってもらったお礼。ほれほれ、酒が美味くなるだろう?」
大変悔しいがその通りなので、ありがたく口を開ける。そっと差し込まれたそれを租借する。猪口も手に取り、コクリ。
「こういうこと出来ちゃうから男に言い寄られるんじゃないの?」
「いや、こんなこと初めてやったけど。何?惚れちゃったか?」
いっそもう楽しくなってきた。
「もう少し付き合いが浅ければ惚れてたかもな」
「おやおや、ソイツは失敗。挑戦タイミングが遅かったか」
再び互いに酌をして、コクリと酒を飲み下す。
「あ、そっか」
と、何か思い付いたかのように席を立ちこちらにやってくる。何かと思って隣に立つ彼女を見ると、眼鏡を奪い取られ髪をぐしゃぐしゃといじられた。
「え、何?」
「んー?ちょっとした実験みたいなもの、かな」
ちょっと離れ、人の顔を眺めたと思ったら再び髪をいじる。今度はさっきみたいな雑な手つきではなく、しっかりと、整えるように。
「お、これは中々、思ったよりいい出来だ」
「嫌だから、何が」
「ん?んー……これは見てもらった方が早いかな。ほら、こっち向いてー」
「いやもう既に向いてるんだけど」
安定して苦情は取り合うことなく、パシャリ。スマホのレンズを向けられ、写真を撮られた。
「ほらこれ、かなりイメージ変わらない?」
「……うわ、苦手なタイプの同性だ」
「いや自分の顔だと言うに」
そうは言われても苦手なタイプの……大学生全力で楽しんでそうな男子の顔があるのだ。こんな反応になるのも仕方ないだろう。
「でもさ、この通りまるで違う顔つきになったでしょ?」
「まあ、なりましたね」
「そんなところに一つ提案なんだけどさ」
「嫌な予感がするんだけど、聞かないとダメ?」
「聞いて貰えると嬉しいなぁ」
ほらほらぐいっと、などと猪口を渡されてしまっては断りづらい。一杯いただき、くいっと飲み下して話をうながす。
眼前では、片目を閉じて手を合わせる、あからさまなあざとい姿勢。
「偽彼氏、やって?」
「さて、片付け片付けっと」
「もうちょっと聞いてよ」
無茶を言うな、と言う話だ。こんな住む世界の違う美少女と付き合うなんて事になれば仲間内から何を言われるか分かったものじゃなく、面倒になることだけは間違いない。
そうでなかったとしても、だ。ついこの間断った相手が面倒なヤツだと言ってなかったか?
「まあ聞いてみましょうか、一体どんな考えなのか」
「まず一つ目に、『彼氏がいる物的証拠』さえあればひとまず問題ないので、直接会う必要はナシ」
「写真とかで問題ない、と」
つまり、偽彼氏になったからと言って彼女の友人と会ったりする必要は無いわけだ。
「んで二つ目に、さっきの写真の通り君には見えない」
「まあそもそも、そっちの友人の中に俺のことを知ってる人がいるとは思えないけど」
「そうだとしても同じ大学だし、偶然出会っちゃったりしたら面倒じゃない?」
想像するだけでも面倒くさい。避けられるのなら避けるべきだろう。
「とまあ以上の都合から、そっちに害はいかないと思うのですが」
「確かに、害はなさそうだけど……」
合理性、とかそう言う観点で話を進めると何ら問題は無いのだ。何ら問題は無いからこそ、大変困る。
「じゃあ、こっちからの質問なんだけど」
「はいはい?」
「都合がいいし実際に恋人らしいことをするわけではないとは言え、俺でいいの?」
「別にいいよ?少なくとも、アタシの知ってる異性の中では1番好感度高いし」
ホントにコイツ、こう言うことをするから面倒事に巻き込まれてるんじゃないだろうか?天然の人タラシにしか感じられない。
「あー…………」
「お、何だ何だ?顔が赤くなってるぞ?惚れたか?」
「それはないけど、照れてはいる」
「おっ、スナオじゃないか。感心感心」
そんな中目の前で余裕綽々に酒を飲んでいる姿に、若干腹が立つ。
「いいよ、もう。それでそっちが楽に大学生活を過ごせるなら、どうぞご利用ください」
「マジ?やー、マジで助かる」
「いいよ別に、それで親友が助かるなら」
死ぬほど恥ずかしいが、まあこらえるとしよう。これと変なことにはならないだろうし、気楽と言えば気楽だ。
「じゃあ、そうだな……こっちこっち、お猪口持ってきて」
「日本酒感丸出しだけど、いいのか?」
「アタシが飲むのはあれかもだけど、彼氏が飲む分には問題ないって」
なるほどそう言うものなのか、よく分からん。ただまあ言われたとおり、ひとまず猪口を持って壁際へ向かう。
先に座っている彼女が自分の隣に置いてあるクッションをぽんぽんと叩いているのでそこへ座り、腕に抱きつかれたことへの動揺を出さないよう努めつつスマホのレンズへ視線を向ける。
「うん、そうそうそんな感じ。猪口を持った手は若干けだるげにしてもらって」
言われたとおりの姿勢をとり、写真におさめられる。もう二、三枚とったところでようやく解放された。
「よしよし、これで後は明日にでもカミングアウトすればオッケーかな」
「早いな、また」
「善は急げ、ってね。彼氏の趣味が日本酒だから、って理由で日本酒飲めるかもだし」
そんな利点まで考えて猪口を持ってこさせたのか。流石、頭の回転が速い。
「じゃ、飲み再開しよっか!」
「まあ、まだ飲み足りないしね」
「うんうん、つまみも残ってるし、飲むぞー!」
面倒事に解決の方向が見えたためか、より美味しそうに酒を飲む。そんな様子に自分も楽しくなりながら、神と眼鏡を戻して手酌で飲む。
「そだ、このことのお礼に今日の片付けはアタシがやるよ」
「あー……じゃあ、よろしく。俺が寝ちゃってったら鍵はいつも通りにしてくれればいいから」
「ハイハーイ。んじゃ、問題解決を祝して」
と、俺と自分の猪口を満たす。持ち上げて、コツリと鈍い音。
「カンパーイ!」
「乾杯」
ああ、今日も酒が美味しい
そんな気まぐれに、どうかお付き合いくださいませ