表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの魔王経験者、殺人事件を強引に解決する  作者: 遊野 優矢(ゆうや ゆうや)
8/22

FILE 0-8

「なんか、月が2つになってたんだけど!?」


 俺がマンションのテラスに戻ると、白いキャミソール1枚にしめった髪というセクシーな格好のミカが出迎えてくれた。

 シャワーでも浴びていたのだろう。


「見ててくれって言っただろ?」


「なんだったのあの光? 花火かなにか?」


「いや、月の隣で、爆発系の魔法を使ってみた」


「………………はぇ?」


 ミカはぽかんとしたあと、指でこめかみを押さえ、眉をひそめた。


「遠近法とかじゃなくて、ほんとに月と同じ大きさの爆発ってこと?」


「そう」


「またまたぁ…………マジ?」


「まじ」


「え? いったい核いくつぶんの……」


「どの核を基準にするかによるなあ」


「そういうことじゃなくて!

 地球を壊す気!?」


「ちゃんと地球に防御魔術かけたから大丈夫」


「魔術がどういうものかわからないけど、規格外のことをやらかしたってことは伝わるわ……」


 ミカの言う通り、戦略級の魔術を使えたのは、魔王軍に俺を含めて2人だけ。

 勇者側には存在しない。

 俺以外のもう1人も、1種類の戦略級魔術の習得に生涯を費やしてやっと発動できるといったものだった。

 魔族の長い寿命を使ってだ。

 そういう意味で、戦略級魔術を複数使える俺は規格外と言える。


「大騒ぎになるんじゃない?

 あまり騒がれたくなさそうだったけど、いいの?」


「そこはまあ、お手並み拝見というところだな」


 俺のセリフに、ミカはぴょこんと首を傾げた。


「俺も風呂に入ってから寝ようかね」


 日本の風呂は久しぶりだ。

 あっちの世界でも、風呂は作っていたが、日本で入るとまた気分が違うだろう。


「それとミカ」


「なに? まだあるの?」


「パジャマかなにか着た方がいいんじゃないか?

 パンツがちらちら見えてるぞ」


「ば、ばか! へんたい!」


 真っ赤になってしゃがみこむミカだが、キャミソールを下に引っ張ることで、胸の先っちょが見えそうになっているのだった。


 …………

 ……


 ――翌朝。

 ニュースは、昨日の一件で持ちきりだった。

『世界一有名なIT企業による、全世界同時CM。

 新製品のホログラム発表!』

 そんな見出しが躍っていた。


「えー? あれって愁斗がやったことだよね?」


 寝起きでちょっと眠そうなミカが憮然としている。

 俺の手柄を横取りして……と思ってくれているのだろう。

 いい娘だな。


「俺の仕業だと宣伝されても困るので、これでいい」


「そうなの?」


「結果は予想してた中で最大だったがな」


「どういうこと?」


「昨日、俺は主任に月を見ろって言ったろ?」


「あの痛いヤツね」


 やめて? 恥ずかしくなるからやめて?


「組織は俺の仕業だと気付いたはずだ。

 そして、あれだけの爆発を起こせる兵器は、少なくとも世間に公表はされていない。

 組織なら持っているかもしれないが、そんなものの存在が明るみに出たら、大混乱だろうからな。

 そうすると、組織は隠蔽に走る。

 どこまで隠蔽できるかと様子を見たかったんだが、このSNS時代に完璧に封殺してみせるとはね」


 各種SNSを見ても、昨日の出来事は完全に某IT企業の宣伝ということで落ち着いている。

 あまりに見事な対応だ。

 組織が世界中の主要部に食い込んでいないとできない所行である。


「すご……あの時点で、そこまで考えてたの?」


「魔王だからな」


「こんなの見せられたら、『魔王』なんて単語も笑う気にならないわ……」


 ミカにそう思わせることもまた目的の一つだったから、成功と言えるだろう。

 ただ、月が少しだけ削れてしまったのは内緒だな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ