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異世界帰りの魔王経験者、殺人事件を強引に解決する  作者: 遊野 優矢(ゆうや ゆうや)
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FILE01 女学園バラバラ死体事件-3

 署長室で必要な資料を見た俺達は、事件現場へとやってきた。

 現場は『聖アズライル女子高等学校』の寮だ。

 通称『聖アズ女子』。全国的に有名なお嬢様女子高である。


「お待ちください」


 荘厳とも言える豪華なデザインの門を潜ろうとすると、守衛に止められた。


「恵流川ミカと、左端愁斗よ。話は通っているはずです」


 そこに割って入ったのがミカだ。

 守衛はミカと俺の顔を手元のスマホと見比べる。


「失礼しました。お入りください」


 警察署とは違い、ここにはちゃんと話が通っているようだ。

 普通のことと思いがちだが、このあたりをしっかりこなすのは、なにげにメンバーの練度が要求される。

 魔王時代には苦労したものだ。


「女子高だって言ってるじゃない。

 強引に入ろうとしたら通報されるわよ」


「ついクセで」


「女子高に入っちゃうクセってなに!?」


「女子高に侵入するクセなんてないからな!

 人聞きが悪いぞ。

 魔王城にも女性しか入れない区画はあったんだが、魔王の俺だけは進入を許されていたからな。

 女子高と言われても、入っちゃいけない場所だとは認識ができなかっただけだ」


「あなたの言い方が紛らわしいんでしょ!」


「ちょっとからかってみただけだ」


「わざとだった!?」


 そんなバカ話をしながら女子高の敷地を進む他校の制服を着た二人は、たいそう目立つのだろう。

 疑問、不快、興味など様々な視線が飛んでくる。

 特に、校内に多数配置された警備員からは不快の視線が多い。


「昨日の事件、全校生徒に知らされてるわけじゃないんだな」


 そんな視線を浴びながら、ミカに小声でささやく。


「どうして? みんな浮ついてるみたいだけど」


「殺人があったという雰囲気じゃない。

 視線の意識が俺たち自身に集中しすぎてる。

 全員に事件のことが通達されてるなら、もっと事件と結びつけた視線であるべきだ。

 警備員達だけは知らされているみたいだがな」


 もともと隠蔽体質なのか、それ以外の理由があるのか……。


「はぁ~。さすがね」


「何かあったと察し始めている生徒もいるようだがな」


「もしかして、私にバカ話を振ったのも、それを確かめるため?」


「そういうことだ」


 周囲の視線を集めながら、俺達は現場へと到着した。

 事件のあった部屋は、1年生の二人部屋。

 立ち入り禁止を示すテープは貼られていない。

 事件を隠すためだろう。

 俺たちは、ここに来る途中で借りてきた鍵を使って中に入った。


 部屋は壁の真ん中にあるドアを境に、2つの異なる雰囲気を持っていた。

 片方は流行の服や小物が置かれた女の子らしい雰囲気。

 もう片方は、シンプルながらも高級で洗練された机にハイタワーのPCを中心とした、シックな雰囲気。

 後者が被害者の生活スペースだ。

 女子高生の部屋にしては、シンプルすぎるだろうか。


 PC用のモニターには、最新ゲーム機が接続されている。

 ボイスチャット用のヘッドセットも完備だ。

 ゲーマーだったのだろう。


 被害者の生前の資料も見たが、成績、生活態度共に良好。というかピカイチ。

 見た目もおしゃれにあまり気を遣っていないが、生来の整った顔立ちだけで、万人が振り返るレベル。

 ミカほどではないにしろ、『絶世の』をつけていいくらいの美人だ。

 それでいて、異性からどう見られるかよりも、自分のルールを大事にするタイプだな。

 美容よりも没頭できる何かがあった。

 部屋の配置や、絨毯や家具についた皮脂の分布などから察するに、PCを使った何かだろうか。


「資料の写真で確認できたもの以上の情報はなさそうね」


 すでに死体は現場から運び出された後だ。

 めぼしい証拠品も回収済み。


 違うとすれば、未だに残る血のにおいくらいか。

 いや……。


 俺は女子らしい雰囲気の側――つまり、被害者のルームメイト側に置かれた写真立てを見た。

 文化祭の写真だろう。

 ごった返す生徒達をバックに、一人の活発そうなショートボブの美少女が写っている。


「この娘、被害者、柳優南やなぎゆうなのルームメイトね。

 たしか名前は、倉井明花里くらいあかり


「角度からして自撮りか」


「そうね。

 わざわざ自撮りをプリントアウトして飾るなんて、よっぽど自分が好きなのね」


「辛辣だな」


「女子どうしなんてそんなもんよ。

 部屋にあるものは、流行のもの『ばかり』だし、メイクもそう。

 努力家ね」


「なるほどな。

 俺では女子の流行についてそこまで判断はできないから助かる」


「やっと一つ勝てたかしら」


 ミカは実に嬉しそうだ。


 さて、これはルームメイトにも話を聞く必要がありそうだ。

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