003 豹変
どうも、クロジャです。
特にご報告することはないので、どうぞ。
「グアァァァァァァ!!!!」
苦しんでいる《ライオーク》、呆然と見ることしかできない僕。
「ガアアア...アアア...ア...」
「って、呆然と見ている暇じゃないですよ!!早く逃げないと!!」
さっきまで余裕を装っていたロロアも、狂喜が現れたことで焦ったように飛び回る。
「あ、あぁ。あそこの国みたいなところに行けばいいのか?」
「そうですよ!!早く!!」
「分かった...おい、ちょっと待て」
「はい!?」
「《ライオーク》の声が消えた」
それだけではない。
《ライオーク》自体も何処かへ消えたようだった。
「!!や、ヤバいです。早く逃げーーー東雲様後ろ!!」
「はーーー」
...あれ、僕の腕ってこんなに長かったんだっけ。
...違う、僕の右腕が切断されたんだ。
「ーーー!!あがっ...!!」
いーーー痛い痛い痛い痛い痛い!!
腕がちぎれるとこんなに痛いのかよ、知りたくなかった。
「ーーーふぅ...ふぅ...」
「東雲様!!」
「心配する暇があったら盾にでもなってくれよ...」
「で、でも腕が...」
「キヒャヒャヒャヒャ♪」
再び姿を現した《ライオーク》は変わり果てた姿をしていた。
体の色が変色したのか黒色と灰色を混ぜ合わせたような色をしており、あちこちが腐食したように溶けていた。
そして、元々《ライオーク》が持っていた棍棒はほとんど原型を留めていない。
一言言うとかなりグロい。
「...血が止まらない、ヤバいぞコレは...」
「キィヒャヒャヒャヒャヒャ♪」
《ライオーク》...じゃなくて《狂喜》は愉しそうに笑いだし、再び襲いかかってきた。
「させませんよ!!」
「キヒャヒャ?」
《狂喜》は持っていた棍棒で叩くが、ロロアは一切効いていないーーー
「えっーーー?」
「キヒャヒャヒャヒャ♪」
パキッ...パキパキ
はずだった。
さっきまでびくともしなかったロロアの体が、少しずつ、少しずつだが壊されていた。
「や、ヤバいです東雲様!!後もって数十秒です!!」
「キィヒャヒャヒャ♪」
ちょっとヤバいな...痛みは収まるどころかひどくなっているし、それに血も止まらない。
考えろ考えろ考えろ。このピンチを救う方法を。
...ダメだ、何も思い付かない。
痛いし、苦しいし、意識は朦朧としてくるし、《狂喜》からくる殺気もスゴいし。
思考もままならない。
...あれ、待てよ。
ーーー《ライオーク》は鉄が大の嫌いなんでスヨゥ♪
...ダメだ苦手ってだけで他に何の対処もできない。
「キヒャヒャヒャヒャ♪」
「うっ...」
バキッ、バキッ!
「もう持ちません!!」
何かないか。何か策はーーー
「東雲様危ない!!」
「はっ?」
気付くと目の前にいつの間にか目の前に《狂喜》がいて、僕を棍棒で潰そうとーーー「危ない!!」
「痛っ!!」
ーーーしたがロロアが僕に思いきりぶつかり、横に吹っ飛ばされたので、なんとか避けられた。
「よ、良かった...無事で」
「助かった、けどお前ももうヤバい状態じゃないのか?」
「は、はい...流石にもう動けません...」
ロロアは体がほとんど壊されており、まともに行動するのも無理そうな状況だった。
しかし、さっきの《狂喜》の体...うっすらとだが溶けかけたが違う部分があったような...?
...まさか?
「キヒャヒャヒャヒャ♪キィヒャヒャヒャヒャヒャ♪」
「悪趣味な笑いかただな...」
《狂喜》は笑いながら、再び襲いかかってくる。
「東雲様避けて!!」
「いや、避けなくて大丈夫だ」
「なに言ってるんですか避けないと!!」
「キィーーヒャ!!」
「だってーーー」
「東雲様ーー!!」
振り下ろされる棍棒、悲鳴を出すロロア、笑う《狂喜》、そしてーーー?
「ーーー勝ちだ、この勝負」
「キィヒャヒャヒャ...ヒャ!?キヒャ!?キヒャ!?」
鉄をライアークに投げる僕。
鉄に触れた体が見る見るうちに溶けていく、まるで氷を熱したみたいに。
「危な...ギリギリ過ぎるだろ」
「ど、どうして?なぜ《狂喜》、いえ、《ライオーク》の体が?」
「悪いんだけど説明する時間、無いみたいなんだが」
「へ?」
「...血が足りない」
「東雲様!!」
体の自由が効かなくなり、倒れる。
意識が、無くなってくる...
「東ーー!!」
せっかく勝ったのに...これは無い、わ。
そこで僕は気を失った。
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