エピローグ
ヤハトラから一人の少年が地上に送られた。
彼は……少女を救うための旅に出る。
――一つ目。ジャスラの涙の雫を可能な限り集め、結晶化して浄化を促進する。
――二つ目。パラリュスの他の国に旅立ち、浄化の能力者を見つける。
――三つ目。パラリュスの他の二つの国を回り、三種の神器を集める。
二つ目と三つ目を成し遂げるためには、海を渡る手段が必要であり……果たして可能なことなのかもわからず、命の危険もある。
少年は、まず一つ目を達成するための旅に出た。
「……大丈夫でしょうか? 国中をくまなく探し、雫を拾い集めるというのは……何とも途方もないことと思いますが……」
少年を見送った神官が呟いた。
「……不可能ではないだろう。何しろ……」
ヤハトラの巫女が神殿を見上げた。
「三柱の女神と三種の神器に愛された男……だからな」
神社の大木の前に……赤ん坊を抱えた初老の男が立っていた。
「……中平さん、でしたかな?」
社から出てきた老人が男に挨拶をした。
「確か、大学生の息子さんと……」
「……すみません。ちょっと……急に旅立つことになりまして」
「……」
老人は何も言わず……庭の大木を眺めた。
「何かに呼べと言われたような気がして……お呼びしたんですがのう」
「……」
男は黙って大木を見上げた。やはり、不思議な力を帯びている気がする。
再びあの穴が開くとしたら……やはりこの樹なのかもしれない。
「そちらはお孫さんですかの?」
「ええ。……それで……定年も間近ですし、こちらに引っ越してこようかと思いましてね。環境が素晴らしいな……と思いまして」
男はそう答えると……深呼吸した。
男に抱かれていた赤ん坊が……大木に向かって背伸びをするように両腕を伸ばした。
――いつかまた会える未来を、信じて。
※改稿前、連載終了時のあとがきです。
N「戦争中の部分が希薄」
N「カガリの死に方がつまんない」
N「双子のその後が気になる」
N「赤ん坊が生まれた後が飛びすぎ」
……などの指摘を受け、直したものが本作です。
……その後のNとの会話。
N「……三つの中で一番面白かった」
優「やった!」
N「話は独立してるけど、前と同じ世界……ってことだよね」
優「そうだよ」
N「何ていうか……ゲームっぽい印象」(←Nとはマンガ・ゲーム友達である)
優「そうなん。かなり昔、アー○○○ッドっていうゲームがあったやろ?」
N「うん」
優「あれ、2はエ○○が主役だけど、話の根幹を握ってるのはア○○だったやん」
N「そうだね」
優「朝日がエ○○でソータがア○○ってイメージで考えた」
N「なるほど……。ところでさ、これ、また悲しい結末になってるけどさ」
優「そうなんよねぇ……。でも……だからこそ、続きを書いてみようかと」
N「続き?」
優「私が書かんかったら、あの人たちずっと離れたままやん」
N「……そりゃ自分のさじ加減だろ、そもそも……」
優「そうなんだけど、そうじゃないんだよ。……でもまぁ、まだ何も考えてないけどね」
N「ふうん……。じゃあさ、気になってたんだけど、あの双子って……」
優「……どの双子?」
N「あの、敵に騙されて、使われてた……」
優「アズマとシズルのこと?」
N「そう、それ。そもそも何で隠れてたの?」
優「前も二人について言ってたよね……。双子の過去、そんなに気になる?」
N「気になる」
優「………」
脇役中の脇役だと思っていたので意外でしたが……。
……という訳で、次は“双子の過去から始まる話”「少女の味方」です。
※改稿後のあとがき
1話あたりの分量を減らし、分けたのと……あとは、ソータの心情部分を書き足しました。
読みやすく、また伝わりやすくなっていればよいのですが……。
読んで頂いた方、本当にありがとうございました。




