第5話 戦闘3
今回、次回は説明がメインになると思います。
「ドハッ!」
俺は正面からシカの突進を喰らい吹き飛ばされる視界の端にあるゲージは先ほどより減少の幅が大きく残りは4分の1しか残っていない。
唯一の武器であるハンマーも弾き飛ばされて3メートルほど手前に落ちている。
「チッ!」
助けを期待して、リュウを見るとリュウはシカ三体を相手にして戦っており足元には既に二体の動かなくなったシカが転がっていた。
リュウの剣もおそらくはベーシックハンマーと同じようなものだと考えると差はプレイヤースキルの差、あるいはスキル構成の差か、ということだろう。この件に関しては後でゆっくり考えるとして、そんなことを考えている間にシカは再び突進の体勢に入りその一歩目を踏み出そうとしているところだった。
「こりゃ、キツイぜ…まったく」
打つ手のなくなった俺は無駄な抵抗を諦めHPが0になった場合にどうなるのか、これがデスゲームなのかの、検証、あるいは証拠の1人目として俺が今後どうなるかが大事になってくるんだろうな、なんて考えていた。
俺が消えたらリュウは必死になって俺のことを探してくれるだろうがこれがデスゲームだなんて考える頭はないだろうから、無駄死ににはなりたくないなぁ…
そんなことを考えて自分が死ぬかもしれない、という恐怖を紛らわしながら俺はシカの突進を喰らい自分のHPゲージがゼロになる瞬間を迎え、視界が真っ暗になる。
「死にたく、ねぇ…ょ」
気がつくと俺の視界にはどこかの建物の天井がぼんやりと見えた。
次第にはっきりと見えるようになり気だるいながらも体を起こす。すると、ここはどこか教会のようなつくりになっていてあたりには何人かの人影がある。
一瞬ここは天国か地獄かあるいはそれらに近い死後の何か、かと思ったが服装や何処と無く感じる周りの好奇の視線からここがまだゲームの世界である、と理解する。
おそらくここで俺に好奇の視線を向けている連中はこのゲームがデスゲームであるかどうかを確かめるために、プレイヤーが死んだ際にしに戻りのポイントとして最もオーソドックスな建物である、おそらく教会で誰かが死に戻りしてくるかどうかを見張っていたのだろう。
「なぁ…あれって…」
「そうだよなぁ、あれってよ」
好奇の視線を向けていた連中がヒソヒソと喋り出す。
死に戻りの現場を見られた。おそらくは最初のプレイヤーとして恥ずかしくはあるがここは今後の全プレイヤーのために羞恥心を耐えて連中に声をかける。
「あー、うん、このゲームどうやら死に戻りができるみたいだ!」
誇ることでもないのに俺はなんだか自信ありげに言ってやった。
もう一度言う決して誇れることではない。
「おおお!まじか!やった!これで恐れることはなくなったぞ!」
「死んでもこのゲームからは逃げられないのね、残念だわ」
連中のほぼ全ての人がこれがデスゲームではないと言う事実を確認して喜んでいる中、一部の人はこのゲームからの脱出方法として死ねば生死はどうか別として解放されると考えていたプレイヤー達は落胆の色を見せる。
「なぁなぁ!どうやって死んだんだ!?」
1人のプレイヤーが俺の方によってきて声をかける。
手元には何やら鉛筆と紙を持っており誰か、と言うかおそらくは俺の似顔絵が書かれていた。
「あぁ、シカのようなモンスターに突き飛ばされてだな」
「ふむふむなるほど、外にはシカのようなモンスターがいる、と」
そう言いながら手元の紙にシカのようなモンスターがいることを書いていく。
「他に注意した方が良いことは?」
「そ、そうだな、んー…スライムは物理攻撃はおそらく効き目が薄く魔法に弱い、とか?」
こいつは記者か何かか?と、思いたくなるような奴だと思いながら質問に答えて言った。
俺はその質問攻めから解放されて町を歩く。
教会は町の最も南側に作られており教会の南側には砂浜が広がっていた。
今は砂浜には用がないため北へ向かい街中を散策する。
「そいえばリュウはどうしたんだろうな」
ふと、リュウのことを思い出しなんとなくメニューのフレンドを開きリュウの項目を押すと、
_______________________________________________
コール
メール
PT申請
登録解除
_______________________________________________
の、4項目が表示された。
なるほどね、当たり前だろうけどPTを組むことができるのか、多分さっきもそうするべきだった気がする。そうすれば何か違った気がする。
そんなことを思いながら俺はコールの項目を押す。
すると、電話のような画面になり直ぐにリュウが出たので通話中と表示される。
「ひろしーーーー!どこ行ったんだよ!お前!探したんだぞ?!おいいぃぃ!」
こいつはどうやら俺が一度死んだことをどうやら認識していなかったらしい。
こいつは真性のバカだ、あるいはゲームの知識に疎いだろうと、呆れつつ心配してくれたことに少し感謝する。
「悪い、ちょっと死んで死に戻りしちまったわ、今、町なんだけどお前どこにいる?」
「死んだ?え、死ぬってお前、大丈夫なのか?俺も町に戻ってるから直ぐいく…って、あ!」
「あ?」
すると、気づかぬ間に市場のような場所に来ていたのか多くのプレイヤーで溢れる場所に来ていた俺の目に人並みを駆け抜けて俺の方に走ってくるリュウを見つける。
「ひろじぃぃー、良がっだよ~」
泣きながらリュウに飛びかかられなんだか申し訳ない気分になりながらも押し倒された、この現状と、泣きわめくリュウのせいで多くのプレイヤーの視線を集め、俺は猛烈に恥ずかしくなりながらもこの親友をしばらくは引きはがそうとは思えなかった。
「へぇ、【グリーンライムの核】ねぇ」
その後落ち着いて話せる人混みから外れた場所に来た俺たちはリュウの持ち帰ったアイテムを俺のスキル【鑑定】で確認してた。
どうやら、スキル鑑定を持っていない人がアイテムをゲットしても誰かに鑑定、あるいは自分で鑑定しない限りは未確認アイテムとして使用ができないようになっているらしい。
鑑定を持っていないリュウが取得したアイテムを順に鑑定していく。
【ワイルドホーンの角】
【ワイルドホーンの皮】
【ジャンピングラッドの牙】
と、言ったアイテムをどうやら獲得したらしい。
なんでも倒したモンスターから剥ぎ取ると言う形で入手するらしいのだがこれが時間がかかるのと、なかなかの難しさらしく素手でやるには向いていないらしい。
ちなみにグリーンライム、だけは剥ぎ取ると言う形ではなく核がそのまま落ちる形になるらしい。
多分これは剥ぎ取り用の専用アイテムが存在するな、と、考えながら話を聞く。
俺が消えた後走り回っていたリュウは他のプレイヤー達に声をかけられ一緒に俺のことを探してもらいながらモンスターを倒していたらしく、俺を無事に発見したことをフレンドの登録を済ませていたらしく、その手伝ってくれたプレイヤー達に連絡していた。
ちなみに俺の戦力とリュウの戦力が違いすぎることの疑問の答えとしてはスキル構成であることが判明した。
リュウのスキル構成は
【片手剣マイスター】
【身体能力強化】
【体力強化】
【火属性魔法適正】
【魔法攻撃力強化】
と言う、戦闘力特化のスキル構成になっていた。
で、リュウの話ではPTを組んでやっていたらしいがそうするとPT全員が同じモンスターから剥ぎ取れるらしくその中の1人が[スキルの欠片]と言うアイテムを獲得したらしい。
おそらくはそのアイテムが新しいスキル獲得に必要なアイテムだろうと当たりをつける。
と、あたりがだいぶ暗くなっていることにがつく。
「もうこんな時間、か」
メニューで時刻を確認すると午後7時を示していた。
このゲームにも夜が存在するだな、なんて話をしながらリュウが聞いた情報として宿屋がこのゲームにも存在しそこで休憩が取れると言うことで、俺たちは宿屋に向かった。
これからも引き続きよろしくお願いします。