第3話 戦闘1
3万人のプレイヤーが同時に集められていた、いや、あらかじめ飛ばされた場所であるこの場所は町の中央の広場のようになっており無駄に広く国内の某野球場の面積の二倍以上はあろうか、と言ったレベルであった。
しかし、3万人のプレイヤーが一気に動き出すとそこは手狭で人がごった返した状態となる。
中にはしゃがみこみ現在の状況を嘆くものや自暴自棄になり寝転がるものなどもおり非常に危険な状態であった。
そんな中でもある程度ましなプレイヤーや、何をするべきかわかっているプレイヤーは町の外へ出る方法を探して北側へ、あるいは町の内部の都市機能を確認しに南側へ、西側へ、東側へと動くプレイヤーも見られ、この時点で既にプレイヤー間に差がついていた。
かくいう俺もリュウを連れて北に向かうために町を出るために町の門をくぐりすぐ外にあった[南の大平原]という、エリアに出た。
「なぁ、さっきのって本気で言ってるとおもうか?」
リュウはどうやら未だに動揺を隠しきれていない。
「おそらく…な、」
俺もやらなければいけないことはわかっているが内心で動揺もしていた、しかし、ここで何もしないという選択をしては後々後悔することになるのはわかっている。
人がいないこの時期にまずは経験値を稼ぐために安全な場所でモンスターを倒す必要がある。
それを、こう言ったアニメや小説を読んできた俺は知っている。
「リュウ、おまえには辛いかもしれんがクリアするしかおそらく出る方法はない」
俺は改めてきっぱりとリュウに告げる。
クリアするしかないんだ、と理解してもらうために。
「そうなのか…んー、そっかぁ、そーなんだよなぁー、うん!俺、クリアするよ!」
驚異的な切り替えの速さでやる気になったリュウに俺はいつものことながら驚く。
リュウはわりと落ち込みやすかったり傷つきやすいところがあるんだがそれをフォローする奴がいるとすぐに立ちなることのできるいい意味で素直なバカと言う一面も持っている。
「そうと決まれば早速モンスターを倒しに行こうぜ!」
「な、ちょっおいいいいーーー」
復活したリュウに引っ張られるようにして俺たちは平原を移動した。
平原は見渡す限り文字通り平原で見晴らしが良い場所だ。
すると、西を見ていたリュウが何かに気がつく。
「おい、あれ!」
「あぁ、たぶん、モンスターだな」
緑色のゼリーのような液体の中にさらに深い緑色をした球が中にある、いわゆるスライムと言われていそうなモンスターが動いていた。
「物は試しだ、いっちょやってみようぜ!」
「おい!少し様子くらぃって、あいつは…」
このゲームがログアウト不可なのは確定しているがデスゲームといわれるゲーム内で死ねば現実世界でも死ぬというものなのかどうかについては言及されていないし、確定していない。だから、まずは慎重に慎重を重ねたいところだったのだが…
考えていてもしょうがないし、本当に危なかったらリュウがそれこそ、死んでしまう。
という理由で俺も慌てて駆け出す。
と、そこでリュウが慌てて戻ってくる。
「なぁ、俺は武器とかなくね?」
俺はそういわれてメニューのアイテムポーチの欄を開いてみるすると、
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・ベーシックハンマー
・初心者用木工セット
・初心者用鍛治セット
・初心者用道具製作セット
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の、4つのアイテムが入っておりリュウにアイテムポーチを開くように伝える。
ベーシックハンマーの欄をクリックすると
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ベーシックハンマー(耐久∞)
最も基本的なハンマー。
それ以上でもそれ以下でもないが扱いやすさという点では右に出るものはいない。
初心者用のギフトであるそれは特別な加工がされており壊れることがない。
ATK+100
耐久∞
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と、いう説明が表示される。
加えてもう一度クリックするとそれが俺の右手の平に握られ、装備している状態になる。
この耐久∞というのはおそらくそのままの意味で壊れない、ということであろう。
この点に関しては運営側に感謝だな、そして、他の3つのアイテムは今は使う用途がなさそうだが後で確認するのは必須だろう。
ここまでおれが確認するまでに、リュウもアイテムポーチを確認し終えたようで右手には一振りの剣を握っていた。
名前そのまんまかよ!と、ツッコミを入れてやりたいがリュウの目が既にスライムの方を向いており、また置いてけぼりを食うわけにもいかず黙って俺もスライムを見る。
「じゃあ、行くぜ?」
「おう」
リュウの確認に俺は頷き2人とも駆け出す。
スライムまでの距離は30メートルほどで走ればすぐにたどり着く。
そして、俺たちはこの世界で初めての戦闘に挑んだ。
これからも引き続きよろしくお願いします。