第27話 緊急クエスト2
分量としては少しですが後半部分は主人公視点ではありません。よろしくお願いします。
俺は、みんなから必要なアイテムを受け取り、一人港から少し離れて砂浜で【鍛冶職人】、【木工職人】、【道具製作職人】のスキルを同時展開していた。
俺が、みんなに提示した作戦は、俺が筏を作り、あの一艘の船にたどり着きある人物とあの船を呼び寄せること。それまでの間、先ほど俺の教えた特徴に一致する人物を遠距離攻撃でけん制しつつ、、多くのプレイヤーがアイツが標的だとわかるように奴を攻撃して、なるべく大勢のプレイヤーを動員して海賊のスピードを少しでも遅らせることだった。このさい、他のプレイヤーに教えることもサクラさんの判断でやってもらうことにした。特別報酬も大切だけどまずは勝たなければ意味がないからだ。
ここで肝心なのは俺が向かう船にある人物。そう、あの時の純白の鎧の騎士がいるか、どうか、という問題である。なんの根拠もないが、あの船にはあの騎士が乗っている、そんな俺の勝手な予想と希望的観測から俺は半ば強引にサクラさんたちを説得して、この作戦を展開させた。
俺は、【木工職人】と【道具製作職人】のスキルから、制作物の一覧を開き筏の欄も表示する。留置所がまだ独房状態だったあの時に見て以来の制作物の一覧。今まで俺が作るものは大体が発想からすべて俺のオリジナルのものだったのでなんだか久しぶりな気がする。
表示される必要なアイテムは必要量の木材、必要量のロープに仕えるもの、必要量の布状のものと言う三点で、具体的に〇〇の皮、などと言ったアイテムの設定がないのはおそらくプレイヤーに自由に製作を行ってもらうための仕様だろうが、今回はそれのおかげで容易にアイテムが集まった。
俺は、まず【乾いた丸太】を6本ほど取り出す。それを、【頑丈な糸】を使って縛り上げていく。今回作成するのは本当に簡単筏。この港から精々200~300メートルほど移動できれば十分の筏なので、耐久性なんかは特に考えずに急いで作っていく。固定が済んだら、俺は急いでもう1つ【乾いた丸太】を取り出し、それを適当な形になるまで技能【玄人木工術】を使い細くなるように加工して細い棒を作る。
それが終わると、【ワイルドホーンの皮】を3枚ほど取り出し、それらを縫い合わせて大きな一枚の布状のものを作り片方を先ほどの棒に、もう片方を別で作ったもう一回り小ぶりな棒に取り付ける。
細い棒を先ほどの丸太を縛ったものに取り付け、簡単な帆の完成だ。
今度は、【乾いた丸太】を削り船をこぐための櫂を作る。これは、俺が適当に素早く形を削って作る。普段ならもう少し丁寧に作りたいが今はスピード重視で作り上げる。
「不格好だけど今はこれで十分だ!」
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【帆付きの筏(不良)】
有り合わせの素材で作られた帆付きの筏。
ところどころにつなぎ目や結びの甘い箇所があり継続可能航行距離が短くなってしまっている。
耐久200/200
継続可能航行距離400メートル 製作者:カイゲン
収納不可
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今回の航行距離はおそらく多く見ても350メートル程度だ。
たどり着ける。
俺はそう判断して筏を海に出す。俺が筏に乗るとギシリ、と音を立てながらもしっかりとと沈まず海に浮かんでいた。風は幸運にも沖に向けて吹いており、俺が帆を広げると櫂をこがなくても筏は目標に向かって進みだす。
「よし!いいぞ!」
俺は、サクラさんに無事海に出たとメールを送る。後は奴が来るのがいつなのか、俺はそう考えながら、目標の船を見つめる。
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「カイゲン君から海に出たとメールが来た!後は私たちがうまくやるぞ!」
サクラは港の入り口付近に港には来たものの何をしようか、と迷っているプレイヤーたち、そして前線組のプレイヤーに声をかけてバリケードを作り終えて、海賊が現れるのを待っていた。
「しかし、本当にやっこさんはそんな化け物みたいなやつなのか?」
前線組と、呼ばれるプレイヤーの中でも随一の実力者と呼ばれる大剣使い、オスカーが疑問の声を上げる。高身長の男性。茶髪の長く帯び伸びた髪を後ろに結わえ、独特の雰囲気を持つプレイヤーだ。
「私の友人がでまかせを言ったわけでなかったら。な」
サクラとしてはカイゲンの言ったことを信用したいのだが、情報の通りだと、これから来るのは海賊と言うより化け物のような強さを持つものと言うことになり、そんなものが本当にNPCに存在するのだろうか、と言う疑問が当然で、自分でもこれが冗談であってほしいと思っているところもあった。
「前方に人影を発見!」
考え事をしていると、【遠視】スキルを持ったプレイヤーが前方に何かを見つけたことを報告してくる。
「背格好が情報にあったものと同じです。海賊です」
港では足止め作戦が決行されようとしていた。
これからも引き続きよろしくお願いします。




