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第23話 ニワトリ亭

 無事に4人分の【ウォークマップ】を手に入れた俺たちはニワトリ亭に向かい、サクラさん達と合流した。

 サクラさん達も同じようにアイテム収集を行なっていたためみんながたくさんのアイテムを持っている。俺のいたPTの4人は俺が帰り道に【鑑定】を使ってアイテムの識別をしたのだが、他の4人は【鑑定】持ちのプレイヤーがいないため、これから俺がアイテムの識別をしなければならなかった。

この世界ではアイテムのドロップは【鑑定】か、それに準ずる識別を行うスキルがなければそれがなんのアイテムか分からない仕様となっているため鑑定系統のスキル持ちのプレイヤーは割と重宝され、それがなければ店で1つ5Gで識別しなければならず、それは決してバカにならない値段であるため、このスキルのあるなしで財政的な格差がPT間に生まれる理由でもあった。

こうした事情に漬け込み、3Gで1つの鑑定を行うといった鑑定持ちプレイヤーが、早くも商売を始めたり、鑑定持ちプレイヤーを無理矢理にでも自分たちのPTに抱きこもうとするなど、トラブルの原因でもあった。

 サクラさん達が俺をPTに入れようとしたのは、単純に俺を支援したいといった理由だけでなく、こうした理由がこの【鑑定】を含めて2つあった。


俺はアイテムを次々に鑑定しながら昨日の酒場での条件の話の続きを思い出す。


「私たちとしても、カイゲン君には【鑑定】スキルを持っていることに加えて【鍛治職人】【木工職人】【道具製作職人】の3つもの生産職を1人でこなすことのできる点でも、君にPTに加わって欲しかったのだがね」


と、言われたのだ。

 このゲームを始める前に、他のプレイヤーが案内係から受けた説明は、戦闘補助系の便利スキルの取得を進めることなどであったために、多くのプレイヤーが生産系のスキルは1つ、多くても2つまでで、全く取得していないリュウのようなプレイヤーも少なくないといった具合であり、3つの生産系スキルを扱うことができる俺の存在は稀有であった。

それに、俺は酒場での会話で【鍛治職人】、【木工職人】、【道具製作職人】の3つのスキルの同時展開などの話をしていた。

 その話を聞いた後のサクラさんの反応は俺の予想していたものよりも驚いたもので、なんでも生産職のプレイヤー達に新しい道を示す重要な情報であったらしい。

このゲームでは1つの生産職系統のスキルしか持っていない人が多く、2つ持っている人でもそれが全く違う方向性の生産系スキルを取得しているプレイヤーでは同時展開することができなかったため、この情報はまだ他の誰も発見していない情報だった。

この情報によって、戦闘があまり得意でなく生産職を進めていくプレイヤーは自分の主に生産したいスキルとの関わりが強いスキルをこれから取得していくことでさらにその品質を高めることができる、と言うのがサクラさんの説明だった。


「おっ!?

【ファイターラットの拳】じゃないか!シャリーのやつ、いいアイテムドロップしてるなぁ」


 そんなことを思い出しながら3人のアイテムを鑑定していると3人とも割と良いアイテムを入手していて、例のレアドロップの【ファイターラットの拳】もドロップしていた。

俺が3人のアイテムを全て鑑定し終える頃には、帰りの道中に4人分のアイテムを鑑定したこともあり俺の【鑑定】スキルはレベルが6にまで上がっていた。

これは、レベルが5になった時に覚えたものだが【看破】と言う技能を覚えた。

これは、他のプレイヤーやNPC、あるいはモンスターに使うことのできる技能で、対象のHPゲージとMPゲージを表示させ、【鑑定】スキルのレベルによってはスキルなどのステータスをも見ることのできる技能らしい。

 レベルが5になって初めて覚える技能だったが、中々に強力な技能だと俺は思う。なにせ、他の人は感覚でしか測れなかった敵のHPが可視化されることで戦術の幅も広くなり、確実性も上がるからだ。アイテムが鑑定を必須とすることと言い、この【鑑定】スキルはかなり当たりスキルだった。俺がこのゲームを始める前に行った唯一のファインプレーといったところだろう。


『鑑定終わりました。今から向かうので食堂に来てください。アイテムは袋に小分けにしておいたので後で全員に渡しておいてください』


 俺は鑑定が終わったのでサクラさんにメールを送り、食堂に向かい、サクラさんを待つ。

その間に俺は先ほど覚えた【看破】を辺りにいたプレイヤーに使用する。


「ん…なるほど…HPが120にMPが200か、スキルは見れないのは鑑定スキルの不足か」


 対象にしたプレイヤーの頭上にゲージが浮かび数値が書かれている。

なんとなくだが、他人の情報を勝手に見ると言うのはマナー違反なきがするので今後はプレイヤー相手に使うのは自粛しよう、と思ったところでサクラさんが歩いて来たのが目に入り、人に悪いところが見つかった子供のように焦ったように技能を停止し、サクラさんに袋を渡し、軽い会話を交わした後で俺は自室へと戻っていった。



「さて、と…そしたら武器作りでも始めますかね」


 俺は部屋に戻ると、【鍛治職人】【木工職人】【道具製作職人】のスキルを同時展開し、【初心者用鍛治セット】、【初心者用木工セット】、【初心者用道具製作セット】を展開するためのスペースを部屋に置かれているベットや棚の配置を変えて確保する。


俺は目の前に並べた今日の成果を並べてこれから作る武器をどんなものにするかを考え始める。




次回は生産回です。

これからも引き続きよろしくお願いします。

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