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第22話 南の大森林2

PTメンバーについて、6人制から7人制に変更しました。

中途半端な人数ですがどうかご理解いただけるとありがたいです。

ご指摘をいただいて自分でも恥ずかしいことながら、単純に数え間違えるという、初歩的なミスをしていました。

このようなミスが他にも多々あると思いますが、ご指摘いただけるとありがたいです。(9月1日修正

「おらぁっ!」


 俺は、ベーシックハンマーを赤色の毛皮を持つ大きなネズミに叩きつける。

俺たちの目の前にいるモンスターはファイターラットという、南の大平原にいたジャンピングラットの色違いのような見た目をしたモンスターだ。しかし、ジャンピングラットは白い毛皮を持つ体長50センチほどの大きなネズミで、ジャンプして移動して攻撃もそのジャンプからののしかかりと言う非常にわかりやすい攻撃で、カイゲン単体でも特筆するような事態が起こらないほど簡単に倒せたモンスターだったのだが、このファイターラットは移動方法こジャンプ移動という点は変わらないが、接敵するとボクサーのようにステップを取り始め、ジャンプしてからの飛び蹴りや高速でのパンチングなどを繰り出してくる敵で、一撃の威力はタックルボアには及ばないが、やけにすばしこく動くことや、その手数の多さから南の大森林では最も多くのプレイヤーを死に戻りさせているモンスターであった。


俺のハンマーの一撃の後、キースが槍で突き攻撃を入れるが空中で器用に身を翻すようにして上手くやりを避ける。


「ちっ!!」


と、キースが苛立ちの声を上げると、武器のリーチが長く懐に入り込むと自分が有利になるとわかってなのか、ファイターラットは攻撃の後の隙に乗じてキースの懐に入り込む。


「…【シャイン】!」


と、ケイが【シャイン】を唱えてファイターラットに直撃させる。この【シャイン】は点を攻撃するものではなくある程度の空間を攻撃するものらしく、ファイターラットにもほぼ確実に充てることのできる魔法攻撃だった。


「っ!ここッ!!【袈裟斬り】!」


 攻撃をくらい、怯んだところをリュウが逃さずに技能の【袈裟斬り】を繰り出すと、この一撃でHPが尽きたのかファイターラットが攻撃の勢いで吹っ飛んだまま動かなくなる。そこを警戒しながら接近し、確認が済んだら俺たちは剥ぎ取りを開始する。

なんでも、このファイターラットは最後まで勝つことを諦めない戦士であるため瀕死となると一矢報いようと、死んだふりをして接近したプレイヤーに攻撃を仕掛けてくるらしい。

なんとも、癖のあるモンスターではあるが、こういった特徴から被害者が多いことは頷けるし、先頭に要する時間や精神力も今までのモンスターと比べると総合的に最も厄介なモンスターだった。


「【ファイターラットの爪】、か」


 このモンスターはジャンピングラットと同じような素材を落とすが稀にレアドロップとして、【ファイターラットの拳】と言うアイテムを落とすらしい。小さな拳であるが、打撃系統の武器の素材として用いると攻撃力を高めてくれる効果があるらしく俺は狙っていたのだがそうそう狙ったアイテムが続けて出ることも無いし、ましてレアドロップなのだ、と、切り替えて俺たちは次の敵を探す。


 この、南の大森林のモンスターは現在確認されているだけでグランドキャタピラ、タックルボア、ファイターラット、ソフトビーの4種類のモンスターがいるらしい。

ソフトビーというモンスターは蜂のような外見をした体長30センチほどの昆虫型モンスターだが、その実は南の大平原にいたグリーンライムのように魔法攻撃でしか倒すことができず、物理攻撃を行っても再生してしまうという、魔法攻撃ができないプレイヤーには厳しい敵で、さらに、基本的に4匹以上の群れで行動するというタチの悪さと針に刺されると高確率で麻痺の状態異常を発生させる厄介なモンスターだ。

HP自体は低く魔法攻撃1撃で倒せるので魔法攻撃ができるプレイヤーには驚異度は低いが、俺にとっては天敵と言えるモンスターだった。

 そして、このモンスターがスライムのような特性を持っている理由はこのモンスターのドロップするアイテムを鑑定したらわかったのだが、俺が手に入れた【ソフトビーの核】と言うアイテムの説明文に俺は思わず、


「キモッ!」


と、声を出してしまった。

この説明文は割愛して説明すると、蜂に寄生したグリーンライムが蜂の体内で肥大化し蜂の脳みそと結びついて出来たのがこの核、といった内容で、グリーンライムの恐ろしい生態を知ってしまった俺はグリーンライムが、少し苦手になった気がした。







 そんなこともありながら、俺たちは無事にアイテム収集を終えて町に帰還した。

道中、ジャンピングラットやワイルドホーンなどの南の大平原のモンスターもなるべく倒しながら進んだため帰ってきた頃には夜になってしまっていたが本格的に視界がなくなってしまう前に帰ってこれたので良かった。

と、安堵しながらも俺たちは余分なアイテムや使わないであろうアイテムを店に売り、金を稼ぐ。

なんでも、商船が往来するようになったことでアイテムが増えたらしいのだがその中に【ウォークマップ】と言うアイテムがあるらしく、そのアイテムはこのゲーム内で自分の歩いたところを自動でマッピングしてくれるというアイテムで自分の歩いたところ以外は白紙だが、歩けば歩くほど地図の完成していく自分だけの地図が作れるとして、話題を呼んでいた。

リュウを含めたサクラさんPTは金を稼がなくても今日の狩りに出る前に買うだけの金銭的余力は有ったのだが、俺に付き合って買わないでいてくれた。なんだか、過保護なんじゃ無いか?と、疑いたくなるところもあるが俺が弱いからほっとけないのだろうと勝手に理解しておく。


雑貨屋に立ち寄り例の【ウォークマップ】を探しているとちょうど残りが4個になっていて、俺は発見と同時に小走りで手前までいくと、手を伸ばす。すると、俺の反対側から手を伸ばすプレイヤーと目が合う。


「ひっ!?あんたはあのPKのっ!!」


と、目があった男性プレイヤーが、ごめんなさいっ!と叫びながら走って出ていってしまう。

この町に戻ってきてから2日目だが、こんなやり取りは3回目だった。

 あのPK騒動の後、早速死に戻りのときと同じく、シキケンによって立て札が作られたらしいのだが、それをリュウが夜中のうちにへし折ってくれたらしい。

その甲斐もあってこのことを知っているプレイヤーはいてもその立て札に書いてあった似顔絵を見たプレイヤーは少なく、この事件での俺が受けた風評被害は死に戻りのときよりも小さいものだった。

それでも一部のプレイヤーにはこうして怖がられているので少し残念ではあるが、同時にリュウへの感謝をその度に俺は思い出す。


「っと、こんなこと考えてる場合じゃなかったな、とっとと買っちまわないと」


俺はしばらく考え事をしてから、運良く4人分のアイテムを結果的にあの男性プレイヤーが残してくれたことに感謝しつつも4つの【ウォークマップ】を手に取りみんなの元へ戻った。


これからも引き続きよろしくお願いします。

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