第1話 キャラメイク
家に帰った俺はインターネットでVRダイバーとソフトの開発会社である、エンダー・ザック・カンパニーという企業のホームページを開いて、事前にこのゲームについて調べてみたところ、なんでも、ゲームの開始前に自分がゲームで遊ぶさいにその体を操ることとなるゲーム世界での体、アバターをキャラメイクして、スキル設定などを行うことができるらしい。
確かに、これならサービス開始と同時にログインすることができ、より早く遊ぶことができる。
「んじゃさっそく、やるとするか~」
俺は先ほどもらったサングラスをかける。
これも先ほどホームページで見たのだが、耳にかけるところにケースが付いておりそこからイヤホンを出すことができる。このイヤホンを両耳に着け、ワイヤレスバッテリーと呼ばれる別個のバッテリーを家のプラグに差し込む。
これで、何と電気をワイヤレスで継続してこのダイバーに送り続けることができるらしい。
「なんとも、ハイテクになったものだ」
そして、俺はサングラスの右目のフレーム部分にある小さなボタンを押す。
すると、サングラスの中にパーセンテージが表示されそれが0から次第に100へと上がって行く。
「うぉっと?!」
そして、100になった瞬間、体が一瞬宙に浮くような感覚がくる。
次の瞬間目の前に広がっていたのは真っ白な空間と1人の少女という光景だった。
いかにもゲームの受付嬢や案内係をしていると言った容姿の緑色の髪の少女だった。
「はじめまして!WORLD NEW ORDERの世界へようこそ!ここでは、キャラメイキングをしていただくことになっていますが、まずはじめにキャラの名前を設定してください。」
このキャラメイクでは、アバターの五感を現実の体の五感とつなげる関係上、性別の変更や体格の著しい変更はできない仕様となっており男の俺はもちろん男でプレイするのだが、今後世界的な流れからしてもそう言った需要にもでてくるだろうが今はまだ、性別を転換してのプレイなどは難しいそうだ。
そんなことはともかく、俺のアバターの名前をなににするかだが、流石に実名は避けるとしても少しは実名の要素を入れたいからなぁ…
「カイゲンにでもしておくか」
海原を別の読みでカイゲンと、大してひねった名前でもないが特別ヘンテコな名前でもないし、俺の中ではなかなかに納得のいく名前だった。
そんなことを考えていると目の前に透明なディスプレイが浮かび上がりそこには五十音のキーボードが表示されていた。
英語などへの切り替えもできるようだがあえて英語にする必要もないので俺は日本語でカイゲンと、打ち込む。
「カイゲン様で、よろしいですか?
決定後は変更することができません。」
先ほどの案内係風の女性が訪ねてくる。
同時に目の前のディスプレイにYESとNOの文字が浮かび俺はYESをタッチする。
「では、お次に初期のスキルをご選択ください」
すると、ディスプレイには『物理』『魔法』『生産』『便利』と、4つのワードが浮かび、それぞれタッチすると『物理』では、剣や、槍などを用いた攻撃の基本的なスキルである剣術や槍術などのスキルを取得でき、『魔法』では、火属性魔法など、属性ごとの魔法適正、『生産』では建築や防具の生成に関するスキルを、『便利』では、回復速度の上昇や、ダッシュ速度の上昇などが取得できる。と言った流れだ。
このゲームのスキルは合計200個以上と言われておりスキルは最初の段階では5つしか設定できないが15個までは取得したスキルならば設定できるようになるらしい。しかし、この最初の5つのスキルにはボーナスが付きスキルレベルと呼ばれるレベルが他のスキルに比べて25%経験値が増加する。
このゲームではプレイヤーのHPやMPはスキル依存でありプレイヤー自身のレベルアップは存在しないためスキル構成がかなり大事な要素となってくる。
ここで俺が選択するのは、先ほどのネット閲覧タイムにもう決めてある。
・【槌マイスター】
・【木工職人】
・【鍛治職人】
・【道具職人】
・【鑑定】
の、5つである。
理由はプレイしていくなかで俺にはやりたいことがあるからなんだけど、とりあえずいまは早くこのキャラメイクを終わらせて明日に備えて寝たい。悪いけど俺は1、2時間で終わるような短い時間ではなく8時間くらいはこのゲームにぶっ続けでログインしたいからである。
「以上のスキルでよろしいでしょうか?
決定後は変更することができません。」
俺はYESが出てくるであろう位置を連打して即オッケーすると、ここでこのキャラメイクは終了し、ログアウトを促すボタンが表示されたためすぐにログアウトをした。
現在の時刻は午後10時、明日に備えて俺はログアウトと同時に片付けを済ませて就寝した。
これからもよろしくお願いします。