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VRMMOで生産職を目指したけどログアウト不可でした  作者: 杜撰
1章~始まりの町 漁港シフリート~
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第15話 海賊エンディルという男

前半は世界についての説明。

後半はエンディルについての話です。

 冷たい石造りの部屋の中に男二人。手元を照らすのは月明りだったはずがいつの間にか朝日に代わり今では部屋全体が日光で明るくなっていた。リュウからの返信がないかと確認したときについでに確認した日付は4日目となっていた。



「そんでよ、その南の大陸ってところにはよ…」


海賊エルの武勇伝をところどころに挟みながら俺はこの世界における情報について収集した。

・この世界は球状ではなく、大きな円盤の形をした岩の上に存在していると考えられている。

・この世界は大きく6の大陸から成り立ち中央に中央大陸、そこから時計の文字盤の12時の位置に北の大陸、3時の方角に東の大陸、5時の方角に南東の大陸、7時の方角に南西の大陸、9時の方角に西の大陸が有るらしく、それらを支配するのはそれぞれ異なる王国であること。

・その6の大陸内ではそれぞれの大陸内に国に従わない勢力が存在し彼らは共通して国家転覆を狙っている。

・6大陸には神の力を宿した宝玉が眠っており、それぞれの国の迷宮の最深部に眠っているらしい。

・6大陸とは別に南の果てに存在すると言われている7つ目の大陸「不毛の大陸」なるものが有るらしい。そこは、古代の戦争で人が住むことができない土地になったと言われている。

・すべての生物の頂点に立つ古代龍エンシェントドラゴンの血脈であるドラゴンや龍と名の付くモンスターはこの世界でかなりの力を有しており出会ったら逃げるのが常識だということ。

・エルはそのうちの海龍リヴァイアサンと遭遇し一戦交えて鱗をぶんどったこと。

・体躯の大きなモンスターには部位を破壊することや攻撃することで体の一部が欠損した状態に追い込んで戦うことが基本らしい。


ま、エルから得られた情報のうち大事なことはこんな感じだろう。

エルは自分の武勇伝を交えて説明するもんだから要点を掴むのにかなり苦戦するし、脱線した話から思い出したように大事な話をしだすものだから聞き漏らしの無いように集中して話を聞く必要があった。


「でな、俺は南西の大陸の王に言ってやったわけよ」


こんな風にエルが自分で経験したことが中心の話だ。なんでもエルは海賊として活動する中で6大陸すべてを訪れた経験があるらしく、大陸間を隔てる海も熟知しているようで、結果はなぜかもったいぶって言わなかったが古代龍エンシェントドラゴンの血脈である海龍リヴァイアサンとやりあって生存して鱗をネックレスにしてあることからもかなりの戦闘能力があることがわかる。


「あぁそうだ、これは昨日いやもう二日前の話なんだけどな」


こんな風にして急に話が飛ぶから俺も一度気を引き締めなおしてこの話題が大事な話か分かるまでは話をちゃんと聞いていないといけない。


「この港の近くのいた商戦を襲ったんだがな、そしたらそれが罠でよ、あのでっかい鎧の野郎が居やがってな俺の自慢の愛刀【三日月】と【夜桜】の刃が通らないもんでな、苦戦してたら部下の一人が内通者だったらしくてな~、ナイフでブスリよ。

そんでそっから…」


 エルは途中でコートの中から二本の刀、それも日本刀に近しいもの取り出しながら自分が捕まった経緯を説明してくれる。

ふむ。どうやらあまり重要ではないようだが、かなりの実力者であるエルと互角かそれ以上の力を持つあの白い鎧の騎士の危険性と、あの白い鎧の騎士がおそらくNPCであることが確定したな。


「んー、おめえの顔、こいつら見たら思い出したけどどことなく東の大陸の連中に似てるな」


エルは刀を眺めながら俺の顔をみてぼそりと呟く。

ふむ、東の大陸でエルはその刀を手に入れた、と。そしておそらくモチーフは日本だな。


「そういやおめえはなにやらかしてこんなとこにいたんだ?」


 それまでずっと自分の話しかしてこなかったがどうやら俺のことについて少しは興味がわいたらしい。

俺はここまで聞き手に徹して身の上の話をほとんどしていなかったから、エルも自分と同じ場所にぶち込まれていた犯罪者に興味がわいたのだろう。


「あー、まあ人殺しかな」


俺は頭を掻きながら言う。


「なんでぇ、おめえもそんなことができんのか俺はてっきり盗みかなんかだと思ってたぜ!」


 ガハハと笑いながらエルが言う。

なんでもエル曰く俺には殺しをやるような人から感じられるものが無いらしくせいぜいただ食いや盗みを働いたせこいやつ程度にしか思っていなかったらしく、俺があのモヒカンをハンマーでたたき殺した話をしたところ非難するどころか逆に見直したぜ、ガハハと肩を組まれたほど俺のことをなめていたらしい。


「そこで行動できないようなやつは自我ってもんが、誇りってもんが欠けてるような連中だ。

むしろお前はよくやったさ。」


 ガハハと笑っていたのが急に優しい顔になってそんなことを言ったと思うと俺の頭をポンポンと軽くたたく。

ゲームの中でとはいえ殺しをやった俺を面と向かって肯定してくれたおかげで俺はどこか胸がスッとした気持ちになる。

なんだかエルは態度が大きく不遜な奴ではあるがどこか憎めないところと兄貴分的な雰囲気から人を寄せ付けるカリスマを感じる。

何をNPCに感じ取っているんだ。と、思うかもしれないが、この人を引き付ける魅力はプレイヤーの中にも、それこそ現実の世界にもいないんじゃないだろうか。


「なあエルお前年はいくつなんだ?」


この兄貴分的な雰囲気と武勇伝をしんいるならかなりの戦闘力として、顔はかなり若いが少なくとも30歳あたりだろうおれはそんなことを思っていると


「俺は21だ」


は?お前その若さでその風格と戦闘力なの?嘘だろ?


「お前海賊になったのはいつ何だっけ?」


「6だったかな」


は?6歳?俺たちがランドセルしょってた頃から海賊だと?

俺は目の前にいるゲーム世界の生んだとんでもない生活をしてきた男にあきれ返った。



これからも引き続きよろしくお願いします。

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