第10話 独房2
祝本編10話目です。
これからも引き続きよろしくお願いします。
朝陽が窓から差し込みその眩しさに俺は目を開ける。固い石の床の上で寝たせいか体の節々に痛みを感じる。
「あさ、か…」
俺は軽く伸びをしてメニューを開く。
昨日は2日目となっていた項目が3日目になっており、フレンドの欄は吹き出しで通知が来ていることを示していた。
どうやら、リュウからメールが届いていたらしい。
『昨日は助けられなくてすまなかった。
お前が悪人じゃないことは俺が1番よく知ってる。なぁ、どこに言っちまったんだ?
このメールをみたら返事をくれ』
届いた時刻を見ると今から3時間になっている。
現在時刻が午前6時45分と言うことを考えるとリュウは3時間前まで俺の事をどうやら探していたらしい。
俺は慌てて現状を説明するメールを打って送信すると。短く、
『了解』
と、言う返事か秒で帰ってきた。
「悪いな、リュウ…サンキュ」
寝る前にリュウにメールを送らなかったことを後悔しつつ心配してくれたともに感謝する。
ここで俺はこのゲームに、涙を流せると言う要素があることを新しく発見した。いや、泣いてはいない、泣いてないけど要素としてあることを理解しただけだ。
「さてと、気を取り直してっと」
俺は昨日の夜寝る間際に考えたことを実行に移すためにアイテムポーチを開いてアイテムをみる
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【初心者用木工セット】
初心者用の木工作業を行うための設置型アイテム。
設置するための十分な広さが必要となる。
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【初心者用鍛治セット】
初心者用の鍛治作業を行うための設置型アイテム。
設置するための十分な広さが必要となる。
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【初心者用道具製作セット】
初心者用の道具を製作するための設置型アイテム。
設置するための十分な広さが必要となる。
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と、3つのアイテムの解説はそれぞれこんなことが書いてあり、3つとも設置型アイテムであることがわかった。
試しに【初心者用木工セット】を選択してみると、設置する場所を指定しろと出てサークルが目の前に浮き出る。どうせ一面石の床で他に何もないのだから適当にセットするとそこに台や、金槌、ノコギリなど用具が設置される。
すると持っているアイテムが表示されて他にもアイテムを設置するか製作作業に移るかの選択肢が提示される。
「へぇ、同時展開なんてできるのか」
俺はさらに【初心者用鍛治セット】と【初心者用道具製作セット】を展開してみる。
鍛治セットでは小さな炉のようなものと、金槌や金床などがせっちされ、道具製作セットでは裁縫道具に加えて、錐などの細かい用具がセットされる。
俺はそれらを3つの前に座るとアイテムの作成を選択する。
「なるほどね、同時展開はこういうことか」
すると、作成できるアイテムの一覧が出てくるが、そこにスキル混合製作という欄があり、例えば【大砲】を見ると【鍛治職人】のスキルと【道具製作職人】のスキルが必要となっており、それらに対応するアイテムがなければこの製作可能一覧に出てこない仕組みとなっている。
まぁ、まだ材料不足で大砲を作成することはできないけどな。
まず俺が取り掛かったのは防具の作成だ。
この世界でプレイヤーみんな同じような服を最初から着せられていた。色やデザインに差はあれどほぼ同じような服だった。
当然、これには防御力なんて加算されていないだろうしそもそも装備品としても見られていないことからアイテムとして認識されておらず、脱ぐことのできないもはや外見の一部として含まれているものだった。
なので俺は自身の受けるダメージの軽減のため、まずは防具を作り防御力を上げることを考える。
昨日拾ったアイテムと剥ぎ取りで得たアイテムは、
【ワイルドホーンの皮】×3
【ワイルドホーンの角】×1
【グリーンライムの核】×3
【ジャンピングラットの皮】×3
これに加えて採取したアイテムで
【乾いた丸太】×4
【石ころ】×3
【何かの骨】×6
【薬草】×1
となっている。
これらのアイテムのうち使えそうなものだけを利用して防具を作る。
まずはどんなもの俺が作りたいか、と、材料とを見て何ができるかを考える。
「じゃあ、こんな感じでやって見るか」
俺は防具の作成にとりかかった。
これからも引き続きよろしくお願いします。
感想やご意見など気軽にいただけると嬉しいです。