第1品 首だけ動く呪いの人形
世の中には骨董品と呼ばれるものがありその中には稀に呪われた奇妙な骨董品も存在する
そんな奇妙な骨董品をコレクトするものを『|奇妙な骨董品コレクター《ストレンジアンティーカー》』と呼ぶ
東京池袋の裏道にひっそりと佇む骨董品屋
この店に置かれている骨董品の品々はどれも奇妙でミステリアスなものばかりである
ここの店主は巫女を助手とし世界に点在する骨董品を集めている
これはそんな奇妙な店主たちや奇妙な品を持ってくる奇妙な依頼人たちの面白い物語である
〜第1品 首だけ動く呪いの人形〜
『さあ!今宵の怖い骨董品紹介は呪いの人形だ!!』
夜7時いつもの番組が始まる
「くくっ……始まりましたか。僕はこの番組が楽しみで仕方が無い」
椅子に座り足を組みながら燕尾服にシルクハット右目に眼帯をした男がテレビに食い入るように見る
「わは〜楽しみ〜」
ヒラヒラ付きの服を着た人形が宙に浮きながら踊る
「先生の狙っている例の人形が番組で紹介されてるといいですね」
右目の千切れた不気味に笑う兎人形を巫女服の女性が抱えながらくすくすと笑う
「紹介されますよ……必ず!なぜなら一週間前に私の所に依頼にこられたのですから」
〜一週間前〜
私のお店に彼が来たのです。一週間前にね
コンコンと店の扉をノックする音がした
「どうぞお入りください……」
ギィーというすこし古びた音をたてながら扉を開け人形を持った男の人が入ってきた
「ようこそ、この度は奇妙な骨董品屋をご利用いただきありがとうございます。」
両手を広げ笑顔でお客様をお迎えする
「このような風変わりなお店ですがごゆるりとお過ごしください。」
「え、あの今日は買いに来たのではなくてこの人形を買い取って欲しくて来たのです」
「ほぉ……」
「このお人形なんですがね?」
男の人が袋から取り出したのはフランス人形だった
「これはこれは……なんとも素晴らしい」
「この人形……ただの人形ではないんです」
まぁこの店に持ってきてる時点で普通ではないのは承知済みですがね
「所謂『呪われた人形』でして……しかも首だけ動くんです」
呪われた人形というのは世界各地にある有り触れたものですが首だけ動くというのは珍しいですね
「なるほど……この人形にかかっている呪いなんですがね?かなり強力なものだと思われます。」
人形から発せられる黒い靄が目に見えるんですよ
まさか目視出来るほどの呪いだとは思いませんでしたが
「ええ、まぁ……そのせいで親父も病で倒れて嫁が不気味に思って売れるとこがないか調べたらここがありまして」
汗をかいてるのかハンカチで拭う
「おや?これはあなたの持ち物ではないのですか?」
「元々は妹が持っていたんですが…妹が結婚して男の子が生まれいらないからと俺に寄越して……」
たまたまうちの子供が女の子でしたのでと付け加える
「なるほど……ではお子さんにも呪いの影響が?」
「いえ……子供にも嫁にも影響はなくて親父だけに」
いまは良くてもそのうち奥さんやお子さんにも影響が出るかもしれない……その前に厄介払いをしたいと
「妹さんがお父様を恨まれているとかは?」
元々は依頼主さんの妹さんが持ち主だったからその妹さんが強い恨みをお父様に抱かれていたらその人形を通じて……という可能性も有り得ますが
「それはないと思います……親父はどっちかというと妹家族を可愛がっていたので」