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第五話 釘鮫家 (途中)

怜奈は橋の上で黄昏ていた。

せっかくの休日だが、怜奈は何もする事が無かった。


のり子は支倉隆景と遊びに行っているし、彩加も出かけているし、後輩の美智子の家は知らないし。


「ん?」


川に何か光る物があった。

河川敷に降りてよく見てみるが遠くて何か分からない、川に近づこうとしたその時。足元に何か影が通り過ぎた、よく見るとそれは長く大きいヘビだった。


「うわぁああ!?」


驚いた怜奈は叫び声を上げながら川の中に落ちていった。


「あぶぶぶッ!ぶぶぶッ!ぶぶぶぶぶぶッッ!」


川に流されそうになるが、草ににしがみ付く。


このままでは川に流されてしまう。怜奈は草にしがみ付く事しか出来なかった。


――――――――――――――――――――


四条城子は友達三人と一緒に街を走り回っていた。


「何よあれ…!」


友達の一人がゼェゼェ息を吐きながら言う。四人はビルとビルの間の裏路地に隠れる。


道端で血を流して倒れていた男がいきなり立ち上がって襲い掛かってきて、逃げて来たのだ。


すると、足音が聞こえてきた。四人はギョッとして顔を見合わせる。


それにしても変だ、人の声も聞こえないし生活音すらしない…一体どういう事なのか…。


友達の一人がゆっくりと外の様子を見る。すると顔を青ざめさせながら戻って来た。


「ヤバイヤバイって!アイツ戻って来た!」


「どうする?」


すると一人の友達がポンっと手を叩いた。


「こうなったら色仕掛けしかないよ!相手男だもん!」


「そ、そうね!それしかない!ね、城子、お願い!」


「え?」


友達達が一斉に城子に手を合わせて頼み込む。

城子はギョッと目を見開いて、口をパクパクさせる。


「え…?ま、まさか…」


「だって城子、ヤりまくってるんでしょ!?学校のクラスの男子の不良グループ達全員とやったって…!色仕掛けはもう城子にしか頼れないよ!」


「や、やってない…そ、そんな事…知らない…!」


みるみると城子の顔が青ざめて涙目になっていく。


「嘘よ!タクヤが言ってたわ!『俺の彼女の城子はみんな共同で使っている』って!」


友達の一人が城子に向かってそう言うと、ますます顔の色が青くなっていく。


「ど、どうして…信じらんない…どうしてそんな…汚らわしい…」


震える声で城子が泣きそうに言う。


拒絶する城子に、しびれを切らした友達達が無理矢理脱がそうと城子のブラウスに手をかける、白い肌の胸の一部が露出すると、城子は大きく目を見開いた。


「いやッ!」


「あ!そっちは…!」


城子は友達達の手を振りほどき、路地を出ようとする。

そこに男が居たが、突然路地から飛び出してきたので、城子を追いかける事が出来なかった。


男は城子が飛び出してきた裏路地に近づいた…。


――――――――――――――


城子はブラウスが破れてしまって露出した胸を隠しながらグスグスと泣きながら橋を渡っていた。


幸い人気は無く、このまま家に向かおうとしていた。


ふと川を見ると誰かが流されかけていた。怜奈だった。


「怜奈さん!?」


城子は慌てて川の近くまで降りる、怜奈は草に掴んで流されないようにしていた怜奈の腕を掴んで引っ張り上げる。


怜奈は一瞬ギョッとした目を向けたが、城子の腕にしっかり掴んで川から上がった。


「はぁ…はぁ…大丈夫?」


「どうして…?」


怜奈は疑問の言葉を投げかける、しかしその問いに怜奈にとって意外な返答が返ってきた。


「どうしてって…怜奈さん流されかけてたから…助けるしかないよ…」


(なんだ…案外良い人じゃないか)


怜奈はそう思うと同時に罪悪感も沸いて来た。


こんな良い人を自分は脳内でダンプで轢き殺したり、処刑したり…なんて事をしていたんだ自分は。穴があったら入りたい。


今までしてきた自分の妄想での行いをドップリと後悔する怜奈。そんな姿に城子は心配する。


「ねぇ…大丈夫?怜奈さん…顔色悪いけど…あ、そうだ。私の家すぐそこだから…寄って行かない?」


怜奈はガクガクと首を縦に振った。

外の気温は寒く、風が吹く度に体中が震え上がる。



城子の家に着くと、タオルとシャワーを貸してくれた。しかも着替えも出してくれるという。


この優しさがますます罪悪感を引き立てる。









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