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第八話 闇の僧侶・幻斎坊の野望

一方その頃、導節達の帰りを待っていた新兵衛達は、未だドクロ法師に受けた傷は治らず、暫くの間養生していたのである。

「導節の奴、あまりにも遅すぎる。」

現八は、導節の帰りが遅いと少し苛立ちを感じていた。

「現八様、導節様と智徳法師殿はもうすぐ帰って来ます。それまでの間に、傷を治さないと・・・。」

「そうですよ、一日も早く傷を治して、ドクロ法師の戦いに備えないと・・・。」

「・・・皆さん、私は皆さんにお話しなければならない事があります。」

突然小文吾が、新兵衛、現八、信乃の三人に何やら相談事があると話し掛けていったのである。

「小文吾殿、いったい我々に話しとは・・・。」

「実は、いずれ導節殿に話さなければいけないと思っていたのですが・・・。」

「いったい何なんだよ、話さなければならない事って・・・。」

「・・・今から十日程前、私の村に一人の僧侶が訪ねて来て、こう言ってきたんです。『お主は、いずれ聖なる獣の力を手に入れるだろう・・・。』と・・・。」

「聖なる獣の力・・・。」

「それはいったいどう言う事だ。」

「詳しい事はよく分かりませんが、とにかくそう言うふうに言われたのでございます。」

「・・・なんだか信じられない話しだが、とにかく小文吾殿が言っている事に偽りはなさそうだ。」

「それで小文吾殿、その僧侶は何者だったんですか。」

「さぁ、顔は見ていませんが、恐らく・・・。」

「恐らく・・・。」

「とにかくその話しは後にして、導節殿と智徳法師殿が帰って来るまでの間、ドクロ法師が現れるの待つんだ。」

と、その時だ。

『久しぶりだな、光の犬士の諸君・・・。』

「てめぇ、ドクロ法師。また現れやがったな。」『・・・ん、犬山導節と智徳法師の姿が見えない様だが・・・。まぁいい、奴等が来る前に、貴様等を始末してやるっ。』

「そうはさせるかっ。」

新兵衛、信乃、現八、小文吾の四人は、ドクロ法師の攻撃を避けながら得意の術や必殺技で応戦していった。

「これでも喰らえっ、魔封破っ。」

「飛天流奥義・爆裂雷鳴斬!」

「必殺・烈風真空斬り!」

「秘剣・封魔火炎斬!」

四人それぞれの術や必殺技を繰り出していくのだが、ドクロ法師は印を結んで術を唱え、姿を消していくのであった。

「くそっ、また消えやがった。」

「ドクロ法師、卑怯だぞっ。」

新兵衛達がドクロ法師を捜していると、四方八方から怪光線が放たれ、間一髪のところで避けていくのだった。

「おのれ、ドクロ法師め。いい加減に姿を現せっ。」

『ふはは・・・、そんなに見たいのなら見せてやる。』

するとドクロ法師は、新兵衛達の前に姿を現し、こう言い放っていった。

『さあ、貴様等がどう挑むと言うのだ。たかが四人だけで、このドクロ法師を倒そうなんざ、所詮不可能な事だ。』

「煩い、てめぇなんざ俺一人で充分だ。」

『ふんっ、なかなか威勢がいいな。まずは貴様から始末してやる。』

「臨むところだ、ドクロ法師。」

「現八、お前一人で大丈夫か。」

「ああ、導節が帰って来るまでに・・・、何としてでも持ちこたえてみせる。」

「しかし・・・。」

「此処は一つ、現八殿に任せよう。」

現八は、ドクロ法師に斬り掛かっていこうとしたが、ドクロ法師はひらりと身を避け、すかさず妖術を施していき、打撃を与えていった。

『オンバサラ・バゾロウ・ドハンバヤ・ソワカ・ノウマク・バサラ・タンカン!』

ドクロ法師の妖術が炸裂し、現八は大打撃を受けてしまうのであった。

「ぐわっ・・・。」

『愚か者め、たった一人で挑むとは馬鹿な人間よ。』

「な、なんと言う魔力だ・・・。」

「今までのドクロ法師とは格段に強くなっているぞ。」

「くっ、いったいどうすりゃいいんだ。」

「何か手立ては無いのか・・・。」

四人が諦めかけていたその時、突如現れた謎の老人の攻撃に因り、ドクロ法師は大打撃を受けてしまうのだった。

『な、何者だっ・・・。』

「ドクロ法師、もはや年貢の納め時だ。」

そこに現れたのは、白装束を身に纏った白髪の老人で、新兵衛はその謎の老人に見覚えがあった様だった。

「ま、まさか貴方様は・・・。」

「久しぶりじゃな、新兵衛。」

「天岳老師様・・・。」

『何っ、天岳老師だと・・・。』

「だいぶ苦戦している様じゃな。」

『おのれ、とんでもない邪魔者が入りおったか・・・。まぁ良いわ、こうなったら纏めて始末してやるっ。』

ドクロ法師は、天岳老師に妖術を施して攻撃をしていくが、天岳老師はひらりと身を避けながら法力を放っていった。

「オン・コロコロ・キリセンマンダ・ボダナン・オンマエシ・ソワカ!」天岳老師の法力がドクロ法師に命中し、ドクロ法師は大打撃を受けてしまった。

「ドクロ法師、もはやこれまでじゃ。」

『おのれ、老いぼれめ・・・。ならば、これでも喰らいやがれっ。』

ドクロ法師が強力な妖術を放たれようとしたその時、

「待ちやがれ、ドクロ法師。」

なんと、導節と宗久が養源寺から無事帰り、何とか間に合ったのである。「導節、やっと来たか。待っていたぞっ。」

「遅くなってすまない。」

「やいっ、ドクロ法師。てめぇ今度こそ逃がしはしないぜ。」

『これで、光の犬士が揃った訳だな。だが、裏切り者である智得法師に罰を与えねばならないな。』

そう言って、ドクロ法師は懐から【邪心符】を取り出し、宗久に近づき邪心符を宗久の背中に貼り付けた。

すると、宗久の表情が一変し邪悪な心を持つ術使いに変貌していったのである。

「宗久っ、しっかりしろ。」

『光の犬士め、我が術を受けるがいいっ。』

いきなり宗久が、導節達を襲撃し、五人は戦闘体制を整えた後、宗久を攻撃していった。

「宗久、いい加減に目を覚ませっ。」

「駄目だ、宗久殿は正気に戻る気配はなさそうだ。」

「ドクロ法師、宗久殿に何をしたっ。」

『ふはは・・・、ちょっとした細工を施したまでだ。』

「何だとっ・・・。」

「やいっ、宗久殿を元に戻しやがれっ。」

『無駄だ、奴は今我の下部しもべとして仕えているだけの事だ。』

「どうする、導節。」

すると、天岳老師が突然こんな事を話し始めたのである。

「皆の者、我に考えがあるのじゃ。」

「天岳老師様、何かいい方法でもあるのですか。」

「わしがあの男の動きを封じるから、お主達はその隙に背中に貼り付けてある邪心符を剥がすのじゃ。」

「分かりました、天岳老師様。」

早速天岳老師は、宗久に法力を施し、動きを封じていった。

「オン・バゾロウ・ドハンバヤ・オンマエシ・ソワカ!」

天岳老師が施した法力に因って宗久の動きを封じていき、その隙に導節たちが宗久の背中に貼られていた邪心符を剥がす事が出来たのだった。

『しまった・・・。』

「ドクロ法師、これで形勢逆転だっ。」

「もう、貴様の悪事もこれまでの様だな。」

『うぬぬ・・・、もう勘弁ならぬ。かくなる上は、奥の手を講じるしかあるまい。』

「そうはさせるかっ、ドクロ法師。」

すかさず宗久は、巻物を口にくわえ、印を結びながら術を唱えはじめていった。

「天地万物・虚来成就。出でよっ、式神・土蜘蛛っ。」

宗久が術を唱え終えると、突如式神・土蜘蛛が現れ、口から無数の糸がドクロ法師の動きを封じていったのである。

『な、何っ・・・。』

「ドクロ法師よ、これでも喰らうがいい。」

続けざまに、導節が照魔鏡をドクロ法師に向けると、突如照魔鏡が光を放ち、ドクロ法師の妖力を完全に封じていったのだった。

『お、おのれこわっぱどもめ・・・。』

「ドクロ法師、これでてめぇもおしまいだぁ〜っ。」

「我等光の犬士の力、思い知るがいいっ。」

導節達五人と、宗久の六人は、力を合わせてドクロ法師を一斉攻撃していくのだった。

『うわぁ〜〜〜〜っ。』

遂にドクロ法師は、導節達に因って、苦悶の声を上げながら消滅していくのである。

「これでやっと、ドクロ法師は完全に倒したな。」

「ああ、完全にな・・・。」

「導節殿、これからどうするんだ。」

「さぁな、まだ分からん。しかし、確実に奴等は徐々に力を増している。何としてでも悪霊・玉梓の野望を阻止しないと・・・。」

「そうだな、それまでに他の仲間を探さないと・・・。」

すると天岳老師は、

「光の犬士達よ、お主達が探している仲間は、山城の国におる様じゃ。」

「本当ですか、天岳老師様。」

「左様、だが山城の国には、恐ろしい魔物が住んでいると言う・・・。」

「天岳老師様、その魔物とはいったい・・・。」

「大江山の怪物・酒呑童子しゅてんどうじ。恐ろしい魔力を持った、最強の妖怪じゃ。」

「酒呑童子・・・か。」

「しかも、酒呑童子は最強の武器を持っているらしい。」

「最強の・・・武器だとっ。」

「そいつはいったい・・・。」

魔断烈火剣まだんれっかけんと言う、一撃で全ての物を破壊する、究極の魔剣じゃ。」

すると導節は、

「天岳老師様、魔断烈火剣は禁断の魔剣。使う者に因っては命を落とす危険な剣・・・。」

「左様、あの魔剣をまともに受けたらひとたまりも無いだろう。」

「でも、どうやって奴に勝てると言うのだ。」

「・・・それは分からない。だが、必ず方法がある筈だ。」

「導節様、こうなったら一刻も早く、山城の国に行きましょう。」

「そうですよ、今頃山城の国では、酒呑童子が暴れているのかも知れませんよ。」

「・・・行こう、山城の国へ。」

暫くして、宗久は天岳老師と共に悪霊・玉梓の居場所を捜すと導節達に告げ、導節達五人は急いで山城の国へと向かっていったのであった。



その頃、幻魔城ではドクロ法師が敗れた事で苛立っている玉梓の姿があった。

『う〜、おのれ光の犬士どもめ・・・、又しても我等の切り札であるドクロ法師を撃破しおって・・・。』

『気を鎮めて下さいませ、玉梓様。』

『幻斎坊、全てはお主の責任じゃぞ。』

『も、申し訳ございません。しかしながら玉梓様、次なる手立てはすでに講じてございます。』

『幻斎坊、それは本当であろうな。』

『はっ、左様にございます。』

『して、その手立てとは何じゃ。』

『はっ、山城の国にある大江山に住む怪鬼、酒呑童子を操り、光の犬士どもを始末するのでございます。』

『酒呑童子をどうするつもりじゃ、幻斎坊。』

すると幻斎坊は、懐から一枚の赤い御札を取り出し、玉梓に見せたのである。

『玉梓様、この赤い御札は〔霊魔転怪符れいまてんかいふ〕と言って、邪悪の力を増幅させる効果があるとされる札にございます。』

『なるほど、それなら流石の光の犬士どもも、手も足も出まい。幻斎坊、なかなかの妙案じゃな。』

『お褒めに預かり、恐縮にございます。』

『それで、その役目は誰がするのじゃ。』

『この幻斎坊自ら大江山に赴き、直接酒呑童子を我が下部として使役致す所存にございます。』

『左様か、では早速大江山に行くのじゃ、幻斎坊。』

『御意・・・。』

悪霊・玉梓の命を受け、大江山に向かった闇の僧侶・幻斎坊。

実は幻斎坊には、もう一つある画策を考えていたのである。

『くくく・・・、この霊魔転怪符さえあれば、いかなる妖怪を凶暴化させる事が出来る。・・・そうだ、大江山の酒呑童子を凶暴化させた後、例の場所に赴き、あの妖怪を復活させるとしよう。そうすれば、玉梓様もお喜びになられるだろう・・・。』

幻斎坊が抱いている野望、それはいったい何なのか・・・。

そして、幻斎坊が復活させようとしている妖怪とはいったい・・・。

何も知らない導節達は、いったいどう挑むと言うのか・・・。

果たして、導節達の運命やいかに・・・。


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