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第参話 妖怪・螳螂鬼の逆襲

妖怪・螳螂鬼の卑劣な攻撃技に、窮地に立たされた導節と新兵衛。

もはやこれまでかと思われたその時、導節と新兵衛の懐に忍ばせた光の玉が突然まばゆい光を放ち、螳螂鬼の目を眩ませたのである。

『そ、その光は・・・。まさか、八大童子の宝玉・・・。』

「いかにも、我等は光の玉に護られし者。」

「光の玉に護られている限り、我等は決して悪に屈したりはしない。」

『ならば、貴様等纏めて地獄に堕ちるがいい。』

螳螂鬼は再び導節と新兵衛に襲い掛かろうとしたが、導節と新兵衛はすぐ様避け、反撃を開始した。

「うおぉぉ〜っ。」

新兵衛が見事な軽業で螳螂鬼に打撃を与え、更に導節が修験術で螳螂鬼を打ち破っていった。

『おのれ、光の犬士め・・・。この恨み、必ずや晴らしてくれようぞ。』

そう言って、妖怪・螳螂鬼はその場から姿を消していったのである。

「導節様・・・。」

「新兵衛、奴はかなりの打撃を受けている。」

「でもこのまま放って置いたら、また犠牲者が出てしまいます。」

「・・・とにかく奴を追うぞ。」

導節と新兵衛は、妖怪・螳螂鬼を追うべく、西国へと急いだのである。


それから三日後、導節と新兵衛は駿河の国に辿り着いたが、此処でも怪事件が頻繁に起きていた。

「導節様、又しても死体が・・・。」

「螳螂鬼め、とうとう此処まで手を延ばしていたか。」

すると、突然一陣の突風が吹き荒れ始め、巨大な竜巻が導節と新兵衛に襲い掛かって来た。

「な、何だ今の竜巻は・・・。」

「まさか、闇の一族の妖怪が現れたと言うのか。」

と、その時だった。竜巻の中から妖怪・鎌鼬かまいたちが姿を現し、導節と新兵衛に襲い掛かっていった。

『へっへっへっ・・・、貴様等が光の犬士だな。』

「おのれ、何者だ。」

『我が名は、妖怪・鎌鼬。我が主、妖怪・螳螂鬼様の命によりうぬ等の命、頂戴致す。』

「そう簡単に命を盗られてたまるものか。」

「新兵衛、こうなれば仕方があるまい。一気に型を着けるぞ。」

導節と新兵衛は、鎌鼬の猛攻に挑み、戦っていくが、鎌鼬の素早い攻撃に、導節と新兵衛は苦戦を強いられていくのである。

『これでも喰らうがいい。妖術・烈風斬!』

妖怪・鎌鼬の放った烈風斬が導節と新兵衛に命中し、大打撃を受けてしまったのだった。

「ぐはっ・・・。」

「くっ、強すぎる・・・。」

『へっへっへっ・・・、愚か者め。たかが人間如きに我に勝てるとでも思ったか。』

「導節様、どうしましょう。」

「慌てるな、新兵衛。こっちには秘密兵器があるんだ。」

「秘密兵器とはいったい・・・。」

すると導節は、懐から一枚の御札を取り出し、術を唱えながら鎌鼬に放っていった。

「オンバサラ・ナウマク・ボダナン・インダラ・ソワカ!」

導節の放った御札が真っ赤な炎に変化し、一直線に鎌鼬の方向に向かって放たれ、見事に命中したのであった。

『おのれ、このままで済むと思うなよ。』


「導節様、これからどうしましょうか。」

「先に我々と同じ仲間を捜す事が先決だ。奴等を倒すのはその後だ。」

「分かりました。」


一方その頃、導節達との戦いに敗れた妖怪・螳螂鬼は、玉梓のいる幻魔城に向かっていた。

『くそっ、あんな風にやられるなんて、全く俺様とした事が・・・。』

と、そこへ幻魔城の兵士の一人が螳螂鬼に声を掛けて来た。

『これは螳螂鬼様、先程から玉梓様がお待ちかねでございます。』

『玉梓様が・・・、いったい何の様だろう。』

螳螂鬼は、早速玉梓のいる玉座の前まで歩いていった。


『玉梓様、お呼びでございますか。』

『螳螂鬼、お主どうやら光の犬士との戦いにしくじった様じゃな。』

『申し訳ございません。しかしながら玉梓様、奴等はまだ二人しか揃っておらず、攻撃を仕掛ける機会が幾らでもございます故、今一度この螳螂鬼に光の犬士を倒す機会をお与え下さいませ。』

『分かった、全て螳螂鬼に任せるとしよう。幻斎坊、あの者を呼ぶのじゃ。』

『畏まりました、玉梓様。出でよっ、妖怪・鎌鼬。』

幻斎坊は妖怪・鎌鼬を呼び寄せ、鎌鼬は玉梓の元に膝まづいたのである。

『お呼びでございますか、幻斎坊様。』

『鎌鼬よ、玉梓様のお話を聞いたであろう。お主は螳螂鬼と一緒に光の犬士を倒して来るのだ。』

『承知しました、幻斎坊様。』

『鎌鼬よ、共に光の犬士を倒そうぞ。』

『ああ、我等に掛かれば光の犬士なんざ蹴散らしてやるぜ。』

『では頼むぞ、螳螂鬼、鎌鼬よ。』


一方、螳螂鬼と鎌鼬を追っていた導節と新兵衛は、三人目の仲間を捜すべく、庚申山こうしんざんふもとまで辿り着いたのであった。

「とうとう庚申山まで来てしまいましたね。」

「ああ、それにしても螳螂鬼と鎌鼬は何処へ消えてしまったんだ。」

二人が庚申山の麓へ差し掛かった時、向こうの方から一人の剣士が何やら探っているのを見掛けたのである。

「導節様、あれを・・・。」

「ん、あの剣士は何をしているのだ。」

二人がゆっくり剣士の側へ近づくと、突然剣士がふっと宙を舞い、いずこかへ消え去っていったのだった。

「な、何だ今のは・・・。」

「あいつはいったい何者だ。」

導節と新兵衛は、あまりにも突然の出来事が起きてしまったせいで、一瞬唖然としてしまったが、暫くして正気に戻り、姿を眩ました剣士の後を追う事にした。


「導節様、此処は庚申山の頂上ですけど、さっきの剣士は何処へ行ったのでしょうか。」

「さあ、何処へ消えたのか見当が着かない。」

「それにしても、何だか薄気味悪いところですね。」

「確かに、かつてこの場所は化け猫が住んでいたと言う伝説があるからな。」

「化け猫・・・ですか。」

「そうだ、その昔岩山大六いわやまだいろくと言う怪力自慢の男が、たった一人で化け猫を退治したと言うのだ。」

「それで、その化け猫はどうなりました。」

「徳の高い僧侶に因って、この近くの洞窟に封印したのだ。」

と、突然天空から雷鳴が轟き、導節と新兵衛の目の前に妖怪・螳螂鬼と、妖怪・鎌鼬が姿を現したのであった。

「貴様、螳螂鬼と鎌鼬・・・。」

「何故一緒にいるんだ。」

『光の犬士の諸君、また逢ったな。』

『我等が手を組めば、向かう所敵無しだ。』

「まさかこんな所まで来るとはな・・・。」

「今度こそ逃がしはしないぜ、螳螂鬼に鎌鼬。」『それはどうかな・・・。』

「何っ、どう言う事だ。」

『我等は今までとは格段に強くなっているのだ。例え光の犬士だろうと、そう簡単にくたばるものか。』

「新兵衛、こうなったら徹底的にやるしかあるまい。」

「はい、導節様の仰せとあらば、この犬江新兵衛命を掛けても貴様等を退治してくれる。」

『ふんっ、減らず口の減らない野郎だぜ。ならば容赦はせぬぞ。』

すると突然、螳螂鬼と鎌鼬が一斉に導節と新兵衛に斬り掛かり、すかさず導節と新兵衛は身を避けながら攻撃を仕掛けていった。

「必殺・爆裂飛翔剣!」新兵衛の必殺技である爆裂飛翔剣が炸裂し、螳螂鬼は打撃を受けてしまった。

『くっ、なかなかやるな。だが、その程度では我を倒す事など出来ぬぞ。』

そう言って螳螂鬼は、得意の妖術で新兵衛を窮地に追い込んだ。

『妖術・氷結粒波陣!』

螳螂鬼の放った妖術・氷結粒波陣が炸裂し、新兵衛は大打撃を受けてしまったのだった。

「新兵衛ぇ〜っ。」

「ど、導節様・・・。私は大丈夫です。それより、螳螂鬼と鎌鼬を・・・。」

「分かった、お前は暫く休んでいろ。」

「はい。」

導節は新兵衛を暫く休ませ、たった一人で螳螂鬼と鎌鼬を戦う事になってしまうのである。

「貴様等、断じて許さん。」

『たった一人でどうやって戦うつもりだ。』

『我等に勝てる訳がなかろう。』

「・・・くそっ、奴等をどうやって倒すか・・・。」

導節が螳螂鬼と鎌鼬を前に、いかなる手で倒そうか迷っていたその時、突如先程の謎の剣士が現れ、導節達に助太刀すると言ってきたのだった。

「お主は・・・。」

「拙者は、犬塚信乃いぬづかしのと申す者。妖怪退治の助太刀を致す。」

「忝ない、信乃殿。」

『何だ、あの剣士は・・ ・。』

『そんな事はどうでもいい。たかが一人増えたくらいで、我等に敵うものか。』

「それはどうかな、妖怪・螳螂鬼。我が必殺剣の威力、思い知るがよかろう。」

すると信乃は、刀を構え、得意の必殺剣で螳螂鬼を攻撃していった。

「喰らえっ、飛天流奥義・雷鳴爆龍斬!」

信乃の必殺剣である雷鳴爆龍斬が決まり、妖怪・螳螂鬼は苦悶の声を上げながら消滅していくのであった。

「残るは貴様たげだぞ、妖怪・鎌鼬。」

『小賢しい奴め、こうなったら奥の手を使うしかないな。』

「何をするつもりだ。」すると鎌鼬は、両手を構えながら突風を起こし、信乃に目掛け放っていったが、信乃はひらりと身を避けていき、逆に信乃は必殺剣で鎌鼬に攻撃を仕掛けていった。

「飛天流奥義・雷鳴爆龍斬!」

信乃の必殺剣・雷鳴爆龍斬が決まり、遂に鎌鼬は導節達の前で消滅していくのである。

「信乃殿、そなたのお陰で助かった。礼を申さなければならないな。」

「いえ、それよりまだ名前を聞いていませんでしたが・・・。」

「私の名は、犬山導節と申す者。そして、今木の影で休んでいるのが、犬江新兵衛と申す。」

「導節殿に、新兵衛殿ですか。」

「信乃殿は、どうして此処に・・・。」

「私は、今まで剣の修行をして参りましたが、ある日妹の浜路はまじが何者かに因って連れ去られてしまったのです。」

「信乃殿、その者の正体は分かったのですか。」

「いえ、ただその者が怪しげな術を使うと言う事が分かったのです。」

「ど、導節様・・・。」

「新兵衛、もう大丈夫なのか。」

「はい、何とかだいぶ良くなった様です。」

「それより新兵衛、何か心辺りでもあるのか。」

「はい、近頃若い娘ばかり狙う誘拐事件が多発していますが、その殆どが魔物の仕業である事が判明したのです。」

「では浜路も、その魔物が誘拐したと言うのか。」

「恐らく、高い確率で魔物が関係しているのかも知れません。」

「すると、闇の一族の仕業か・・・。」

「導節殿、闇の一族とは何者ですか。」

導節は、これまでに起こった出来事を信乃に話しをした。

「まさか、私の知らない間に、そんな事があったなんて・・・。」

「我々は悪霊・玉梓を追って旅をしているのだ。」

「そして私達は、光の玉に導かれ、此処までやって来たのです。」

すると導節と新兵衛は、懐から《忠》と《仁》の玉を信乃に見せたのである。

「そ、それは光の玉・・・。実は私も、《信》の玉を持っているのです。」

そう言って、信乃は懐から《信》の玉を取り出し、導節達に見せたのだった。

「それはもしや、八大童子の宝玉の一つ・《信》の玉じゃないか。」

「と、言う事は・・・信乃殿が三人目の同志。」

「私が、三人目の同志・・・。」

「そう、信乃殿は我々と同じ光の八犬士の一人なのだ。」

「その光の玉は、選ばれし八犬士の証。我々は、闇の一族を倒す宿命にあるのだ。」

「・・・導節殿、新兵衛殿、どうやら私はこの光の玉に導かれたようですね。分かりました、不肖犬塚信乃・・・あなた達と共に戦います。」

「そうか、ありがとう信乃殿。」

「よかったですね、導節様。」

「ああ、では新兵衛、信乃殿。次なる四人目の同志を捜すぞ。」

「はい。」

「参りましょう。」

遂に三人目の仲間として加わった犬塚信乃は、導節等と共に、四人目の同志を捜す事となった。

果たして、彼等に待ち受ける物とはいったい何か・・・。

導節達の運命やいかに・・・。


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