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第弐拾弐話 冥獣四天王篇 第拾参部 悪魔の樹海

その頃、幻魔城では城主である玉梓は、これまで三人の冥獣四天王を滅ぼされ、その魂を怪魔将牙神の像に宿していったのである。


しかし、玉梓もそう簡単には黙ってはいなかった・・・。


残された手札は、冥獣四天王最後の一人である闇の妖術師・青龍将軍を玉梓は呼び寄せていたのである。


『闇の妖術師・青龍将軍よ、もはやお主だけになってしもうた様じゃな・・・。』


『御意・・・。しかしながら、奴等はこれまでに朱雀将軍、玄武将軍、更に白虎将軍まで滅ぼされたんだ。このまま引き下がる訳にはいかぬ。』


『相変わらず気性の荒い奴じゃな・・・。ん、お主の腰に携えているその剣は・・・。』


『ああ、こいつはと或る所から頂戴した太極破斬剣と云う聖剣らしいんだ・・・。』


『ほう・・・、なかなかの代物ではないか。』


『こいつさえあれば、いかに天空八将神であろうと、敵う筈もあるまい・・・。』


『ところで青龍将軍よ、もっと強くなりたいと思わぬか・・・。』


『ああ、もっと強くなって、天空八将神をぶちのめしてやる・・・。』


『ならば、これを持っていくがよかろう・・・。そいつは〔時空魔鏡じくうまきょう〕と云って、相手にその鏡を向けると、一瞬にして鏡に吸い込まれ、過去の世界に飛ばす魔鏡なのじゃ。』


『この鏡を使えば、奴等は過去の世界に飛ばされ、その隙に我は悪さをし放題ってな訳だ。』


『それから、万が一に備えてこいつを持っていくがいい・・・。』


そう言って玉梓は、懐から銀色の丸薬を青龍将軍に手渡したのである。


『そいつは〔妖幻丹ようげんたん〕と言って、それを飲めば、たちどころに力が増幅する丸薬じゃ・・・。』


『この二つさえあれば、奴等を一気に倒す事が出来る・・・。』


『では青龍将軍よ、早速奴等を追跡し、全滅させるのじゃ。』


『万事承知致しました、必ずや天空八将神の連中を始末してご覧にいれましょうぞ。』



一方、時を遡る事半時前、雷界殿から盗まれた聖剣・太極破斬剣を探す事になった導節達は、一路南西の方角にある《翔風殿しょうふうでん》へと向かっていた。


「導節様、何故翔風殿に行かれるのですか。」


「何でも翔風殿には、風の神・鳳扇元帥ほうせんげんすい様が住んでいると云う噂を聞いた事がある。」


「でも鳳扇元帥様は、あまり姿を見せないのです・・・。」


「なんで、姿を見せへんのやろか。」


「そうだよ、姿を見せないって言うのが、何だか気になるんだよな。」


「導節、その鳳扇元帥様ってのは、どんな人物なのか、説明してくれないか。」


すると導節は、


「これはあくまでも想像だが、鳳扇元帥様はあまり素顔を見せないだけでなく、その容姿は謎に包まれているとの事だ。」


「いったい、どんな方なんでしょうか。」


「さぁな、一切謎に包まれているんだ。その姿を見るまでは、引き下がる訳にはいかないからな・・・。」


「おいっ、もうすぐ翔風殿に到着するぞっ。」



あれからどのくらいの時間が経過しただろうか。


導節達は翔風殿の門前まで辿り着き、主である鳳扇元帥のいる玉座に案内されたのだが、全く姿を見せる事無く時間が経過していったのである。


「いったい、鳳扇元帥様はいつになったら我々の前に現れるんだ。」


「そんな、私に言われても・・・。」


「おいっ、こんなところで大声を出すなよ。」


「そうですよ、神聖な場所なんですからあまり大声を出すのは良くないと思うんですが・・・。」


「そやで、現八はんがそんな大声出したら、鳳扇元帥はんが出て来いひんやんか。」


「みんな落ち着け、そんなんじゃ鳳扇元帥様が来ないじゃないか。」


「そうだよな、此処はひとつ鳳扇元帥様が来るのを待とう。」


「あっ、どうやら鳳扇元帥様が見えられた様ですよ。」


暫くして、部屋の奥から鳳扇元帥が導節達の前に姿を現したのである。


『よくぞ参られた、我はこの翔風殿の守護者・鳳扇元帥である。』


「お初にお目に掛かります。私は天空八将神の一人・犬山導節と申す者にございます。」


「同じく、犬江新兵衛と申します。」


「同じく、犬飼現八と申す。」


「私は、犬塚信乃と申す者にございます。」


それがしは、犬田小文吾と申す。」


「わいは、犬坂毛野言いますねん。」


「私は、犬川荘助と申します。」


「同じく、犬村大角と申す者にございます。」


『遠路遥々御苦労であった・・・。時に犬山導節殿には、他の者達と力を合わせ闇の一族を次々と倒していった事は、まさに感慨深いものがある・・・。』


「ところで、鳳扇元帥様に是非お伺いしたい事がございます。」


『いったい、どの様な事なのか・・・。』


「実は、とある場所から〔太極破斬剣〕が、何者かに因って盗まれたと言うのですが、何か御存知ではないかと・・・。」


『・・・確かにそう言う噂は聞いた事がある。しかし、実際に見た訳ではないが、恐らく闇の一族の仕業では無いかと推測される。』


「やはりそうでしたか・・・。」


「導節、何か分かったのか。」


「ああ、太極破斬剣を盗んだ犯人がな・・・。」


「いったい誰なんだよ、太極破斬剣を盗んだ犯人は・・・。」


「その犯人とは・・・、鳳扇元帥様・・・あなたですっ。」


「なっ、何を馬鹿な事を言うんだ。」


「いくら導節様でも、言っていい事と悪い事がありますよ。」


「いやっ、導節の言っている事はまんざら嘘では無いぞ。」


「大角殿まで・・・。」

『な、何を言うかと思えば・・・無礼であるぞ。それに、我がその太極破斬剣を盗んだ犯人だと申すのか。』


「ああ、それに本物の鳳扇元帥様なら、太極破斬剣の事を口にしない筈・・・。」


「その通り、この事を知っているのは、天空界の神々のみ・・・。」


「と言う事は、まさか鳳扇元帥様が偽者だと言うのか。」


『我が偽者だと言う証拠があるのか・・・。』


「証拠なら、此処にあるぜっ。」


すると大角は、いきなり鳳扇元帥の覆面を剥ぎ取り、更に鳳扇元帥の袖を捲くっていくと、なんと二の腕には黒い炎の紋章が施されていたのである・・・。


「あっ、あの紋章は・・・。」


「闇の一族の紋章・・・。」


「やはり、貴様だったのか・・・冥獣四天王の一人、闇の妖術師・青龍将軍っ。」


すると、偽の鳳扇元帥は不敵な笑みを浮かべながら導節達に本性を現わにしていった。


『さすがは天空八将神、よくぞ見破った。』


「本物の鳳扇元帥様を何処へ隠したっ。」


『本物の鳳扇元帥は、もうこの世にはいない・・・。』


「何だって・・・。」


「そんな馬鹿な・・・、鳳扇元帥様が消えただなんて有り得ない。」


「てめぇ、正直に白状しやがれっ。鳳扇元帥様を何処に隠しやがった。」


『そんなに鳳扇元帥に逢いたいなら、逢わせてやるっ。但し、行き先は地獄の一丁目だかな・・・。』


すると青龍将軍は、時空魔鏡を導節達に向け、一瞬にして鏡の中へ吸い込まれてしまったのである・・・。



「・・・ん、此処はいったい何処なんだ。」


「何だか、薄気味悪いところですね。」


「ほんまや、今にも何かが出て来そうな雰囲気やなぁ。」


「でも、いったい我々は何処にいるのでしょうか。全く見当がつきません・・・。」


「俺達はこのまま元の世界に戻れないのか・・・。」


「冗談じゃないぜ。あの青龍将軍のせいで、変な所へ飛ばされたんだからな。」


「導節様、これからどうしましょうか。」


「そうだな、先に鳳扇元帥様を捜すのが先決だな。青龍将軍を倒すのは、そのあとだ。」



と、その時だった。



「おいっ、あれを見ろ・・・。」


現八は突然上空を見上げ、無数の飛炎魔ひえんまと云う妖怪が一斉に導節達を襲い始めたのだった。


「げっ、何か変な化け物が来てもうたで。」


「グズグズしている場合じゃあなさそうだな。」


「よっしゃ〜、一気にやっつけてやるぜぇ。」


「みんな、気合いを入れて行くぞっ。」


導節達は一斉に飛炎魔の大群を攻撃していき、一気に蹴散らしていったのである。


「此処に居ても埒が空かないぜ。」


「ああ、急いで鳳扇元帥様を捜さないと・・・。何だか心配になってきたぞ。」


「せやな、何か嫌な予感がしてしゃあ無いねん・・・。」


「よしっ、先を急ごう。みんな、行くぞっ。」



暫くして、導節達は鳳扇元帥を探索し続けたのだが、全く見つからず仕舞いに終わってしまった。


「おいっ、いったい何処にいるんだよ。」


「私に言っても困りますよ。」


「現八、少しは落ち着いたらどうだ。」


「それより、少し休みましょうよ。何だか疲れてしまいましたよ。」


「そうだな、あの辺りで一休みしよう。」


導節達は長い間歩きっぱなしだったので、大きな大木の下で休む事にしたのだ。


それから数時間後、ふと導節が目を覚ますと、目の前に白いもやが拡がり、その白い靄の中から妖気を漂わた妖怪の軍団が襲来して来たのだ・・・。


「ちっ、こんなところまで奴等が来てしまったか・・・。」


導節はたった一人で妖怪軍団に戦い挑んでいくが、あまりの数の多さに苦戦を強いられていくのだった。


「これじゃ切りが無いな。仕方が無い、アイツ等には悪いが、こいつを使わせて貰うぜっ。」


すかさず導節は、懐から《天地滅殺破》の巻物を取り出し、一気に妖怪軍団を全滅していくのだった。


「ふぅ、何とか危機を脱した様だな。」




更に数時間後・・・。




休憩を終えた導節達は、再び鳳扇元帥を捜す事を続けたのである。


「あ〜あ、俺達どれだけ歩けば辿り着くんだよ・・・。」


「私も歩き疲れましたよ・・・。」


「でも此処って、何だか不気味な所ですね。」


導節達が辿り着いた場所は、無数の大木たいぼくに囲まれた樹海だった。


「導節様っ、この近くから物凄い霊気を感じます・・・。」


「信乃、それは本当か・・・。」


「でも、どうやってこの樹海を通り抜けるかだよな。」


「それなら心配ありません、私にいい考えがあります。」


そう言って、信乃は印を結んで術を唱えると、樹海の蔦や葉っぱが一瞬にして道が開けていき、導節達はその樹海の中へと入っていったのである。


「すげぇな、信乃にこんな術が使えるなんて・・・。」


「ほんまやで、信乃はんはやっぱ天才やなぁ。」


「いやぁ、そんなたいした事じゃありませんよ・・・。」


「ところで、鳳扇元帥様は本当にこの奥にいるんだろうな。」


「ええ、間違いありません。」


暫く歩いていると、導節達の目の前に大きな岩牢が見えてきたのであった・・・。


「この中に、鳳扇元帥様が・・・。」


「でもこの岩牢・・・封印されているぞ。」


「いったい誰が・・・。こんなところに封印をしたんだ。」


と、突然導節達の前で大爆発が起こり、なんと冥獣四天王、闇の妖術師・青龍将軍がいきなり現れたのだった。


「あっ、てめぇ・・・。なんでこんなところにいるんだ。」


『ははは・・・、そうはさせないぞ、天空八将神・・・。』


「そうか、本物の鳳扇元帥様を幽閉したのは、青龍将軍だったのか。」


『その通りだ。あの時我は、翔風殿を襲撃し、鳳扇元帥を真っ先に幽閉した後、我は鳳扇元帥に為り済まし貴様達を待ち伏せしていたのさ。』


「・・・てめぇだけは絶対に許さないっ。」


「鳳扇元帥様を岩牢から出しやがれ。」


「せやっ、ええ加減に解放せぇや。」


「あっ、その剣はまさかっ、盗まれた太極破斬剣・・・。」


『こいつさえあれば、例え貴様等が束になって掛かって来ようとも、我が前では無敵なのさ。』


「くっ、つまり問答無用ってな訳だな。」


「構うもんか、何が何でも鳳扇元帥様を助けてやるぜっ。」


「せやっ、貴様なんか一気にやっつけたるわ。」


『ふんっ、貴様等は分かっていない様だな。我が今までの三人とは格が違うと云う事を・・・。』


「へんっ、そんなのやってみなきゃ分かんないだろ。」


「だったら、どっちが強いか・・・試しに戦ってみるか。」


『面白い・・・、あとで後悔する事になるが、それでも構わないか。』


「ああ、後悔はしないさ。俺達は最後まで戦い抜くぜっ。」


「我等天空八将神の底力を見せてやるっ。」


『来いっ、後で吠え面を掻くなよ。』


遂に始まった天空八将神対青龍将軍との冥獣四天王最終決戦。果たして、勝負の行方は・・・。


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