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中谷 美鈴の場合。
大学の講義。それは単位取得の為の出席型授業。
大学三年のこの時期になると、皆は就活を始める。けれど、私には就活などいらないし、やらなくても平気なのだ。何しろ、私が会社のようなものなのだから。
この日、バレンタインデーに私は神社にお参りに来ていた。願い事は単純に一つ。
(どうか幹がチョコレートを他の女の子からもらいませんように!)
強く願った。
実際、誰かに貰えると嬉しいのかもしれない。けれど、幹にはあたしがいるからいらない。だって、幹がたくさんチョコレートなんてもらってきたら、多分あたしはショック死しちゃう。
だから、願った。
家で母親と一緒にチョコレートを作る。
どうやら母は父にあげるらしく「日頃の感謝的なのをチョコレートに込めてあげるの」なんて言っていた。
あたしはド本命だ。それも何年も作り続けてる。だけど、幹は気持ちには応えてくれない。いや、実際に思いは伝えてないから無意味か。
あたし的には、幹の童貞を奪いたい。
けれど、それは高校生になってからでも平気だ。
あたしは今日も幹の事を考える。