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無職聖女ジャンヌダルク

ジャンヌダルクのネットショッピング体験記

作者: 束間由一



 私は、ジャンヌダルク。

 今は転生して、十字 まもり として生きている。


 ずっと、ひきこもりを続けていた私だが、ブログを始めたことでその生活にも変化が訪れる。私のブログにくるメンバー(通称:ブロとも)で、何と、オフ会を開く事になってしまったのだ。発端は、あのジル=ド=レイを名乗る者が、「会って話をしよう」と思いっきりブログに書き込んできた事にある。私は、彼が本当にあのジル=ド=レイかどうかを知りたかっただけなのに、あんなことを言い出すもんだから他の輩達が食いついて話が膨らみ、結果、「大須の玉野屋でオフ会」という流れになってしまったのだ。しかし、こうなっては仕方ない。外の汚れた空気は好きではないが、どんな人間が集まるかはわからないがいくしかあるまい。私は、例え普段ひきこもっていても、戦いに怯えるような人間では無い。


 さて、そうなると準備が必要になった。

 店の予約とかは、ジル(ジル=ド=レイ)がやってくれるらしいので気にしなくてもいいが、問題は私自身だ、一応、美少女な私だが、髪はだだくさに伸びているし、普段着ている襟元がくたびれた「MONKY」などといった全く格好の悪い文字が書いてあるTシャツなど着てはいけないだろう。皆の失笑をかうのは間違いない。だから、私は、まず第一に当日身につける服を探す必要が出た。人前に出ても恥ずかしくないようにだ。


 近くにデパートはあるが外に出るのは嫌だ。それに、狙った服があるかどうかもわからない。そういった理由から、私は、ネットで服を探す事に決めた。インターネットで買い物をしたことなど、一度も無かったが、試してみることにした。


 「女性」「服」

 実に様々な服が売られている。

 あの頃……オルレアンにいた頃とはえらい違いだ。あの頃はいつも面白みのない布の服と、鎖帷子ばかりを着ていた感じだった。こうやって、のんびり服を探すなんてことは無かった。こういうのは、何だか楽しい。普通の女の子達もみんなこう言う気持ちになるんだろうな。いや、私よりももっと純粋に、自分の着た姿を思い浮かべて、或いはそれを彼氏に見てもらった時の事を考えてときめいたりするのだろう。少し、羨ましい気分になった。ジャンヌ=ダルクという名が、記憶が、少し窮屈に感じる。



 さて、暫く探していると、遂に私の目に留まる服が現れた。


 白色の袖無しの服、短めのスカート。首に付いている十字架付リボンもアクセントとして最高だ。しかも、ヘアピンもセットと都合が良い。どこかの、アニメのキャラクターの衣装の様でタイトルに「完月 しおり 夏服」とある。

 

 よし、これを買おう。

 私は、これらをネット内のショッピングカートに入れた。


 ……


 ただ、商品を入れたのは良いが、いくらか問題が発生した。

 まず、この服は30000円もした。長い事引き篭もっていたから全然金銭のことなど考えていなかったためそこは蔑にしてしまったのだ。そして、支払いにキャッシュカードが必要な事も問題だった。私は、勿論カードなんて持っていない。トレーディングカードすら持っていない。


 結局、頼りになるのは現世の両親だった。

 私は、ひきこもりやめるからと何とか頼みこんだ結果、快く承諾してくれたが、何だかとても申し訳が無かった。人間は信用しないとは言っているが、この両親は例外だと実感した時だった。 



 注文してから、6日後服は届いた。会に間に合うかとハラハラしたが何とか間に合った。

 箱には「コスプレショップCOSPO」と書かれている。この部分を親に見られたのはちょっとはずかしかった。私は気まずい雰囲気の中、その箱を自分の部屋に運んだのだった。


 こうして私は、初のネットショッピングを体験した。

 オフ会まであと数日を残すのみである。   



  


 




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